断るのが苦手な人へ。自己犠牲をやめるアサーショントレーニング

頼まれると嫌でも断れない。

相手の機嫌が気になって、
本音を飲み込んでしまう。

自分が我慢をすれば、
その場がうまく収まると思ってしまう。

もしそんな経験に心当たりがあるなら、
この記事はあなたのためのものです。

今回は、
自分も相手も大切にする伝え方である
「アサーション」について、
その考え方と練習方法を紹介します。

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やさしい人ほど、自分を後回しにしやすい

誰かに頼みごとをされたとき、
本当はやりたくないのに
「いいですよ」と引き受けてしまう。

会議で意見を言いたくても、
場の空気を壊したくなくて
黙ってしまう。

友人から誘われたときも、
行きたくないのに
無理をして参加してしまう。

そんな経験はないでしょうか?

こうした行動は、
あなたが優しい心の持ち主で、
人を大切にできるからこそ
起こるものなのでしょう。

相手の表情や言葉の裏にある
気持ちに敏感で、
場の空気を読み取る力があるため、
相手が求めていることに気づき、
周囲の人を思いやった行動が
できるのです。

ただ、
その優しさや気遣いが行きすぎて、
自分を後回しにし続けると、
心の疲れや不満が
少しずつ積み重なっていくでしょう。

一つひとつは小さなことでも、
無理をした経験や
飲み込んだ本音が積み重なれば、
相手にイライラしたり、
関係を続けることに
苦痛を感じたりするように
なるかもしれません。

その結果、
相手との心の距離も
広がっていきます。

これでは、
健全で親密な関係を
築けないでしょう。

だからこそ、自分も相手も
大切にできる伝え方を練習し、
長い目で見たときに、
良好な関係を築けるようにしていくことが
大切なのです。

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3 つのコミュニケーションスタイル

コミュニケーションには、
大きく分けて 3 つのスタイルがある
と言われています。

1 つ目は、攻撃的な伝え方です。

これは、
自分の意見を優先しすぎるあまり、
相手の気持ちを無視し、
傷つけてしまう伝え方です。

相手を言い負かしたり、
責めるような言葉を使ったりすることで、
一時的には自分の希望を
かなえられるかもしれません。

しかし、最終的には
関係がぎすぎすしてしまうでしょう。

2 つ目は、非主張的な伝え方です。

これは、相手を優先しすぎて、
自分の気持ちを
抑え込んでしまう伝え方です。

その場はうまく収まったように見えても、
自分の中には我慢や不満が残ります。

その状態が続けば、長期的には
良好な人間関係を
築くことが難しくなるでしょう。

そして 3 つ目は、
アサーティブな伝え方です。

これは、自分も相手も同じように
大切にする伝え方です。

相手の状況や気持ちに配慮しながら、
自分の気持ちや考えも正直に伝える、
バランスのよい対話スタイルです。

良好な人間関係を築き、
それを維持していくためには、
お互いがアサーティブな伝え方を
意識することが不可欠です。

自己犠牲をしやすい人は、
非主張的な伝え方に
偏りやすい傾向があります。

長年そのようなやり方で
人間関係を築いてきた場合、
いきなりアサーティブな伝え方に
変えるのは、
現実的ではないかもしれません。

それでも、小さな場面から
少しずつ練習していけば、
やがてアサーティブな伝え方が
できるようになります。

そうすることで、
自分にとっても相手にとっても、
より心地よい関係を築けるでしょう。

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自分を犠牲にする背景にあるもの

アサーティブな伝え方を
練習すると同時に、
自分自身をより深く理解することも、
良好な人間関係を築く助けになります。

いつも自分を後回しにしてしまう人は、
なぜそのような行動を
取るようになったのかを
振り返ってみるとよいでしょう。

人を優先しすぎてしまう人の中には、
人間関係について
偏った思い込みを
抱えている人も少なくありません。

たとえば、
「断ったら嫌われてしまう」
「人に迷惑をかけてはいけない」
「自分の希望を伝えるのはわがままだ」
といった考え方です。

こうした考え方は、
幼少期の親子関係や家庭環境、
これまでの人間関係など、
さまざまな経験を通して
少しずつ身についてきたものだ
と考えられます。

たとえば、子どものころ、
我慢して周囲の期待に応えたときには
褒められ、
自分の希望を伝えたときには
叱られることが多かったとします。

そうした経験が重なると、
「自分の希望を言うのは
わがままなことだ」と
思うようになるでしょう。

その結果、
親や周囲の人から愛され、
受け入れてもらうために、
自分の希望を抑え、
相手の期待に応えようとしても
不思議ではありません。

そして、このような行動パターンは、
大人になってからも無意識に繰り返され、
親以外の人との関係でも、
同じように自分を
後回しにするようになるのです。

しかし、これは、
あなたがこれまで自分を守り、
人間関係の中で
うまく生きていくために身につけてきた、
一つの方法でもあります。

特に子どものころは、
自分一人で生活することができません。

養育者に守られ、
受け入れてもらう必要があるため、
相手の期待に応えようとすることは、
子どもなりに自分を守る方法
だったのでしょう。

それは、決して間違ったことでは
ありませんでした。

けれども、
大人になった今のあなたは、
養育者に頼らなくても、
自分の足で生きていける
独立した人間です。

そのため、
昔身につけた人間関係のパターンを、
これからもずっと
持ち続ける必要はないのです。

もし、その関わり方が
今のあなたを苦しめているのなら、
自分も相手も大切にできる新しい伝え方を、
少しずつ練習してみてもよい
と思います。

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「自分の本音に気づくこと」から始めよう!

ここからは、
アサーショントレーニングの
具体的な方法について
お話ししましょう。

自己犠牲をしやすい人は、
相手の気持ちには敏感でも、
自分自身の気持ちには
鈍くなっていることがあります。

そのため、
アサーショントレーニングの第一歩は、
「自分はどう感じているのか」に気づき、
それを自分の中で言葉にしてみることです。

たとえば、
誰かに頼みごとをされたときは、
すぐに返事をせず、一旦保留にして、
あとで返事をするようにします。

そして、
自分の気持ちを確かめてみましょう。

自分の本音はどうでしょうか?
嫌だと感じてはいないでしょうか?

それとも、無理なく
手伝いたいという気持ちが
あるのでしょうか?

こうして、自分の気持ちを
確認する習慣をつけていくのです。

自分の気持ちが
すぐには分からないときは、
体の感覚に注目してみるのも
一つの方法です。

胸のあたりが重く感じる、
肩に力が入る。

こうした体のサインは、
頭で考えるよりも先に、
自分の本当の気持ちを
知らせてくれることがあるからです。

自分の本音に気づき、それをまずは
自分の中で言葉にしてみる。

これが、アサーティブな伝え方を
身につけるための
最初の一歩になるでしょう。

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「断る」ことは、相手を否定することではない

自分の本音を確かめた結果、
「今回は引き受けたくない」
「今の自分には難しい」
と感じることもあるでしょう。

そんなときに、
覚えておいてほしいことがあります。

それは、頼みごとや誘いを断ることは、
相手そのものを否定することではない
ということです。

「今の自分にはできない」
「その条件では引き受けられない」と、
自分の状況や限界を
伝えているにすぎません。

断ることに
罪悪感を抱くことがあっても、
そのことで自分を責める必要は
ないのです。

ただし、「できません」とだけ伝えると、
相手には
冷たい印象を与えるかもしれません。

そこで、
自分も相手も大切にできる断り方を、
あらかじめ練習しておくと
よいでしょう。

たとえば、
「声をかけてくれてありがとう。
ただ、今日は余裕がないので難しいです」と、
最初に感謝を伝えてから
断る方法があります。

また、
「手伝いたい気持ちはあるのですが、
今週は予定が詰まっているので、
今回はお断りさせてください」というように、
相手への気持ちと、
自分が引き受けられない事情を
分けて伝えることもできます。

すべてを引き受けるのが難しい場合には、
「全部は難しいですが、
30 分だけなら手伝えます」と、
自分にできる範囲を示す方法もあります。

感謝の気持ち、自分の事情、
できることとできないことを
丁寧に伝えれば、
相手を突き放すような印象を
与えることはないでしょう。

断ることは、人間関係を
終わらせる行為ではありません。

むしろ、お互いが無理をせず、
これからもよい関係を続けていくための
調整ともいえるのです。

良好な関係を築くために大切なのは、
相手の気持ちだけを
優先することではありません。

相手を思いやるのと同じように、
あなた自身の気持ちや限界も
大切にすることが必要なのです。

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アサーティブな伝え方に役立つ「I メッセージ」

アサーティブな伝え方をするときに
役立つ方法の一つが、
「I メッセージ」です。

I メッセージとは、
「私はどう感じたのか」
「私はどうしてほしいのか」というように、
自分を主語にして
気持ちや希望を伝える方法です。

英語の「I=私」に由来しており、
日本語では、「私は~と感じました」
「私は~してもらえると助かります」
といった形で表現します。

たとえば、相手が
約束の時間に遅れてきたとします。

そのとき、
「あなたはいつも遅いよね。
どうして時間を守れないの?」と伝えたら、
相手はどのように感じるでしょうか?

このような言い方は、
相手の行動や人格を
責めているように聞こえやすいため、
相手は反発したり、
言い訳をしたくなったりするでしょう。

一方、I メッセージを使うと、
次のように伝えられます。

「待っているあいだ、
少し不安になりました。
これからは遅れそうなときは、
早めに連絡をもらえると
安心できます」

この言い方なら、自分が感じたことと、
相手に望んでいることを
率直に伝えながらも、
相手を一方的に責めずに済みます。

相手の言い方が
きついと感じたときも同じです。

「そんな言い方をするなんてひどい!」
と責めるのではなく、
次のように伝えてみたらどうでしょう?

「その言葉を聞いて、
私は少し悲しい気持ちになりました。
もう少しやさしく話してもらえると、
私も話を聞きやすくなります」

I メッセージのよいところは、
相手を攻撃するのではなく、
自分の気持ちや希望に焦点を当てて
伝えられることです。

人は、「あなたが悪い」
「あなたのせいだ」と言われると、
自分を守ろうとして、反論したり、
攻撃的になったりしやすいです。

しかし、「私はこう感じた」
「私はこうしてもらえると助かる」
と伝えられると、
責められていると感じることも少なくなり、
相手も話を受け止めやすくなるでしょう。

ただし、I メッセージは、
単に文の最初に「私は」をつければよい
というものではありません。

たとえば、
「私は、あなたは無責任だと思います」
という言い方は、
形のうえでは「私は」から始まっていますが、
実際には相手を評価し、責めています。

大切なのは、
相手の人格を決めつけるのではなく、
自分が感じたことや、
これからどうしてほしいのかを
具体的に伝えることです。

I メッセージは、
家庭や職場、友人関係など、
さまざまな場面で役立ちます。

特に、
言いにくいことを伝えるときほど、
「あなたは」ではなく
「私は」を主語にしてみましょう。

それだけでも、会話が
相手を責めるためのものではなく、
お互いを理解し、
よりよい関係を築くためのものへと
変わっていくでしょう。

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小さな場面から練習する

アサーティブな伝え方を、
いきなり大切な場面で
完璧に使おうとしても、
なかなかうまくいかないと思います。

特に、これまで
自分を後回しにしてきた人にとって、
本音や希望を伝えることは、
とても勇気のいる行動だからです。

そのため、まずは
日常の小さな場面から
練習することをお勧めします。

たとえば、
飲食店で希望する席を伝える、
周囲に合わせるのではなく
自分が食べたいものを注文する、
友人に
「その日は難しいけれど、
別の日なら会える」と伝える、
職場で「今すぐではなく、
午後でもよいですか」と相談する、
といったことです。

最初は、
比較的言いやすい場面や、
安心して話せる相手から
始めるとよいでしょう。

小さな場面での
成功体験が積み重なると、
「自分の希望を伝えても、
大丈夫だ」ということを、
少しずつ実感できるように
なるでしょう。

最初からうまく
言葉にできなくても
気にしないでください。

声が震えたり、
言い方がぎこちなくなったりしても、
それは練習を始めたばかりなら
自然なことです。

大切なのは、
上手に伝えることではなく、
自分の気持ちを伝えようとした
経験そのものです。

日々の小さな場面で、
今の自分に無理のない範囲で
練習を重ねていきましょう。

そうするうちに、
アサーティブな伝え方は、
少しずつ自然なものに
なっていくでしょう。

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アサーションを続けるために大切なこと

どれだけ丁寧に
アサーティブな伝え方をしても、
相手がいつも自分の望むように
反応してくれるとは限りません。

驚かれたり、戸惑われたり、
ときには少し不機嫌な態度を
取られたりすることもあるでしょう。

しかし、それだけで
「伝え方を間違えた」
と考える必要はありません。

これまで相手に合わせ、
頼みごとを何でも引き受けていた人が、
自分の気持ちや希望を伝え始めれば、
周囲が変化に戸惑うのは自然なことです。

そんなときに大切なのは、
相手の反応をすべて
自分の責任にしないことです。

あなたには、
自分の気持ちや考えを伝える
権利があるはずです。

一方で、相手にも、
それをどのように受け止めるかを
選ぶ自由があります。

あなたが相手を尊重しながら、
アサーティブに気持ちや考えを伝えたとき、
相手が期待した反応を示してくれなくても、
それは仕方のないことです。

あなたは
自分の言葉や伝え方には
責任を持つ必要がありますが、
相手の感情や機嫌まで、
すべて背負う必要はないのです。

他人の気持ちや反応を、
自分の思い通りに
変えることはできません。

このことを心に留めておくと、
相手の反応に必要以上に
振り回されることなく、
アサーションを続けやすくなるでしょう。

また、どのような相手や場面でも、
常にアサーティブに
振る舞わなければならないわけでは
ありません。

関係性やそのときの状況を考えたうえで、
「今回は相手に合わせよう」
と自分で選ぶことも、
立派な判断です。

アサーションは、
守らなければならない義務では
ありません。

自分も相手も大切にするために、
新しく使えるようになった
もう一つの選択肢です。

思うように伝えられない日や、
つい以前のように
我慢してしまう日があっても、
それまでの努力が
無駄になるわけではありません。

振り出しに戻ったのではなく、
その経験もまた、
身につけていく過程の一部です。

焦らず、今の自分に合ったペースで、
少しずつ続けていきましょう。

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おわりに

この記事では、
断ることが苦手な人に向けて、
自分も相手も大切にする伝え方である、
「アサーション」について
お伝えしました。

相手を思いやることは、
とても大切です。

しかし、そのために
自分の気持ちを抑え続け、
心や体が疲れ切ってしまうのであれば、
その関係のあり方を
少しずつ見直していったほうが
よいでしょう。

自分の本音を伝えることは、
わがままなことでも、
相手を拒絶することでもありません。

お互いが無理をせず、
長く心地よい関係を続けていくために
必要なことなのです。

まずは、自分が何を感じているのかに
気づくことから始めてみてください。

すぐに返事をせず、一旦立ち止まって、
自分の本音を確かめてみましょう。

そして、断るときには
感謝や事情を添え、
必要に応じて I メッセージを使いながら、
自分の気持ちや希望を伝えてみてください。

最初からうまくできなくても
問題ありません。

大切なのは、
完璧な言葉で伝えることではなく、
お互いの気持ちを大切にしようとする
姿勢です。

小さな場面で練習を重ねるうちに、
「断っても関係は壊れない」
「自分の希望を伝えても大丈夫」と、
少しずつ実感できるようになるでしょう。

今日から、ほんの少しでも
自分の気持ちに耳を傾けてみてください。

その小さな一歩が、
我慢だけで成り立つ関係から、
お互いを尊重し合える関係へと
変わっていくきっかけになるでしょう。