ちょっと気をつけるだけでも、コミュニケーションはスムーズになる

今回の話は、相手によって
説明の仕方を変えることの大切さについて。
すべての人に同じような説明では、
伝わらないと意識したほうがよい、
ということだ。
勝間和代さんのトークを参考に
お話してみたい。

なぜ、そうなのかは、
人は皆、分野によって流暢性が違うからだ。
流暢性とは、人が情報を
適切に素早く数多く処理して、
出力する能力のこと。
情報をインプットする時に、
すんなり入ってくる分野と、
そうではない分野が
人それぞれ全く違うからだ。

例えば、ITの専門家が
コンピュータースキルが高い人に
専門用語を沢山使って、ササっと説明しても、
相手には問題なく伝わる。
しかし、コンピューターに触れる機会も少なく、
IT分野のことをよく知らない人には、
専門用語は使用せず、一般的な用語で
ゆっくり嚙み砕いて説明しなければ、
理解して貰えないものだ。

同じ説明を受けても、
直ぐに理解できる人もいれば、
説明の内容についてゆけず、
情報が右から左へ抜けてしまう人もいる。
なぜ、そうなのかは、
今まで身につけた知識の違いや、
興味や関心の違いがあるからだ。

流暢性は人の優劣を決めるものではない。
誰でも得意・不得意があり、
ある分野では優れていても、
別の分野ではイマイチなのは、普通のこと。
これと同様に、
ある分野では情報の処理能力が高いが、
別の分野では低くても、全く不思議でない。
自分の中にある知識や興味・関心は
人それぞれ異なるので、
流暢性のある分野も当然違ってくる。

聞き手の知識や理解度により、
説明の仕方を調節することは、
当たり前のように思われるが、
実際には、これができていない人も多い。
ビジネスシーンでさえ、
聞き手のことを考えずに、
自分視点で話をすることがあり、
そのために、
コミュニケーションが上手く取れなくなる。

これは、私が最近、目撃したことだ。
システム開発会社(サービス提供側)と
医療系研究機関で働く人たち(クライアント)
との間で起きたこと。
クライアントが希望するシステムの条件を
一生懸命説明しても、サービス提供側には
なかなか理解して貰えない。
また、逆に、サービス提供側から、
システムの制限や限界を説明しても、
クライアントには何のことだかサッパリ分からない。
両者とも英語が母国語で、
話も通じるはずなのに、全然通じていない。
呆れ返ったクライアントの口から出た言葉は
「まるで火星人と話をしているみたい」。
不思議なほど話が通じないのを間近で観た。

サービス提供者もクライアントも
その分野ではエリートと言われる人たちだ。
しかし、お互い話が全く通じない。
いったい、これはどうしてなのか?
その理由は、お互いが自分の視点で話しているから。
自分にとって当たり前のことは、
相手にとっても当たり前だと
思い込んでいるからだ。

しかし、人は皆、バックグランドも違うし、
見える現実も全く違うものだ。
自分の視点と相手の視点が異なることは
当然なことなのに、なぜか、多くの人は
そのことを意識していない。
自分にとって自然で当然なことは、
誰にとっても自然で当然だと考えたくなる。
でも、これは間違いだ。
このことに気づくだけでも、
他人とのコミュニケーションは大分改善する。

相手に何かを説明する時には、
その相手がどんな人なのか?
どんなバックグランドを持つのか?
どんなことに興味・関心があるのか?
その分野で相手はどのくらい知識があるのか?
これらのことを考慮して、
どのような言い方をすれば、
相手に分かって貰えるのかを
事前に考えておくとよい。
そうすることで、相手への伝わり方も
大分違ってくるからだ。

自分にとっては当然だと思えることも、
他人にとっては必ずしもそうではないことを
頭の片隅に置くことは重要だ。
そして、必要であれば、説明の前に、
背景みたいなものを話してから、
本題に入ったほうが分かりやすい場合もある。
少し面倒に思えても、そのステップを踏むことで、
後のコミュニケーションがスムーズに行くからだ。

プレゼンする場合にも、
観客がどんな人たちなのかを
予め調べておくのが望ましい。
もちろん、全員に合わせられなくても、
観客グループの傾向みたいなものは
掴めるだろう。
話をしながら、相手の反応もチェックして、
イマイチ理解されていないようなら、
もう少し噛み砕いて説明するようにする。
逆に、打てば響くという反応であれば、
多少端折っても、問題ないだろう。

説明する際には、
相手に正しく理解して貰えるよう、
事前に相手のことを知り、
その人に合わせた説明方法を取ること。
ほんのちょっと気をつけるだけでも、
後のコミュニケーションは
大分スムーズになるものだ。

勝間さん、役立つトークを
有難うございました。

参考動画:「情報の流暢性の罠を知ろう。なぜ、私達には頭にすっと入ってくる情報とそうでないものがあるのか。
(勝間和代が徹底的にマニアックな話をするYouTube)