毒親の人間関係は、爬虫類のコミュニケーションに似ている

今回の話は、
毒親の人間関係は、
爬虫類のコミュニケーションに似ており、
生存本能の部分が強いということ。

人生を楽にするカウンセラー
高橋リエさんのユーチューブトークの中に
この話が出てきた。
私自身、「なるほど」と肯ける部分が多く、
とても興味深く思った。
今回は高橋さんのトークをもとに、
毒親の人間関係の特徴と、
なぜ、そのような特徴を
持つようになったのかについて
お話ししたい。

爬虫類のコミュニケーションは
以下4つのパターンしかないそうだ。
1)挨拶
2)攻撃・侵略
3)求婚・求愛
4)服従

高橋さんは、この4パターンを
毒親に当てはめて説明している。
その説明とは次の通りだ。

1)挨拶
毒親は外面が大変良く、
世間体を非常に気にする人たちだ。
他人様には嫌われないように、
ムリして良い人を演じている。

2)攻撃・侵略
外の人には良い顔を見せるが、
身近な家族内の人間関係では
攻撃的かつ侵略的な傾向がある。
例えば、子供の顔を見る度に
けなしたり、馬鹿にしたり、罵倒したりする。
子供のプライバシーを尊重せず、
平気でズケズケと子供部屋に侵入して、
子供の机の引き出しを開けて見たり、
タンスの中を覗いたりする。
そのため、家庭内では
しょっちゅういざこざが起きている。

3)求婚・求愛
毒親の夫婦関係は、
子供にとっては不可解なものに見える。
なぜなら、昼間は夫婦間で
言い争いや喧嘩が絶えないのに、
夜の夫婦生活は、
けっこう盛んに行われているから。
しかし、爬虫類にとっては、
これは普通のコミュニケーションらしい。

4)服従
毒親の夫婦関係は
どちらか一方が凶暴で、
もう一方が大人しく、
我慢して服従するケースが多い。
例えば、一家の主であるお父さんが
家庭内で権力を握り威張っている。
お母さんは、そんなお父さんに服従して、
言われるままに召使のように振る舞う。

高橋さんによれば、
爬虫類的な行動特性のある人は、
強迫神経症的傾向が強く、
個人的儀式や迷信的行為を大切にする。
例えば、家事のタスクの一つ一つのやり方に、
不合理なほどのこだわりがあり、
その方法でやらなければならない、
と信じ込んでいる。
そのため、「大変だ、大変だ」
と文句を言いながらも、
昔のやり方に固執して、苦労している。

次に、なぜ毒親は
このような爬虫類的な性質、特徴を
持つようになったのかについて。
これを理解するためには、
人間脳の3層構造を知る必要がある。

人間脳は3つの脳の部分から成る。
トカゲやワニのような「爬虫類脳」、
犬や馬のような「哺乳類脳」、
ロジカルな思考ができる「人間脳」だ。
人間は、この3つの脳の部分を
同時に併せて持っている。

シンプルにまとめれば、
「爬虫類脳」は生命維持のための本能を司る
一番原始的な脳の部分だ。
「哺乳類脳」は情動的な感情の部分。
人間の自然な感情である
喜び、悲しみ、怒り、愛情などを感じるのは、
この脳の部分によるもの。
仲間意識を感じるのも、この中に含まれる。
「人間脳」はロジカルで
理論的に物事を考えられる部分。
脳の中では一番新しいパーツだ。
言語、記憶、創造、倫理など
人間特有の思考を可能にする部分だ。

人間が生きるためには、
まずは一番基本的な身の安全が重要だ。
そのために、一番原始的な脳の部分が
生命維持のために働いてくれる。

安全、安心、生命維持が満たされた後には、
色々なことを感じながら、
仲間と一緒に群れて行動することが大切だ。
単に生命維持をするだけでなく、
仲間と一緒にコミュニティーを築き、
その中で、自分を重要な存在だ
と認めて貰いたい欲求も生まれる。

生命維持と仲間と一緒に生きることが
満たされた後には、
創造的なことをしたい、
自分の目標を達成したい、
自己成長してゆきたい
という人間的な願望が生まれる。
自分自身について考える内省能力も
人間脳があるからこそ可能になる。

毒親の爬虫類脳の部分が
異常なほどに強くなり、
人間関係においても、
爬虫類的コミュニケーションになる理由は、
彼らの育った環境によるところが大きい。
毒親の多くは、戦時中に子供時代を過ごした。
生きるか死ぬかの極限状態で、
身の安全が保障されない時に
一番大切な成長期を過ごした。

いつ空襲で自分や家族や友人が
命を落とすか分からない状態だった。
食糧難で、お腹が空いても、
十分食べ物もない状態だ。
栄養失調で病気になり、
身近な人たちが
どんどん亡くなってゆく姿も見ている。
こんな子供時代を経験すれば、
精神的にも健全に成長できるわけがない。

子供の頃の過酷な人生経験が原因で、
神経が過緊張状態になることに慣れてしまい、
平和な世の中になった後でも、
その名残が長く続いている人も多い。
毒親の多くに見られる自律神経の異常は、
子供の頃の戦争体験の後遺症だ。

自分のサバイバルのことだけに必死であり、
爬虫類脳の部分が活発になり、
人間脳の働きを促すことが難しかった。
毒親が主観的で自分目線でしか観れず、
相手のことを考えたり、
客観的に物事を判断できないのは、
ここに大きな原因がある。

平和な世の中に生まれた私たちは、
こういう親の幼少期の事情を知らない。
親の異常な精神状態のせいで、
子供である自分が悪影響を受けて、
大きな被害を被った
と不満に思う気持ちも強い。
しかし、毒親がなぜ、
爬虫類的な行動パターンになってしまうのか、
その原因を知ることができれば、
親の不可解な行動や態度に対しても、
少しは理解できるようになるだろう。

人間脳が活発な人にとっては、
爬虫類脳的な人間の行動や態度は
信じられないし、不思議に感じられる。
正直、不愉快にも思える。
しかし、人間脳の部分を
より活性化できない理由は
毒親にもツライ事情があったからだ。
そんな人たちを一方的に責めるのも、
公平ではないように思われる。

高橋さん、興味深いトークを
有難うございました。

参考動画:「気づける親・気づけない親、その違いとなぜそうなるか (毒親講座)
(ユーチューブ 人生を楽にするカウンセラー高橋リエさん)