アドバイスしたくなっても、ちょっと待って! 最初にこれを確認して

今回の話は、
求められていないのに、
アドバイスしたくなった場合、
いったん立ち止まって、
考えた方がよいことについて。

近くにいる人が
こういうやり方をしているけれど、
あなたは別の方法でやったほうがよい
と思っている。

なぜなら、彼女のやり方は
イマイチだから。

そんな場合、アドバイスして、
もっとよいやり方を教えげあげよう
という気になるだろう。

でも、ちょっと待って!
アドバイスする前に、
考えて欲しいことがある。

下手なアドバイスは
しない方が望ましい場合も
あるからだ。

====

では、何を考えればよいのか?

それは、
自分が正しいと思うことは、
その相手にも正しいとは
限らないこと。

自分の立場や視点では、
「このやり方が正しい」
と確信できても、

自分の「正しい」は、
いつでも、どこでも、誰にでも
通用するものではない。

相手のやり方が
自分にとっては悪いものだ
と思われても、

相手はそのやり方で
満足しており、
何も問題を感じていない。

もしそうなら、
相手にとっては
そのやり方が正解なのだ。

だから、わざわざ、
聞かれてもいないのに、
自分の方から「こうした方がよい」
と教えてあげる必要はない。

あなたにとっては、
あなたが正しいと思うやり方が正解。

だから、あなたは
そのようにやればよい。

しかし、相手にとっては
別のやり方が正しい。

よって、
相手に口出しすることなく、
相手が相手のやり方で
やることを尊重してあげよう。

====

なぜ、そんな話をするのかは、
揉め事や争い事は、
「自分が信じる正しいこと」から
来るものが多いから。

人間誰もが「~するのが正しい」
と信じるものがあり、
各々の「正しいこと」は
一致しない場合がほとんどだ。

同じ事柄についても、
Aさんが正しいと信じることと、
Bさんが正しいと思うことは、
嚙み合わない場合が多い。

もし、AさんとBさんの「正しいこと」が
相反するものであり、
お互いがお互いの「正しいこと」を
受け入れられなければ、
揉め事や争い事が起きる確率も高い。

Aさんも、Bさんも
自分が信じる「正しいこと」に固執して、
譲らなければ、喧嘩が起きても
不思議ではない。

一番悲惨な争いは、
「平和のための戦い」。

世界が平和になるためには
「~するべきである」
と堅く信じている側が、

同じようには考えない
相手側を攻撃する。

なぜ攻撃するのかは、
正義を守るためだから。

確かに、彼らの話を聞けば、
「うん、そうだね」と納得できる。

彼らの言うことは
理にかなっていて、正しい
と思われる。

しかし、ここで注意点がある。

一方の側の立場や視点で
語られることだけしか
聞いておらず、

相手側のことは
何も知らないことに
気づかねばならない。

その理由は、
相手側の話を聞けば、
それなりに相手側の言い分も
あるからだ。

相手側の言うことは、
相手側の人たちにとっては
正しいことで、そうするべきだ
と考えられている。

そして、あなたも
相手側の視点や立場で
語られることを聞けば、
「確かにね、分かるよ」
と肯けることも多々あるからだ。

喧嘩の仲介役になれば、
そのことがよく分かる。

どちらの側も
自分にとって正しいこと
をしているけれど、
お互いの「正しい」が
食い違うから、争いが起きるのだ。

====

人間関係が親密になるにつれて、
相手に自分が良かれと思うことを
押し付けようとすることがある。

相手のためにと思い、
親切心でやっていることだ。

しかし、その善意により、
せっかく仲良くなった関係が
壊れてしまうことも珍しくない。

求められていないのに
自分の方から一方的に
アドバイスしようとするからだ。

ちょっとサラリと一度だけ
言うならよいけれど、

相手が自分の言うことに従うまで
同じことを言い続けたり、

何度も同じアドバイスを繰り返して、
相手にしつこく迫る場合もある。

アドバイスする側は
善意でやっているから、
自分が迷惑をかけているとは
これっぽっちも思わない。

しかし、相手にとっては
お節介だと感じられて、
迷惑しているのだ。

いくら気の合う仲間でも、
自分と全く同じように考えて、
全く同じ価値観を持つわけではない。

多くのことに同意できても、
すべてにおいて
同じ意見を持つわけでもない。

人間はそれぞれ
どこかで他人とは違っていて、
すべての人がユニークな存在だ。

多種多様な人間が
多種多様な考え方、価値観を持ち
共存しているのが、この世界。

世界中のすべての人たちが
「これが正しい」と
口を揃えて言う絶対的な「正しいこと」は
どこにも存在しないのだ。

よって、
自分にとっての「正しい」は、
相手にとっても「正しい」とは
思わない方が賢明だ。

====

親切心で相手のためになることを
アドバイスしたいと思ったときには、
ちょっと立ち止まって考えよう。

相手は自分からのアドバイスを
欲しているだろうか?

アドバイスすることで
自分は自分の「正しい」を
相手に押し付けることは
ないだろうか?

このことを考えた上で、
やはりアドバイスしたい
と思うのなら、

アドバイスするのは
一度きりでよい。

くどくどと何度もしつこく
言ってはダメだ。

自分がアドバイスしたことを
相手が従わなくても、
気分を害したりするのはNG。

「参考程度に聞いてね」
という姿勢で、
押し付けることはしない。

なぜなら、
自分にとっての「正しい」
があるのと同時に、

相手にとっての「正しい」
もあるからだ。

自分の「正しい」と
相手の「正しい」は
必ずしも一致しないことを
覚えておけば、役に立つ。

相手の正しいも
尊重できるようになれば、
人間関係も良好になるはずだ。