話し合いを拒む相手にどう接する?カギを握るのは「他者性」

親しい人との間で
問題が発生したとき、
多くの人は
冷静に話し合って
解決したいと考えるでしょう。

しかし、相手が
その話し合い自体を拒んだ場合、
どう対処すればよいのでしょうか?

相手の立場を理解しつつ、
問題を解決に導くためには、
どのように接するのが
効果的なのでしょうか?

この記事では、
そんな悩みに対する
ヒントを探ります。

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話し合いの提案は正論の押し付け?

夫婦間の問題を
例に考えてみましょう。

たとえば、妻が
家庭に関する悩みを抱えており、
その解決に向けて
夫と話し合いをしたい
と願っています。

「おたがいが満足できる解決策を
話し合って見つけよう」
というアプローチを提案するのは、
一般的に効果的です。

自分の意見を
一方的に押し付けるのではなく、
相手の意見も聞きながら、
両者が納得できる解決策を
一緒に模索することが、
理想的だと言えるでしょう。

しかし、すべての人が
このアプローチに
同意するわけではありません。

ある人にとっては、
話し合いの提案自体が
「正論を押し付けられている」
と感じるかもしれません。

「妻のやり方を強制されている」
と受け取ることもあります。

このような反応の背景には、
相手の認知の歪みがある
と考えられますが、
その歪みを指摘して
正そうとすることで、
かえって反発を招くリスクが
あります。

人は自分の考えや感じ方を
否定されると、
反感を抱くものです。

妻が無理に
話し合いをしようとしても、
かえって関係が悪化し、
問題解決にはならないでしょう。

結果として、
両者にフラストレーションが
残ることになりかねません。

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自分の気持ちや欲求を主張しよう

話し合いを拒まれた場合、
無理に「話し合い」
に固執するのではなく、
自分の気持ちや欲求を
直接伝えることが効果的です。

「話し合いをしよう」
と提案する代わりに、
具体的な問題について
「今のままでは満足できない」
「我慢したくない」
と正直に伝えてみましょう。

たとえば、夫が夏のボーナスを
家族で海外旅行に使いたい
と考えているけれど、
妻がその計画に反対している場合、
妻は「海外旅行にボーナスの大半を
使うのは嫌だわ。それはやめてほしい」
と自分の気持ちを
率直に伝えるべきです。

そうなれば、その状況は
夫にとっても
困ったものになります。

そのため夫も妻と一緒に
この問題を解決する必要性を
感じるでしょう。

その時点で、再び「話し合いで
解決策を見つけるのはどうか?」
と提案すれば、夫も話し合いに
応じるかもしれません。

妻が自分の気持ちを率直に伝え、
夫と対立することは
勇気が要ることでしょうが、
その勇気が事態の打開に
つながることも多いのです。

相手が話し合いを拒む背景には、
「話し合わなくても
自分の意見が通る」
と思い込んでいる可能性があります。

また、面倒なプロセスを
避けたいという理由から
話し合いを避けることも
あるでしょう。

しかし、妻が
その状況を変えたいと望むならば、
自分の気持ちや欲求を
しっかり主張し、
我慢しないことが大切です。

そうすることで、
相手も話し合いの必要性を理解し、
建設的な解決へと進む道が
開けるかもしれません。

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うまくいかなかったら「他者性」を意識しよう!

妻が自分の正直な気持ちを
夫に伝えたとしても、
解決するとは限りません。

夫が強引に自分の意見を
押し通そうとする場合も
あるでしょう。

このような場合、
夫が心理的に退行し、
「自分の気持ちを優先してほしい」
といった幼児的な欲求を
抱えている可能性があります。

夫は「妻には妻の考えがある」
という視点を持てず、
「僕の気持ちを分かってほしい」
「僕のやりたいことに
じゃましないでほしい」と、
まるで母親に甘える子供のように
振る舞っているのです。

このような状況を許してしまうと、
夫はますます妻に甘え、
夫婦関係が不健全なものに
なってしまうでしょう。

そこで重要になるのが
「他者性」を意識することです。

「他者性」とは、
自分とは異なる存在である他者を尊重し、
相手の視点や価値観を
理解しようとすることです。

健全な関係を築くためには、
相手が自分とは違う
独自の考えや感じ方を持っていること
を認識することが不可欠です。

具体的に
妻が取るべきアプローチは、
「私はあなたとは違う人間であり、
あなたの思い通りにはならない」
という姿勢を行動と態度で
示すことです。

「イヤなことに対しては
イヤと言う」という意思表示を
繰り返し、相手に自分の立場を
伝えることが大切です。

これは簡単なことではなく、
勇気と時間が必要ですが、
長年にわたって形成された
不健全な夫婦関係を変えるためには、
こうした覚悟を持つことが
鍵となるでしょう。

他者性を意識し、
相手の甘えをそのまま受け入れず、
しっかりと自分の立場を貫くことで、
少しずつ健全なコミュニケーションの基盤が
整っていくでしょう。

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1ミリずつでも変えてゆこう!

夫に対して
他者性を示す際には、
無理をせず、少しずつ
小さな変化を
積み重ねていくことが大切です。

いきなり態度を
劇的に変えるのではなく、
ほんのわずかな変化を
無理のない範囲で
実行していきましょう。

まずはハードルの低い行動から、
小さな一歩を
踏み出してみることです。

たとえば、小さな「ノー」を
日常の中で少しずつ
言い続けることで、
妻も「ノー」と言うことに慣れ、
夫も「ノー」と言われることに
慣れるでしょう。

そしてやがては、
もっと大きな「ノー」も
伝えられるようになるでしょう。

最初は小さな「ノー」を言うことでも、
罪悪感を感じるかもしれません。

そのときは、
「今まで許してきたことに対して
『ノー』と言うのだから、
罪悪感を抱くのも当然だよね。
でも、それでいいんだよ」と、
自分の気持ちを
受け入れてあげましょう。

繰り返し「ノー」を言い続けるうちに、
次第にその罪悪感も
薄れていくものです。

こうして小さな「ノー」を
積み重ねることで、
妻は自分の心理的な境界線を強化し、
夫も他者性を少しずつ
理解し始めるでしょう。

言葉で言うのは簡単ですが、実際には
このプロセスを粘り強く続けることは
大きな挑戦です。

しかし、小さな変化がやがて
大きな成果をもたらす可能性があるので、
取り組む価値は十分にあるでしょう。

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おわりに

この記事では、
親しい人との間で問題が生じ、
話し合いを提案しても
相手がそれを拒む場合、
どのように対処するべきかを
考えてみました。

特に、「こちらが自分の気持ちや欲求を
十分に主張していないこと」
「相手が話し合いを避けて
自分の意見を通せると思い込んでいる」
という状況を前提に話を進めました。

しかし、現実には、
相手が話し合いを拒む理由は
これだけではありません。

たとえば、
「話し合いをすると喧嘩になる」
という信念から避けている場合や、
相手が関係に失望して
投げやりになっている場合も
考えられます。

また、精神的な問題を抱えていて、
無気力になっている可能性も
あるでしょう。

さまざまなケースが
考えられるため、今回紹介した方法が
すべての状況に
当てはまるとは限りません。

それでも、この記事が
何らかの参考になった方も
いらっしゃるかと思います。

もしこの方法が
うまくいかない場合でも、
自分の状況に合った解決策を模索し、
試行錯誤を続けていくことが大切です。

人間関係において、
「こうするのが正しい」といった
確実な「正解」が
存在するわけではありません。

トライ&エラーを繰り返しながら、
自分に合ったやり方を
見つけていきましょう。

そして、自分もハッピー、
相手もハッピー、
関係性も良好で健全になるような
ウィンウィンの状態を目指して、
前向きに挑戦を続けてください。