ニュージーランドの小学校には
入学式がない。なぜ、そうなのか?
その説明をするとともに
ニュージーランドの学校制度について
お話してみたい。
ニュージーランドの義務教育は
基本的には6歳から16歳まで。
でも、子供が5歳の誕生日を迎えた後は、
いつでも小学校へ入学できる。
私の子供たちが通った幼稚園では、
5歳の誕生日の前日が
幼稚園の最後日になっていた。
幼稚園の先生が
「アレックス君は明日で5歳になります。
明日からは学校へ行くので、
今日でアレックス君とはお別れです」
とアナウンスして、クラス全員が
「ハッピーバスデー」の歌を歌ってくれた。
その翌日には、もう小学生になる。
いきなり小学校へ入るのは、
子供にとっても精神的負担が多いので、
5歳の誕生日間近になると、
幼稚園の先生が子供を「学校訪問」
に何度か連れて行ってくれる。
2~3時間、小学校の雰囲気を
体験して、慣れておき、
子供がスムーズに学校へ行けるよう
配慮してくれる。
こういう感じで、
多くの子供が5歳の誕生日に
小学校へ入学する。
皆、入学時がバラバラなので
日本のような入学式はない。
小学校初日には、先生がクラスの子供たちに
「今日から、アレックス君が
クラスに加わりました。
みんな、仲良くしてあげてね」
とアレックスのことを紹介してくれる。
初日は親も教室の隅っこで
クラスを見学するのが普通なので、
様子が分かって、安心できる。
ニュージーランドでは
小学校が6年間。中学校が2年間。
高校が5年間で、その後、大学へと続く。
5歳で小学校に入学すれば、
小・中・高のすべてを終了した時点で18歳。
日本で大学に行く年齢と同じだ。
日本では小学6年生の次の年は
中学1年生になり、中学3年生の後は
高校1年生になるが、
ニュージーランドでの学年の呼び方は
日本とはちょっと違う。
中学校の1年目が7年生になり、
高等学校の1年目が9年生になる。
高等学校最終学年が13年生ということだ。
16歳の誕生日以降は、いつ学校をやめても
義務教育を果たしたことになる。
昔は16歳になったら直ぐに学校をやめて、
就職する子供も多かったそうだ。
ただ、最近では、16歳で学校をやめても
就職できないことが多く、
子供が勉強嫌いな場合にでも、
最低でも11年生の終わりまで、
もしくは、12年生の終わりまで
学校へいることがほとんどだ。
高等学校最終学年に到達するころには、
社会に出て働く子供もいるので、
13年生のクラスは人数が多少少なくなる。
高等学校の最後の3年間である
11年生、12年生、13年生には
NCEAと呼ばれる全国統一試験があり、
この試験で子供の学力が測定される。
NCEAの結果で、大学進学ができるか
決まることになるが、大学進学へのレベルは
さほど高くないので、
よっぽど悪い点数を取らない限り、
大学へ進むことは可能だ。
ただし、ニュージーランドの大学は
かなりスタンダードが高くて、
一定の基準を満たさなければ、
容赦なく赤点を食らうので、
大学に入学しても、
途中でギブアップすることも、よくある話。
ニュージーランドでは
5歳から19歳までの教育費は無料。
ただし、どの学校もドネーションと呼ばれる
寄付金を学生の親に支払うようお願いする。
また、制服がある学校の場合には、
親は制服を買わなければならないので、
子供を学校へ送るのに
全くお金がかからないわけではない。
ニュージーランドでは、
小・中・高の場合には4学期制で、
通常1月下旬、または、2月上旬に
新学年が始まり、12月中旬には
1学年が終了する。
その間、4月、7月、10月に
それぞれ2週間の「スクールホリデイ」
と呼ばれるお休みがある。
12中旬に1学年が終了してから、
次の学年が始まるまでは、
「クリスマスホリデイ」と呼ばれるお休みになる。
この時期には、南半球のニュージーランドは
夏の季節になるので、
日本でいう「夏休み」のようなものだ。
ニュージーランドでは
子供の能力に合わせて、
「飛び級」をさせる場合も多い。
勉強がスゴクできる子供は
上級生のクラスに入って勉強する。
まだ大学進学の年齢でなくても、
NCEAの試験に合格していれば、
大学に行って勉強する子供も稀にいる。
ニュージーランドには
日本のような「学校給食」はない。
基本的には皆、お弁当を持参する。
学校によってはキャンティーンがあり、
パイやサンドイッチ、チップスなどを
買うこともできる。
私の子供たちが通った小・中学校は
小学校と中学校が一緒になっていて、
1年生から8年生までの一貫教育だった。
小学校と中学校が別々の場合もあるが、
小・中が一緒になった学校も
ニュージーランドには沢山ある。
私の子供たちの小・中学校の成績表は
日本の成績表とは違って、
段階による評価はなかった。
各科目ごとに、先生からのコメントが
2~3行書かれているような成績表だ。
そのコメントには、子供の得意なこと、
良くできた点を中心に
ポジティブなコメントが多かった。
ちょっとした豆知識だが、
日本で「College」と言えば、
大学レベルを指すが、
ニュージーランドでは
「College」は高等学校のことだ。
ニュージーランドでは
子供を学校へ通わせないで、
ホームスクーリングをすることも可能だ。
親が教師になり、子供に勉強を教えることになる。
この場合、教育省から許可を得る必要があるが、
親が一定の基準を満たせれば、
ホームスクーリングもできる。
私の義理の弟の子供4人は
ホームスクーリングだったので、
小学校、中学校、高校へは行っていない。
自宅で各々が勉強して、
時々、ホームスクーリングをする人たちの
集まりに出席して、交流していた。
ホームスクーリングは
ニュージーランドではマイノリティーだが、
何らかの事情で学校へ行けない場合、
このオプションがあることは
とても素晴らしいことだと思う。
ということで、
今回はニュージーランドの学校制度を
私が知っている範囲内でお話してみた。