もしかして、私、メンタル疾患かも? と迷ったら、どうする?

最近は、ネット上で医学情報が
簡単に得られるようになった。
精神医学に関しても、
様々な病気の診断基準が紹介され、
それらを読んだとき、
「これは、自分によく当てはまる!
私はメンタル疾患かもしれない!」
と心配する人もいるだろう。

そんな場合、
専門医に診てもらうべきかどうか、
何を基準に決めればよいのだろうか?
この疑問に分かりやすく
回答してくれたのが、
精神科医・樺沢紫苑先生の
ユーチューブトークだ。

樺沢先生によれば、
次の2つの点が重要だそうだ。
一つ目は、社会生活に
支障をきたしているのか?ということ。
二つ目は、本人が激しい苦痛を
感じているかどうか?だ。
どちらか一つだけでも
認められるのなら、
メンタル疾患の可能性があるので、
専門医にお世話になるべきだ、
とのことだ。

なかなか分かり易くて、
自分でも判断しやすい基準だろう。

私自身の経験だが、
私は小学校高学年のとき、
死の恐怖を体験するような
事件に巻き込まれて以来、
メンタルを酷く病んでしまった。

不安に襲われることが多く、
パニック発作を頻繁に起こしていた。
喉の奥に物が詰まった感覚があり、
食べ物を上手く飲み込めず、
普通の食事ができなくなった。
息苦しさ、頻尿、腹部の不快感、
不眠などに悩まされ、
普通の社会生活が送れなくなった。

こんな私は、母に連れられて病院へ行った。
最初は内科に行き、身体の検査を受けた。
でも、何も異常が見られなかった。
次に行ったのは、総合病院の精神科。
ここでも、何も異常がないと言われ、
「精神的に弱い子だから、こうなる」
と医師から説明を受けた。

樺沢先生が仰る2つの診断基準に当てはめれば、
当時の私は、どちらも満たしており、
メンタル疾患の疑いが強かった。
身体の不快の症状は、かなり酷く、
自分自身がツライ思いをしている。
また、こんな状態なので、
学校へ行けたり、行けなかったりだった。
たとえ行けたとしても、
学校の勉強や活動には集中できず、
ぼーとした状態で、
クラスの中で座っていただけだった。

こんなにしんどく、ツライのに、
「何も異常はありません。
単に、精神が弱い子なんです」
で片づけられてしまったのは、
その当時の日本では、
PTSDの概念がなかったからだ。

もし、今現在、私が全く同じ状態で、
精神科を受診していたなら、
PTSDと診断されて、
それなりの治療を受けることができるだろう。

精神的に弱い子ならば、
スパルタ教育をして、強くしてあげなければ、
と私の両親は思ったようだ。
そのため、私は両親から、
かなり厳しい扱いを受けた。
「身体の不調を感じるのは、
怠けていて、気がたるんでいるから!」
と母親から厳しく叱られ、
また、学校へ行けない私に、
父は毎晩、暴力を振るい、体罰を与えた。

この頃の自分を振り返れば、
両親や学校の教師、周りの人々に
自分の心身の不調を
全く理解されずに、
本当に苦しい日々だった。

しかし、今では、
様々なメンタル疾患の概念が広まり、
昔はなかったような病名を
診断される人も多い。
ある病気の特徴がリストになっていて、
そのうちの幾つかの特徴があれば、
「~病です」と診断される。

アスペルガー症候群の患者数は、
最近、かなり増えている。
昔は、アスペルガー症候群になる人は
少なかったのに、最近、急激に増えた。
その理由は何なんだろうか?

実は、アスペルガー症候群になる人は、
今も、昔も、そんなに変わりはないのでは?
ただ、診断基準が確立されて、
それが世に広まったために、
その診断を受ける人が多くなった
ということだと思う。

社会生活に支障をきたし、
本人もかなり苦痛を感じている、
ということならば、
それなりの治療が必要だろう。
でも、診断基準に当てはまっていても、
必ずしも、社会生活に支障をきたし、
苦痛が大きいというわけでもない。

診断基準に当てはめすぎてしまい、
きちんと普通の生活ができているのに、
心配したり、気にしすぎたりして、
ムリに病気になってしまう人もいる。
これは、かなりオカシナことでは?

メンタル疾患で治療をする目的は、
社会生活に支障がなくなるように、
また、本人の苦痛を軽減するように
ということだろう。

もしも、普通の社会生活ができていて、
本人も何も苦痛がないのなら、
診断基準の多くに当てはまっていても、
別に何もする必要はないはずだ。

単に、診断基準の多くに当てはまる、
というだけで、
「あなたは、~病です」
と言われれば、本人も、
「そうなんだ」と思い込み、
本当に、病気のようになってしまうだろう。

昔の私のように、
社会生活も難しく、苦痛も大きい人は、
是非、専門医に相談するべきだ。
でも、樺沢先生が仰る2つの点で、
何も問題がないのならば、
ネット上で見た診断基準に、
当てはまるものが多くても、
全く気にすることはない。

要は、きちんと社会生活ができているのか?
また、自分自身が苦痛ではないか?
これらのことが一番重要なので、
この点を重視するのは、
理に適っていると思う。

樺沢先生、役立つトークを
有難うございました。

参考動画:「これって心の病気ですか?
(ユーチューブ 精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル)