「多様性」って
いったいどんなことだろうか?
「多様性」の何が魅力的で、
「多様性」を尊重すれば、
どんな良いことがあるのだろうか?
最近よく耳にする
「多様性」について、
考えてみたい。
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私が今住んでいる場所は、
国連村のようなところ。
ディズニーランドの
イッツアスモールワールド
みたいな雰囲気がある。
アジア人を初め、
多くの外国人が住んでいて、
私のご近所さんの出身国は、
ベトナム、ロシア、フィリピン、ドイツ、
カンボジア、日本、シンガポールなど、
国際色豊かだ。
私の子供たちが通った小・中学校も、
生徒の3分の1が移民の子供や
外国にルーツを持つ子供たちで、
インターナショナル・スクール
のような趣があった。
子供たちが家に連れてくる友達も
様々な文化背景を持つ子たちで、
とても面白い!
肌の色も、目の色も、
髪の毛の色も、みな違う。
Tシャツや短パン姿の子もいれば、
肌の露出はせずに
顔の一部を布で覆っていた子もいる。
宗教上の理由で
豚肉が食べれない子供もいれば、
その辺に生えている草や花を
勝手に摘んで食べてしまう子もいた。
お弁当はサンドイッチが主流でも、
自宅に戻れば、
それぞれ全く違う食文化をしている。
お箸を使って食べる子もいれば、
フォーク・ナイフの子もいる。
中には手でご飯を食べる子もいた。
週末には教会に行く子もいれば、
モスクに行く子もいる。
宗教は特になく、宗教関係の行事には
一切参加しない子供も
少なくなかった。
学校では一応英語を喋っても、
家に帰れば、それぞれの母国語を
話す子供も多い。
年長者を尊敬する文化の子は、
年上の人に対して、
使う言葉や挨拶の仕方を
教えられることもしばしば。
年齢には関係なく、
対等な人間関係の文化の子供は、
小さな頃は、大人に従うよう教育されても、
一定年齢を過ぎれば、
対等に付き合うように奨励される。
様々な文化を持つ人々が
近隣に住む環境にいると、
多様性に富んでおり、
非常に興味深いと感じた。
食べ物、食事の仕方、服装、
話す言葉、宗教、習慣など、
すべてが異なるにもかかわらず、
それぞれが自分たちの
文化や習慣を尊重し、
異なる文化にも敬意を表し、
寛容な態度で接している。
その結果、文化の違いが原因で
喧嘩や争い事、揉め事が
起こることも滅多にない。
私が感心したのは、
みんな仲良く、平和に
暮らしているということだ。
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このような多様性は
目に見えるものなので、
はっきりしていて分かりやすい。
しかし、多様性には、
直接見ることができず、
分かりにくいものもある。
それは、価値観や考え方、
また、何が正しいと思うか
の違いだ。
多様性を認める社会では、
他人のやっていることに
賛同できなくても、
非難したり、批判したりすることなく、
下手に他人を干渉しない。
もちろん、他人に迷惑をかけたり、
社会の秩序を乱すような行為は、
避けるべきだが、それ以外ならば、
お互いを許容して、
相手のことも尊重できる。
自分のやることも大切にするが、
相手のやることも否定せずに
寛容な姿勢で接せられる。
多様性が許される社会では、
自分の考えることを
自由に表現しても、
非難されることもなく、
攻撃される心配もない。
そのため、安心して
自分の思いを表現できる。
自分と相手の考え方が
全く違う場合でも、
それを受け入れられる。
逆に多様性に反することは、
どんなことだろう?
例えば、
自分が正しいと考えることが
絶対的に正しいと思い込み、
それを他人に押し付けたり、
自分の正義を掲げて、
他人を攻撃したりすることだ。
こういうのは
多様性とは真逆の行為だと言える。
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目に見える文化的・習慣的違いには、
寛容な姿勢でいられても、
考え方や価値観の違いに対しては、
「正しい」か「間違っている」で判断して、
多様な考え方や価値観を
受け付けない人もいる。
多様性を考えるとき、
このような目には見えない
分かりにくい多様性を
尊重することは、
とても意義あることだ。
その理由は、それにより、
争い事、揉め事、戦うことを避けて、
皆が平和に心穏やかに
生活することが可能になるからだ。
そのためには、
私たち一人一人が
意識的に気をつけた方が
よいことがある。
それは、自分の考えとは
異なるものに出会った時、
「まあ、そういうのもありね」と
全く違う考え方に
寛容な気持ちで接することだ。
自分が正しいと思うことは、
自分にとっては
正しいかもしれない。
しかし、それは他の人にも
通用するとは
考えない方が無難だ。
なぜなら私たち人間は
多種多様だから。
皆が異なるバックグランドを持ち、
社会的な立場や状況も
全く異なる中で生きている。
よって、正しいと思うことも
違ってきても不思議ではない。
自分の信じることを
他人に押し付けるべきではないし、
自分と異なる意見の人を
攻撃したり、批判したりすることも
慎んだ方がよい。
自分にとって正しいことは
自分の内で大切にするのは
悪くないが、
「もしかしたら、自分の考え方も
必ずしも正しいものではないかも?」
と疑う気持ちを持つことも重要だ。
自分が今見ている角度とは
ちょっと違った角度から観察すれば、
同じことでも、異なる印象を
持つことも、よくあることだから。
また、
置かれた状況が変われば、
自分の考え方も
180度変わってしまうことも
珍しくない。
「絶対にこれが正しい」
と頑固でコチコチの姿勢で、
一つのことに執着するのは
やめた方が賢明だ。
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AとBとCとDとEという
全く異なる考え方があるとき、
Aもあり、Bもあり、Cもあり、
Dもあり、Eもありと
すべてを許容する姿勢は
多様性を受け入れる上では重要だ。
他人に迷惑をかけず、
社会の秩序を乱さないうえで、
それぞれが自分の考え方や価値観を
大切にすることが理想的だ。
同時に、相手の考え方や価値観にも
尊重の念を持つことが大切だ。
多様性を受け入れることは、
豊かさを享受するうえでも有効だ。
バラエティーに富んだ
異なる考えを掛け合わせることで、
素晴らしいアイデアが
生まれることもある。
多様性を悪いことだ
と捉えるのではなく、
上手く利用することで
生活をより良くする方が賢明だ。
異なる価値観や考え方に
寛容になれば、
争いや揉め事を防ぎ、
皆が穏やかな気持ちで
幸せに生きることが可能になる。
目に見える多様性だけでなく、
目には見えにくい多様性にも
柔軟な心を持ち、
多様性を楽しんでいこう!