「~しなさい」と教えたことを
子供にきちんとやって貰い、
かつ子供から信頼を得て、
尊敬される親になるには、
どのようにすれば、よいのだろうか?
今回のテーマは、このことについて。
心理カウンセラー 衛藤信之さんのトークを参考に、
お話したい。
子供を上手に躾けて、
自分も尊敬されるためには、
どんなに立派なことをしなければならないか?
と疑問に思うが、
割とシンプルなルールを守るだけで、
これが可能となる。
そのルールとは、「子供に教えることを
親自身も実践すること」。
「な~んだ、そんな簡単なことか」
と馬鹿にするかもしれない。
しかし、簡単そうでも、これができない親も多い。
例えば、
「人の悪口を言ってはいけませんよ」
と子供に教えても、日常生活の中で
親がご近所さんの悪口をしょっちゅう言っていれば、
子供はそんな親の姿を見ている。
日頃から「嘘をついてはいけないよ」と言っていても、
都合の悪い電話がかかってきた時、
「お父さんは、今いないからと言って」
と電話に応答した子供にお願いしたら、
どうだろうか?
子供は「何か変だな?」と感じないだろうか?
子供に沢山本を読んで欲しい、
勉強して欲しいと願い、
「本読みなさい」、「勉強しなさい」
と親が口うるさく言っても、
親自身が本を読むこともなく、
勉強することもなく、
いつもソファーで寝そべり、
テレビばかりを見て、
だら~んと過ごす時間が多ければ、
「何だ、自分もやってないじゃないか!」
と子供は反論するようになる。
子供が小さなうちは、
親は子供にとっては絶対的な存在だ。
だから、親から言われたことに
忠実に従うかもしれない。
しかし、ある年齢を過ぎれば、
子供も親の言うことを聞かなくなる。
なぜなら、親の言うことと、やることが違うからだ。
「言うは易く行うは難し」は本当だ。
口に出して言うことと、
実際に行動することは、
全く違う行為だ。
口が上手ければ、言葉では美しく、
説得力を持ち説明できるかもしれない。
しかし、どんなに立派なことを言う人で、
一瞬は「素晴らしい」と評価されても、
言うだけであり、実践が伴わなければ、
そのうち信用を失うことになる。
小さな子供は一人でできないことも多く、
大人の助けが必要だ。
そのため、大人も「子供だから、大したことない」
と子供を軽く見る傾向にある。
しかし、子供は大人が想像する以上に
洞察力も鋭く、大人のすることを観察している。
「子供だから、分からないだろう」というのは嘘で、
大人のことを正しく察している。
親が口だけで立派な発言をしても、
実際に行動していなければ、子供には分かる。
「偉そうに言うだけで、自分もできてないじゃないか」
と親に対して不信感を抱くことになる。
衛藤さんによれば、
子育てで重要なポイントは「モデリング」だ。
「モデリング」とは、
何かしらの対象物をお手本(モデル)に、
そのものの動作や行動を見て、
同じような動作や行動をすること。
子育てにおいては、
子供が親をお手本に、
親のやる行為、行動をそのまま真似ることだ。
モデルになる対象は、
自分にとって大切な人。
小さな子供にとっては、
一番大切な存在は親になる。
親がいなければ、
子供は自分一人では生きてゆけないからだ。
しかし、小学校高学年にもなり、
社会の仕組みや世の中のことが
徐々に分かり出してくれば、
モデリングの対象も変わってくる。
親の言うこととやることがちぐはぐなら、
親に対して不信感を抱き、子供はイライラを感じる。
そうなれば、親の言うことではなく、
芸能人やアイドルを自分のモデルにするようになる。
親の言うことには従わず、
親の立場からすれば、「この子は反抗期に入った」
と嘆くようになる。
親も子供のことは可愛いし、
今まで一生懸命、子育てしてきた。
子供が自分に背く態度を見せれば、
親は裏切られたような気がして、悲しくなる。
こんな時、親がすべきことは、
子供を強く𠮟りつけることではない。
それよりも、自らがステキな親になるよう
努力することだ。
ステキな親になるためには、
自分の言うことと、
やることを一致させる必要がある。
子供にきちんと挨拶して欲しければ、
自らが積極的に挨拶するよう努める。
お礼を言うべき場面では、
きちんと「有難う」と声に出して
感謝の気持ちを相手に伝える。
「おはよう」、「こんにちは」という挨拶も、
相手から声かけられる前に、
自分の方から積極的に言うようにする。
悪気がなくても、
時には他人に迷惑かけたり、
相手を傷つけてしまうこともある。
そんな時には、潔く「ごめんなさい」
と謝ることを常にする。
親がこういう姿勢で生きていれば、
「きちんと挨拶しなさい!」、
「ちゃんと謝りなさい!」、
「お礼をきちんと言いなさい!」
と子供にいちいち指示しなくても、
子供は自然とそうするようになる。
親がそれをしている姿を見て、
親の行動で子供も学べるからだ。
言葉に出して説教しなくても、
親がそのような態度ならば、
子供は親をモデルとして、親のやるように、
自分も同じことをするようになる。
これが理想的なモデリングだ。
子供に良いお手本を見せることは、
シンプルなことに聞こえるが、
実際は、そんなに容易くなく、
けっこう大変なことでもある。
しかし、親が模範になるよう努めることは、
親自身の成長にも繋がることだ。
大変だけれど、やる価値があるだろう。
子供が言うことを聞いてくれず、
「ああ、本当に困った子だ」と嘆く時、
一旦立ち止まって、自問自答してみよう。
「子供に対して言うことと、
自分が実践していることは、同じなのか?」
もし、そうでなければ、
子供を自分の思う通りに
ムリに動かそうとはせずに、
まずは、自分が
子供に振る舞って欲しいように、
自分自身が振る舞うことだ。
自分の言うこととやることを一致させて、
自分がステキな親になれば、
子供も言われなくても、
自然とステキな人になるよう
それなりの行動を取るようになる。
衛藤さん、有益なアドバイスを
有難うございました。
参考動画:「子どもから尊敬される親になるポイント」
(ユーチューブ 心理カウンセラー 衛藤信之さん)