今回は、
仕事で実力を発揮できず、
職場で活躍することもなく、
自分を情けなく思う人に
向けた話。
あなたができないのは、
あなたが悪いのではない
という内容だ。
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では、何が悪いのか?
それは、
適材適所で人を雇えない
会社側に問題がある。
典型的な日本企業の
終身雇用体制下では、
不適切な人事配置をして、
社員を苦しめてしまうことも
しばしば起きる。
苦手なことを無理矢理やらされ、
得意分野を活かすことなく、
働く意欲を失う若者たちも
少なくない。
もし、入社した会社で、
自分のスキルを活用できず、
苦手な仕事を
押し付けられているのなら、
あなたが仕事ができないのも、
やる気を失うのも、
当然のことだ。
あなたは自分が悪い
と思っているかもしれないが、
本当に悪いのは
あなたではなく、会社の方だ。
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日本では「みんな同じがよい」
という社会風潮がある。
切っても切っても
同じ絵が出てくる「金太郎飴」は
これを象徴している。
典型的な日本企業の
終身雇用制度では、
多様性は無視されて、
みんなが同じ人材になるように
社内教育が行われる。
入社してから
社員に様々な業種を経験させ、
幅広いスキル習得をさせるのは、
「人間は得意・不得意がある事実」を
完全に無視している。
社員が色々な業種に挑戦することで、
意外な能力を発見する
可能性はあっても、
社員に合わない職種を強制して、
非効率な結果を
生む弊害もある。
「新しい分野にチャレンジしたい」
と望む社員に、そうさせるのは
良いこと。
しかし、既にある
自分のスキルを駆使して、
その分野で活躍したいと思う人には、
適切ではないシステムだ。
社員全員に同じように
このやり方を
押し付けるのは考えもの。
それよりも、
個人の意向を確認した上、
人事配置をした方が
社員も好きな仕事ができて、
幸せを感じやすい。
その結果、効率よく働けて、
会社全体の業績向上にも
大きな貢献ができるはず。
しかし、現実的には
昔のやり方に固執して、
望ましくない人事配置をする会社も
珍しくない。
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苦手なことを強制されて、
嫌々やっている人は、
当然、仕事ができない。
そんな部下を持つ上司は、
常に嘆いて怒っている。
「また間違えたのか!
何度言ったら分かるんだ!
気合を入れて仕事しろ!」
と部下を𠮟りつける。
上司のフラストレーションは
次第に増してゆき、
部下との人間関係も悪化する。
部下の立場でも、
不得意なことを強いられて
ストレスがかなり大きい。
仕事は上手く進まず、
おまけに上司にも怒鳴られて、
憂鬱な気持ちで働いている。
上司の顔色を伺いながら、
今度は失敗しないよう
気をつけたつもりだが、
また間違いを犯してしまう。
緊張しすぎているから、
間違いが起きるのは、当然だ。
部下は自分に非がある
と思いながらも、
𠮟りつけてくる上司に対して
敵対心を抱くようになる。
上司に対する嫌悪感と
自分に対する情けなさが
掛け合わさって、
部下の気分は凹むばかりだ。
同時に上司との信頼関係も
徐々に失われてゆく。
上司からダメ出しされ続ければ、
部下もそのうち、自分は本当に
ダメな人間だと思うようになり、
自信をすっかり失い、
自己肯定感も低くなり、
次第にメンタルを病んでゆく。
このような状況で働けば、
上司も部下も苦労が多く、
ストレス度合いも半端でない。
結果的には、
人間関係は険悪になり、
労働生産性も下がり、
何も良いことはないのだ。
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部下が仕事ができないのは、
彼ができない人だからではない。
不得意なことを
無理に押し付けられて、
嫌々やっているからだ。
部下は確かに
この業務は上手くこなせない。
でも、そんな彼でも
他人よりも秀でていて、
優れたスキルを持っている。
他の人は
上手くできないことでも、
ダントツにできることが
彼にはある。
しかし、残念なことに、
部下のこの優れたスキルは
全く活用されず、
彼が苦手で不得意とする仕事を
会社はわざわざ彼にやらせる。
なぜ彼の貴重なスキルは
使われることなく、
無駄にされているのだろうか?
なぜ、彼が非効率にしか
できないことを
彼に担当させるのだろうか?
ここに問題があるのだ。
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これとは逆のケースを
考えてみよう。
仮にこんな会社があるとする。
その企業では、
社員一人一人が
自分が最も得意とすることを
担当させて貰える。
得意分野は
やっていて楽しいし、
効率よくタスクもこなせる。
上司は、
部下が良い仕事を
してくれるので、
自分の株も上がって、嬉しい。
「A君、君は素晴らしい
仕事ぶりだね」と部下を褒めて
部下に対して感謝する。
好きな仕事ができて、
おまけに上司からも
お礼を言われたA君は、
やる気も湧くし、仕事自体を
エンジョーイできる。
このような環境下で働ければ、
もっと頑張ろうと
意欲的になれるものだ。
上司、部下の人間関係も
良好な状態が維持される。
社員全員が
自分の得意とすることに
専念しているので、
皆が楽しく効率よく働ける。
職場全体の雰囲気も良く、
毎日オフィスに行くのも
楽しみになるだろう。
社員のメンタルヘルスは
申し分なく良好で、
労働生産性もかなり高い。
会社が人事配置に気を配り、
適材適所で人を配属できれば、
このような好ましい状態に
会社をもってゆくことも可能だ。
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人間は誰でも、
得意・不得意がある。
良くできることもあれば、
どんなに練習しても
上手にできないこともある。
強みもあれば、弱みもある。
そんな人間が
「すべてのことを満遍なく
できるようになろう!」
と努力すること自体、
間違っている。
私たちの時間とエネルギーは
無限にあるわけではなく、
限られているからだ。
貴重な時間と労力を
苦手なことに嫌々費やすよりも、
自分の強みを更に磨き、
その分野を発展させる方向へ
注いだ方が賢明だ。
会社でも、
「僕はこれが得意なので、
これは僕が担当します。
でも、僕はあれは苦手なので、
得意なあなたにお任せします」
という方が望ましい。
皆がお互いに
相手の苦手を自分の得意で
補う姿勢が一番理想的なことだ。
そうすることで一人一人が
自分の実力を最大限に発揮して、
会社全体の業績を
マックスに上げることも
可能になるからだ。
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とはいえ、
今までの古いやり方に
執着している会社が、
理想的な方法を
取り入れるのは難しい。
そう思う社員が沢山いても、
実際にそのような変化を
起こせるまでには
長い時間もかかる。
それなら、
自分に合わない会社で
嫌な仕事を強いられている人は、
自ら動くことを考えた方がよい。
そんな会社からは脱出して、
自分の強みを活かせるよう
動く必要がある。
それは、転職かもしれないし、
自分で起業すること
かもしれない。
とにかく、
今の職場環境からは
身を引いた方が無難だ。
さもないと、
自分は本当にできないダメ人間に
なってしまうから。
本当は、
自分はできない人ではない。
会社が自分をダメ人間に
仕立て上げてしまっただけだ。
そんな会社に
ずっと居続けても、
自分が不幸になるだけで、
良いことは一つもない。
この話を聞いて
ピンときた人がいれば、
これからの自分の将来を
真剣に考えた方が賢い。
自分の強みを活かすには
どうすればよいのか?
このことにフォーカスを当て、
この先どんな動きをすればよいか?
考えてから、実行に移すことだ。