その判断って正しい? 少ないサンプルでの誤った結論にご用心!

たった1~2回の経験で
「これはこんなもの」
と決めつけるのは
適切ではありません。

そう言えば、
「そんなの当たり前!」
と思う方も多いかもしれません。

しかしながら、実際には
私たちはごくわずかな例で
物事を判断していることも
珍しくありません。

そして、そのことに
気づいていないのです。

今回の話は、
限られたサンプル数で
結論を急ぐことを避けましょう!
という趣旨です。

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たった1~2回の経験だけで、
それが全てだと思い込んでしまい、
「~はこういうものだ」
と結論づけることは、
望ましくありません。

実際の世の中には
さらに多くのサンプルが存在し、
他のサンプルを見ない限り、
そのことが本当に正しいかどうかは
分からないからです。

たまたま最初に経験した
1つ目のサンプルが
典型的なものであり、
それが代表的なものの場合も
あるかもしれませんが、
必ずしもそうとは断定できません。

場合によっては
最初に目にしたサンプルが
非常に異なるものであり、
少数派の例かもしれません。

1~2つのサンプルだけでは、
十分な情報を得ることは
不可能です。

複数のケースを観察したり
経験したりしなければ、
全体像を把握することは
なかなか難しいことも多いのです。

このことは冷静に考えれば、
当然のことだと考えられますが、
私たちはしばしば気づかずに、
限られたサンプルだけで
物事を判断してしまうことも
珍しくありません。

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私自身も、たった1つの事例で
人生における重要なテーマについて
結論づけていたことがありました。

それは「結婚」に関することでした。

若い頃、私は絶対に
結婚しないと心に決めていました。

その理由は、実際に両親の結婚生活を
身近で見ていたからです。
それは悲惨なものに思えました。

私の両親は
昭和初期に生まれた人たちで、
かなり保守的な考え方を
持っていました。

家庭内でも
男尊女卑の雰囲気が強く、
家族の大黒柱である父は
非常に威張りたがり屋でした。

経済的に家族を支える父は、
「お前たちが生活できるのは
俺のおかげだ」ということを強調し続け、
家族に感謝を要求していました。

経済力のない母は、
父に従わざるを得ませんでした。

母は自分の意見を
尊重することができず、
しばしば父の言いなりに
なっていたのです。

家族が自分の思い通りに
動いてくれなければ、
父は怒鳴り散らしたり、
時には暴力を振るうことさえ
ありました。

このような両親の姿を
見て育ったため、私には
「結婚は女性にとって地獄だ」
としか考えられませんでした。

結婚する前は父も母に
優しかったと聞いていますが、
結婚してしまうと、
釣った魚に餌をやらない
といった感じで、
母を召使いのように
扱っていました。

そんな父の姿を
目の当たりにしたため、
私は結婚に憧れるどころか、
むしろ幻滅感を抱いていました。

そんなわけで
「結婚は女性にとっては
墓場のようなものだ」と私は考え、
ネガティブな結婚観を
持っていたのです。

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でも、私のその考え方は
正しいでしょうか?

私は自分の両親だけを見て、
結婚について勝手に
「こういうものだ」
と決めつけていました。

両親は子供にとって特別な存在であり、
一緒に過ごす時間も多いため、
彼らから大きな影響を受けるのは
避けられないことかもしれません。

しかし、自分の両親だけを見て
判断するのは
適切ではないでしょう。

この世には両親以外にも
たくさんの夫婦が存在します。

私の両親はその中の
たった一つの例に過ぎません。

たった一つの例だけで
結婚は女性にとって恐ろしいものだ
と結論づけることは、間違いです。

実際、私がニュージーランド留学中に
お世話になった
ホストマザーとファーザーの夫婦関係は、
私の実両親とはまったく違っていました。

私のニュージーランドのホストファミリーでは、
ホストマザーは
ほとんど料理をしなかったです。

その代わりに、
ホストファーザーが毎晩
夕食を作ってくれました。

夕食作りだけでなく、
その他の多くの家事にも
ホストファーザーは積極的に
手伝っている姿が見受けられました。

ホストマザーが
「お茶を飲みたい」と言えば、
ホストファーザーは喜んで
奥さんのために
お茶を入れて運んできてくれました。

奥さんの意向に従う
ホストファーザーにとって、
奥さんが喜ぶことをするのが
大好きなのです。

私のニュージーランドの
ホストペアレンツは、
私の実両親の関係とは
想像もできないほど
素晴らしい夫婦関係でした。

このホストファミリーとの
3年間の生活を経て、
私の結婚に対するイメージも
大きく変わりました。

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私は自分の両親だけを見て、
「結婚はこういうものだ」と決めつけ、
結婚に対して憎悪の念まで
抱いていました。

しかし、
ニュージーランドに来て初めて、
この考え方が間違っていたことに
気づかされました。

もし私がずっと日本の両親の元で
生活していたならば、
私は一生結婚することが
なかったでしょう。

そうなれば、
私の素晴らしい旦那さまとも
出会うこともなく、
今の幸せな結婚生活を
送ることもできなかったでしょう。

一つの例だけを見ていたら、
私が今経験している
素晴らしい結婚生活も
逃していたことになるのです。

もしそうなったら、
これは人生において
非常に残念なことだと
今では思えます。

私の結婚に関する話は
単なる一例に過ぎません。

人生のあらゆる場面で、
このことが当てはまるのです。

初めての経験や
過去の1~2回の経験だけで
「これはこういうものだ」
と結論付けることは
望ましくありません。

他にも様々な例があり、
他の例を見てみなければ
全体像をつかむことが
できないことも多いからです。

初めて経験したことが最悪な場合、
一般的には良いことであっても、
「もう再びやりたくない!」
と思ってしまうものです。

そうなれば、素晴らしい経験を
自ら逃してしまうことになります。

これはとてももったいないことだ
と思いませんか?

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最初に経験したことは、
印象的であり、
インパクトも強いことは
否定できません。

しかし、それでも
これは単なる一つの例に過ぎない
と意識した方が賢明です。

そうすることで、
他の例も見てから判断しよう
という気持ちになれるからです。

1つや2つではなく、
より多くの例を見れば、
より正確に物事を観察し、
より良い判断も可能になります。

自分にとって
素晴らしいチャンスを
逃すことも少なくなるでしょう。

そのためにも、
たった1~2回の経験だけで
色々な物事を「こういうものだ」
と決めつけないように
気をつけましょう!