昨日の投稿「あなたは自分軸で生きていますか?」
に引き続き、今回は「自分軸」について、
もう少し掘り下げてみたい。
「自分軸で生きれば、自己中にならないか?」
と心配する人も多い。
自分軸で生きている人も、
自己中心的な人も、
確かに、共通点はある。
自分の内側にある「~したい」という
欲求に従って生きている点では同じだ。
でも、両者は本質的に大きな違いがある。
それは、個人の境界線をはっきりと
切り分けられているか否かである。
自分と他人を別の人間だと
本当の意味で理解できているか?
自分と他人のバウンダリー(境界線)を
きちんと守れているか?
それが「自分軸で生きている人」と
「自己中心的な人」を分ける違いだ。
自己中心的な人間は
自分と他人のバウンダリーが曖昧だ。
自分の考えるように、
他人も考えるよう期待している。
自分の思う通りに、
他人が動くことを期待している。
自分のために、他人が動くのが当然だ
と思っているのが自己中の人だ。
自己中の人は客観的視点に欠けており、
自分と考え方や価値観の違う
他人の存在を、本当の意味で理解できていない。
それに対して、自分軸で生きる人には
自分と他人のバウンダリー(境界線)が
はっきり見えている。
ここまでが自分の課題で、
これを超えると他人の課題になることを
正しく理解している。
自分軸で生きる人は、自分の望むことを
他人に期待することはなく、
自分自身で行動を起こす。
そして、その行動の結果に対しても、
自分自身で責任を負う。
自己中の人とは違い、
「周りの人たちにも、自分の思う通りに
動いて貰って当然だ」とは思っていない。
具体的に、こんな場合はどうだろうか?
彼氏がいて、その彼氏と結婚も考えている。
でも、親は大反対だ。
「あなたの彼は学歴は低いし、
家柄も良くない。そんな人と結婚しても
あなたは幸せにはなれない。お見合いして
高学歴で、立派な職業に就いている人と
結婚しなさい!お母さんは、
あなたのためを思って、そう言っているのよ!」と。
そして、勝手に見合いの段取りを進めて、
嫌がる娘に、親が気に入った人との
結婚を押し付けてくる。
それに対して、娘は反抗して、
親の言うことは全く聞き入れずに、
結局、自分の愛する彼氏と結婚した。
こういう状況下で、親は嘆く。
「我が娘は本当に自己中の人間だ!」と。
親は娘のことを心配して、
娘が幸せな人生を歩めるように、
最善の人との結婚を勧めている。
親自身は、娘にとって良いことをしている、
と信じ込んでいるので、
自分は正しくて、
娘が自己中心的な自分勝手な人間だ
と言い張る。
でも、この親は自分と娘との境界線を
正しく理解していない。
いくら血の繋がった親子であれ、
子供が成人した後は、
親も子供も別個の人間だ。
親も子供も、それぞれ自分のバウンダリーがある。
それぞれの課題があるのだ。
親が「子供のためを思って…」と
自分が良かれと思うことを
子供に押し付けても、
子供にとっては、
それが良いこととは限らない。
親は自分の考えは、子供にとっても
同じように良いことだと勘違いしている。
でも、子供は親とは別の人間なので、
親の言うことが、子供にとって
本当に良いことかは分からない。
親は子供に自分と同じように考えて欲しい。
親の思い通りに、動いて欲しい、と願う。
成人した子供の人生は、
自分の領域外のことなのに、
それをコントロールしようとする。
そのため、親子関係が
おかしくなってしまう。
この場合、娘が自己中なのではなく、
親の方が自己中だと言える。
なぜなら、この親は自分と娘の
課題の切り分けができていないから。
子供には子供の人生があることを
本当の意味で理解できていない。
だから、口出ししてはいけない領域に
平気で口出しして、
親子関係を悪化させる。
結婚とか、就職とか、
人生における大きな決断時に、
親が自分の課題の領域を間違えて、
口出ししてはいけない
子供の領域に口出しすれば、
親子関係で悲劇を生むことは多い。
では、どうすれば、このような
親子関係の悲劇を防げるのか?
それは、親も子供も次のことを知ること。
「基本的には、自分以外の人間を
コントロールすることはできないこと」を。
コントロールできないことを
コントロールしようとすれば、
思い通りにならなくて、行き詰まる。
だから、自分のコントロール外のことは
口出ししないのが一番だ。
どんなに親密な人間関係にある人も、
自分以外の人間は、自分がコントロール
できるものではない。
自分は自分の領域内で、
自分の課題に専念する。
相手にも相手の領域があり、
課題がある。それは、自分が
口出しすることではなく、
相手が専念するべき課題だ。
このように相手と自分を
真の意味で切り分けできるようになれば、
自分は自分の課題に集中する。
そして、相手が相手の課題に集中
することを尊重できるようになる。
これにより、両者が自分軸で生きれるようになる。
自分軸で生きる人と自己中の人間は
全く違うものだ。
自分軸で生きている人は、
自分の望むように、自分らしさを
追求すると同時に、
他人に対しても、他人が望みを追求することを
尊重して、他人と自分のバウンダリー(境界線)
をきちんと守れる。
それができれば、より多くの人が
自分軸で幸せに生きることができる
と私は信じている。