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できる子供にするためのベストな方法

どうやったら、子供が学んで
できるようになるのか?
今回は、私の経験上、
「こうしたらよい」と分かったことを
お話してみたい。

結論から先に言えば、
「子供に実際に自分でやらせる」ことだ。
年齢に応じて、危険なものは
親がコントロールする必要はあるが、
そうでないものは、
とにかく、「子供自身にやらせてみる」のがよい。

学ぶプロセスを経るから、
できるようになる。
親が子供に「こうやるんだよ」
とお手本を見せることは大切だが、
その後、必ず、子供に実践させることだ。
この「実践のプロセス」がとても重要。
実践のプロセスを経ることなく、
子供にできるようになることを
期待するのはよくない。

こう言えば、「当たり前だ」
と思うかもしれないが、
子供に実際にやらせることは
そんなに容易いことではない。
それができない人も多い。

初めてやることなら、
当然、上手く行かないし、時間もかかる。
忙しい日常生活の中で、
「早くしないと時間に遅れる」
と思えば、トロトロやる子供を、
忍耐強く待つことは難しい。
あまりにも不器用にやるのを見れば、
親が子供に代わって
やってあげたくなる気持ちが出る。
でも、それをグッとこらえて、
子供が自分でやることを
忍耐強く見守ることが必要だ。

日本の実家で両親と暮らしていた頃、
私は母から「こんなこともできないの?
あんたは本当にダメな子ね」
という非難の言葉を何度も浴びせられた。
確かに、私は不器用だし、
できないことも多い。
子供の頃、若いころには、
自分は能力がない人間だから、
できないのだろうと思い込んでいた。
でも、今ではそうは思わない。
私が不器用で、できないことが多いのも、
親の育て方が良くなかったから
と断言できる。

私は最初の10年間、一人っ子だった。
一人っ子だから、親の注目は私に当たるだけ。
何でもかんでも、子供が自分でやった方がよいことも、
すべて親が先回りして、やってくれていた。
靴紐を結ぶにも、親が結んでくれる。
洋服も親が着せてくれる。
ご飯を食べる時にも、
親がスプーンで口に入れてくれていた。
日常生活の基本的なことを
親がすべてやってくれていたのだ。

当然、これでは
いつまで経っても、上手く靴紐を結べない。
洋服を着るのも下手で時間がかかる。
ご飯もサッサと食べられるようにならない。
練習しなければ、上手くできないのは
当たり前だと言ってもよい。

親にとっては初めての子供だし、
たった一人しかいなければ、
過保護になってしまうのも
仕方ないことかもしれない。
でも、これが良くなかった。

そんな背景があり、
私が幼稚園に行き出した時、
私は同じクラスの子供が
普通にできるようなことをできなかった。
小学校へ入学したら、
自分のできなさ加減が
もっと酷くなることを経験した。
「皆は上手にできるのに、
私はどうしてもできない。
私は劣った子供なのだろう」
と劣等感まで抱くようになった。

私の母が気づかなかったことは、
「実際の経験のプロセスを経て、
人は学ぶことができる」ということ。
子供自身にやらせてみなければ、
子供は学ぶことができない
ということを理解していなかったようだ。
年齢が高くなるにつれて、
自然とできるようになる
と勘違いしていたのだろうか?

でも、それは間違いだ。
親の親切心で、私の身の周りのことを
すべて親が先回りしてやったことが、
私をできない人間にしてしまった。
そのことを棚に上げて
私が中高生になった時には、
私のできなさを母は強く非難するようになった。

やったことがないことを
初めてやる時には、誰でも上手くできない。
でも、実際に自分で手を動かして、
やっているうちに、できるようになる。
今までできなかったことが、
できるようになった時には、
自分でも自信がつく。
そして、他のことにも挑戦してみよう
という気持ちが出てくるものだ。

実際にやってみて、できるようになり、
できるようになったことが嬉しくて、
更に他のことをチャレンジしたくなる。
次にチャレンジしたことも
最初は上手くいかないけれど、
やっているうちに上達して、
上手くできるようになる。
すると、更なる自信がつく。
こういうサイクルを回していくうちに、
本当にいろいろなことができるようになり、
「自分はできる人だ」と思えるようになる。

しかし、それとは逆のことをすれば、
負のサイクルに入ってしまう。
やらないことで、できるようにならない。
他の人ができていて、自分ができなければ
劣等感を抱くようになる。
すると、よりやりたくなくなる。
やりたくなくて、やらなければ、
当然、いつまでも下手くそでできない。
そして、「ああ、自分はできない。
自分は能力がない劣った人間なんだ」
と嘆くことになり、自己肯定感も下がる。
いつまでも、やることがないので、
いつまでも、できない状態が続く。
そして、「自分がダメな奴」
という思い込みだけが大きくなってゆく。
本当に良くないサイクルだ。

ある程度の年齢になって、
沢山できないことがあり、
劣等感が強くなるのは、
私が自分の身を持って体験したこと。
自分はダメな人間だ
と親からも何度も言われたし、
自分もそうなんだと思い込んでしまった。
でも、実は、そうではなくて、
私が小さな子供の頃から、
自分でやることをしなかったから、
学びのプロセスを実践しなかったから、
こういうことになった
と今ではよく理解できる。

やる事柄の一つひとつは小さなことでも、
その小さなことを
子供自身にやらせるように努めれば、
一つひとつの小さなことが
大きく積み上がって、
子供はできる人間になってゆく。

こんなことは大したことない。
やらせなくても、親の自分がやって上げてもよいか、
と子供にやらせないでいれば、
それが積み上がれば、
子供は自分ではできない子になる。

まずは、日々の小さなことから、
子供に実際にやらせてみること。
ことあるごとに、小さなことを
子供に実践させてプロセスを踏ませること。
子供に学ばせて、できる子供に仕上げるのには
これがベストな方法ではないか
と私は考えている。