発達障害は現代社会が作り出した病気?

最近聞いたトークの中で
私の心に響いたものがある。
ネット情報を見て「自分は発達障害かも?」
と心配した若者に対して、
美容外科医・高須幹弥先生が
アドバイスしたものだ。
トークの前半は発達障害についての説明。
後半では発達障害について
幹弥先生の考えを述べる部分があり、
その部分が私の心に刺さった。

幹弥先生の個人的な考えでは
発達障害は病気ではない。
発達障害の人が持つ特性のために、
現代社会に上手くフィットできないから、
病気にされてしまうということだ。
典型的な現代社会とは少し違う、
自分の特性を活かせる環境に身を置けば、
発達障害でも大活躍できる
という励みになるトークだった。

例えば、発達障害の一つである
アスペルガー症候群の場合、
典型的な特性は、
友達を作るのが苦手、
空気を読むことが苦手、
協調性に欠ける、
強いこだわりがありオタク的、
一つのことを集中してやり続ける、
環境の変化に弱いことなどがある。

このような特性が強い人もいれば、
少しだけある人もいて、
程度の差は人それぞれ違う。
でも、ガチガチのアスペルガーは少数派で、
ほとんどの人は、
グラデーションのどこかに位置するそうだ。

最近、発達障害の人が増えている
と言われるが、幹弥先生はそうは思わない。
発達障害がテレビやマスコミで
報道されるようになり、
世の中の認知度が上がったので、
そのように感じられるが、
実は、今も、昔も、発達障害に人は
同じ数ほどいるらしい。

発達障害を扱うのは
精神科や心療内科だが、
その診断方法は曖昧だとのこと。
癌、心筋梗塞、糖尿病などの病気ならば、
血液検査やCT、病理検査などで
はっきり病気かどうか分かる。
しかし、発達障害の場合には、
問診のみの診断だ。
客観的に明らかに病気だと判断するのも
難しいようだ。

昔は、発達障害の概念がない時期もあった。
例えば、石器時代では
男性は狩りに出て獲物を捕まえてくる。
女性は子供を育てて、家を守る。
この時代には、男性に関して言えば、
身体能力が高い者が一番偉いとされていた。
アスペルガーであっても、
全く関係ない時代だった。

職人さんが自分の専門分野の物だけを
作ることが普通の時代もあった。
オタク的要素の強いアスペルガーが
一つのことに集中して、
大活躍できる時代もあった。

しかし、産業革命により、環境が大きく変わった。
資本家が工場や会社を作って、
大勢の労働者を集めて、
皆、一緒に同じ作業をするようになった。
皆と全く同じことができないと
支障をきたすような
サラリーマン世界になってしまった。
学校では、サラリーマン養成のような教育をして、
アスペルガーの特性を持つ人が
生き辛い社会になってしまったのだ。

こういう環境下では
アスペルガーの人はついてゆけなくなり、
生活に支障をきたして、問題を起こす。
すると、マスコミでも、その問題が取り上げられ、
世の中では、病気に対する認知度が高くなる。
このような流れで、アスペルガー症候群が
注目を浴びるようになったのだ。

でも、こういう現代社会ができる前には、
アスペルガーでも普通に生きてゆけた。
何も困ることもなく、問題を起こすこともなく、
普通に生活できた。
特に職人の世界では、普通の人よりも
生きやすく、成功しやすかった。
幹弥先生が「アスペルガーは病気ではない」
と言うのは、このように考えるからだ。

現代社会とアスペルガーが
上手く融合できないのなら、
アスペルガーの特性を持つ人は、
現代社会の典型から外れて、
自分に合ったことをすればよい。
ここに大きなヒントが隠れているのだ。

アスペルガーの特性があれば、
普通の人たちが難なくできることが
苦手でできない。
普通の人が持っている能力に
欠ける面もある。
しかし、その分、普通の人が持たないような
優れた能力を持っているのも
アスペルガーの人たちだ。
何かが欠けている分、
別の部分で長けている。

アスペルガーの特性を持つ人は
現代社会の典型には合わない。
だから、その典型を避けて、
自分の特性を活かすような仕事に就けば
高い能力を発揮して、
お金を稼いだり、有名人になったり、
社会に大きく貢献したりできる。

実は、現代社会でも
大きな成果を出している人は
発達障害が多いらしい。
芸術面、科学面、IT面、芸能界、
スポーツ界などで、
大活躍する人の多くが
発達障害を持っているそうだ。

このことが分かれば、
自分が発達障害だと診断されても、
落ち込む必要は全くない。
それよりも、自分には普通の人にはない
大きな可能性があると分かる。
可能性を実現するには、
まずは、自分の特性をよく知ること。
そして、その特性を活かすような
仕事に就くことだ。

自分の不得意分野を求めるような
典型的なサラリーマン社会には
入らないで、
自分の特性を最大限に活かせる環境に
身を置いて、その特性を使って、
大活躍するとよい。

普通、自分が発達障害だと分かれば、
ネガティブに捉えて、
落ち込んでしまうだろう。
しかし、落ち込む必要は全くない。
自分の特性を知り、それを活かすことだ。
このことを幹弥先生は強調していた。

私は発達障害ではないが、
幹弥先生の話を聞いていて
大きな励みを頂けたと感じている。
発達障害に限らず、
どんな人でも、得意分野、不得意分野がある。
要は、不得意分野の環境に
自分の身を置かないこと。
それよりも、自分の得意分野を
どのようにすれば、
最大限に活かせるかを考えることが
重要なポイントだと思う。

幹弥先生、役立つアドバイスを
有難うございました。

参考動画:「ADHDとアスペルガー症候群の違いとは?発達障害について
(ユーチューブ 高須幹弥高須クリニック)