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子どもの自己肯定感向上のために親ができること

今回は、子どもの自己肯定感を
高めるために
親が心がけるべきポイントについて
お話ししたいと思います。

子どもの自己肯定感を育てる
という意志が、ときとして
逆効果になってしまうことも
あるためです。

この記事は、特に
子育て中の親御さんへ向けて
書かれたものです。

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なぜ自己肯定感が高いほうがよいのか?

最初に、
自己肯定感を高める理由について
考えてみましょう。

自己肯定感が高い人は、
自分自身と他者を
ありのまま受け入れる
傾向にあります。

自分と他者を区別し、
異なる点があっても
それを尊重できるため、
人間関係が良好になりやすく、
人間関係をより楽しむことが可能です。

また、自己肯定感の高い人は、
精神的に安定しやすく、
人生への満足度も高くなります。

反対に、自己肯定感が
低い場合はどうでしょうか?

他人の目が気になり、
人の評価を過度に
意識してしまいます。

自分を他人と比較し、
劣っていると感じると劣等感に苛まれ、
優れていると感じると優越感に浸るなど、
劣等感と優越感の間を行ったり来たりして、
心の平穏を得るのが困難になります。

自己肯定感が低い人は、
他人が自分の思い通りにならないことを
受け入れることができず、
相手をコントロールしよう
とする傾向があります。

これが原因で
人間関係に悩むことも多く、
他人の言動によって傷つきやすく、
精神的に不安定になりがちです。

これらのことから、
自分の子どもには
自己肯定感を高めてほしい
と親が願うのは、自然なことでしょう。

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褒めることでは子どもの自己肯定感は育たない!

子どもの自己肯定感を育てるために、
子どもが望ましい行動をしたときに
子どもを褒める親は多いようです。

たとえば、
「100点を取って素晴らしいね」
「かけっこで1位になってすごいね」
「お手伝いをしてくれて偉いわね」というように、
子どもが良い行動をした際に、
その行動を褒めて自信を持たせ、
子どもの自己肯定感を高めようとします。

しかし、この方法では
子どもの自己肯定感は育ちません。

その主な理由は、
褒められることが
条件付きであるため、
子どもは条件を満たさないと
自分は認められないと感じ、
結果的に自己肯定感を
下げてしまうことになるからです。

望ましい行いをするたびに
褒められると、
子どもは自分の価値を
条件を満たすことに依存するようになり、
常にその条件を満たさなければならない
というプレッシャーを感じるようになります。

そして、他人の評価を過度に気にし、
他人に褒められることを目的とした
行動を取るようにもなりがちです。

褒められること自体に価値を見出し、
褒められない場合には
自分には価値がない
と感じてしまうのです。

これでは、子どもの自己肯定感を
健全に育てることは難しいでしょう。

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自信と自己肯定感は異なる概念

褒めることで
子どもの自己肯定感を
育てようとする親は、
自己肯定感の本質を
誤解しているかもしれません。

自己肯定感とは、根本的には
「あるがままの自分を受け入れる」
ということに他なりません。

これは、自分がどのような状態でも
「自分はこのままでいいのだ」
という感覚を意味します。

多くの人が
「自己肯定感」と「自信」を混同していますが、
これらは明確に異なります。

この混同が、誤った方法で
自己肯定感を高めようとし、
結果的には逆効果になる原因
かもしれません。

自信とは、
「特定のことを上手にできる」
と自分で信じることです。

たとえば、「試験で良い点が取れる」とか
「バスケットボールで得点を挙げられる」
といったものが具体的な例です。

これは、経験や練習を通じて、
特定のスキルや能力に関する
信念から生まれるものです。

一方、自己肯定感は、
自分自身の価値に関する感覚です。

自己肯定感は
「特定のことができるかどうか」
とは無関係に、自分を尊重し、
自分が価値のある人間である
と信じることを意味します。

自己肯定感が高い人は、
失敗しても
それが自分の価値を減じるものではない
と理解しています。

簡単に言うと、
自信は「私にはこれができる」
という信念に関係していますが、
自己肯定感は
「どんな自分でも私には価値がある」
という信念に基づいています。

何かを上手くできたり、
成功したりすると、
自信は高まりますが、
ミスや失敗を経験すると
自信は揺らぎます。

一方で、自己肯定感は
積み重ねられるもので、
一度築き上げたものは
そう簡単には失われません。

この点で、自己肯定感は
より安定したものと言えるでしょう。

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自己肯定感を理解するのに役立つこと

子どもの自己肯定感を高めるために
親が意識すべきポイントについて
お話しする前に、以下の3つの概念を
理解することが役立ちます。

それは、「Doing(行動)」
「Having(所有)」
「Being(存在)」です。

「Doing」とは、人の行動や活動を指し、
たとえば「勉強を頑張る」とか
「努力を怠る」などの行為が含まれます。

「Having」とは、Doingの結果
得られるものや、
元から持っている能力や資質を意味し、
「成績」、「業績」、「才能」、「肩書」
などがこれに当たります。

そして、「Being」とは、
「自分の存在そのもの」を意味します。

一生懸命に努力して(Doing)
目標を達成したとき、
それにより素晴らしい成果(Having)を得て、
自信を高めることがあります。

しかし、失敗したり(Doing)
試験に落ちたりしたとき、
自信を失うかもしれません。

このように、自信は
行動(Doing)や所有物(Having)
と深く関連しており、
状況によって変動します。

一方で、自己肯定感は、
DoingやHavingの影響を受けません。

自己肯定感が高い人は、
成功しようがしまいが、
何を成し遂げようが成し遂げなくても、
あらゆる自分(Being)を許し、認め、
受け入れることができます。

自己肯定感は、自分の行動(Doing)や
所有物(Having)にかかわらず、
自分の存在そのものに
価値があるという信念に
基づいているのです。

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子どもの自己肯定感を育む方法

それでは、
子どもの自己肯定感を高めるために、
親は何ができるでしょうか?

その答えは、
子どものあるがままを
受容してあげることです。

具体的には、子どもが
どのような感情を持っていても、
その感情をそのまま受け入れること
が重要です。

たとえ悲しみや失望、孤独、恐怖、
不安などネガティブな感情であっても、
子どもの感情に対して
「良い」「悪い」というラベルを貼らずに
受け入れることが大切です。

たとえば、
がっかりしているときは
「がっかりするよね」と、
悲しいときは「悲しいよね」と、
そして、怖いときは「怖いよね」と、
子どもの感情をそのまま受容してあげます。

このように親から
自分のありのままの感情を
受け入れられる経験を繰り返せば、
子どもは自分がどんな状態でも
価値のある存在だ
と感じるようになります。

そして、「自分はこのままでいい」
と思えるようになるのです。

これにより、子ども自身の
自己受容も促され、
自己肯定感が高まります。

一方で、自己肯定感を高めることに
逆効果な親の反応は、
たとえば子どもが悲しんで
泣いているときに
「早く泣き止んで、元気を出しなさい」と言ったり、
何かを恐れているときに
「怖くない、怖くない、大丈夫よ」
と安易に励ますことです。

このような反応は、
子どもの感じている感情を否定し、
自分のそのままの感情を
良くないものだと感じさせてしまう
ことになるからです。

ネガティブな感情を
そのまま受け入れる力を
「ネガティブケイパビリティ」と呼びます。

親がネガティブケイパビリティを
持っていれば、子どもも
自分の感情を素直に
受け入れることが容易になり、
自己受容へとつながり、
最終的には自己肯定感を
高めることが可能になるのです。

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まとめ:子どもの自己肯定感を高める重要性

この記事では、
子どもが自分自身に満足し、
幸せな人生を送るために
親ができるサポートについて
ご紹介しました。

自信は、個人が経験や練習を通じて
特定の技術や能力に対して持つ
信念を指します。

一方、自己肯定感は、
自分自身の価値に関する感覚です。

自信は状況によって
変わることがありますが、
自己肯定感は一度築かれると
簡単には失われません。

自己肯定感は、
行動(Doing)や所有物(Having)に左右されず、
自分自身がどのような状態でも
ありのままの自分の存在(Being)を認め、
受け入れることです。

子どもが
どのような感情を持っていても、
親はその感情を受け入れることが
子どもの自己肯定感を高める鍵です。

ネガティブな感情であっても、
それを「悪い」と判断せずに
受け入れることで、子どもは
自分がどのような状態でも
価値のある人間だと
実感できるようになるからです。

自己肯定感の高い人は、
人間関係が良好で、
人間関係を楽しむことができ、
メンタルも安定しやすく、
人生に対する満足度も高くなります。

親として、
子どもが自分自身に満足し、
幸せな人生を歩めるように
どんなものであれ、
子どもが抱く感情を
そのまま受容してあげましょう!