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言葉より行動が教えてくれる 究極の子育ては親の生き方

子育てに
正解はないと言われますが、
一つだけ確かなことがあります。

それは、
子どもは親の言葉ではなく、
親の行動を見て育つということです。

どれだけ立派なことを言っても、
親自身がそれを実践していなければ、
子どもの心には届きません。

この記事では、
なぜ「親の背中を見せること」が
最も効果的な子育て方法なのかを
考えます。

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親が抱く願いと、現実のギャップ

自分の子どもをしっかり育てたい。
しつけをきちんとしたい。
色々なことができるようになってほしい。

マナーを守れる子どもになってほしい。
感謝の気持ちを持てる人に育ってほしい。
勉強も無理なくできるようになってほしい。

親として子どもに願うことは、
数えきれないほどあるでしょう。

多くの親は、その願いを
何とか形にしようと懸命になります。

ときには厳しく接し、
色々な経験を積ませたい一心で
習い事をいくつも掛け持ちさせ、
学力を伸ばしたいという思いから
学習塾に通わせることも
あるかもしれません。

時間もお金もエネルギーも、
できる限り注ぎ込みながら、
わが子の将来を思い描いているのです。

でもここで一度、
立ち止まって考えてみてください。

その関わりの中で、子どもは本当に
親の願いに沿う形で
育っているでしょうか?

もし今、これだけ頑張っているのに、
思い描いていた姿とは違う
と感じているとしたら、
それは努力が足りないからではなく、
向けている力の方向が
間違っている可能性もあります。

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「言葉でのしつけ」がうまくいかない理由

「ちゃんと挨拶しなさい!」
「片付けなさい!」「勉強しなさい!」
「人に優しくしなさい!」

親は毎日のように
子どもに言葉で
しつけをしています。

それなのに、子どもは
なかなかその通りに動いてくれない。

何度伝えても
同じことを繰り返してしまう。

そんな経験をしたことがある方も
いるでしょう。

その背景には、親自身が
子どもに求めていることを、
日常の中で実践できていない現実が
あるのかもしれません。

子どもは大人が想像している以上に、
親の言動をよく見ている
という事実があるからです。

たとえば、「挨拶をしなさい」
と厳しく伝えている親が、
近所の人とすれ違っても目を合わせず、
そのまま通り過ぎていたら
どうでしょう?

子どもは、心の中で
違和感を覚えるでしょう。

言葉では大事だと言われているのに、
行動が伴っていないからです。

「片付けなさい」
と繰り返し言っている一方で、
親の部屋は散らかり、
脱いだ服がソファに積み重なっていたら、
子どもはその言葉を
どう受け取るでしょうか?

「勉強しなさい」と促しながら、
親自身は家でテレビを見たり
スマホを触ったりしているだけで、
本を読んだり学ぶ姿を見せていなければ、
子どもが学ぶことに前向きになるのは
難しいでしょう。

「人に優しくしなさい」と教えているのに、
親がイライラして家族にきつく当たったり、
店員さんに横柄な態度を取る場面を見れば、
子どもはそうした振る舞いも
許されるものだと受け取ってしまいます。

このような場面は、
日常の色々なところに潜んでいます。

言葉と行動が食い違っているとき、
子どもが信じるのは、
いつも親の「行動」のほうなのです。

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親の背中こそが、最高の教科書

子どもに望ましい行動を
身につけてほしいと願うなら、
親自身がその行動を実際に行い、
日々の暮らしの中で
自然に見せていくことが何より大切です。

それは一度きりの姿勢ではなく、
毎日の積み重ねであることが
欠かせません。

子どもは、親の言葉以上に、
その姿を見て育つからです。

これは昔から言われてきたことですが、
今では科学の視点からも
確かめられています。

子どもは「モデリング」
と呼ばれる方法で、
身近な大人の行動を観察し、
それを真似しながら
多くのことを吸収していくのです。

中でも、最も近い存在である
親の影響はとても大きいものです。

挨拶のできる子どもに
育ってほしいなら、
親が率先して、
家族に笑顔で「おはよう」と声をかけ、
近所の人にも気持ちよく挨拶をする姿を
見せることが何よりの手本に
なるでしょう。

整理整頓を身につけてほしいなら、
親自身が使ったものを元の場所に戻し、
部屋を整える姿を
日常の中で見せていくことが大切です。

学ぶことを楽しめる子どもに
育ってほしいなら、
親が本を読んだり、
新しいことに挑戦したりしながら、
「今日はこんなことを知ったよ」
と家族に話す姿を見せてあげましょう。

思いやりを持った人になってほしいなら、
親が家族を大切にし、
困っている人に手を差し伸べ、
感謝の言葉をきちんと伝える姿を
重ねていくことが大切です。

子どもは、親が口にした言葉よりも、
親が日々どのように振る舞っているかを
そのまま真似るものだからです。

これは避けようのない現実です。

だからこそ、親の背中そのものが、
子どもにとって
最高の教科書になるのです。

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究極の子育ては、親自身がよく生きること

ここまで読んで、
完璧な親でいなければならないのでは、
とプレッシャーを感じた方も
いるかもしれません。

でも、その必要はありません。

誰にでも欠点はありますし、
完璧な人間など存在しません。

大切なのは、親自身が誠実に、
一生懸命生きようとしている姿を、
日々の中で見せていくことです。

究極の子育てとは、
育児書を次々と読み、知識を集めて
実践することではありません。

親自身が誠実で、努力を惜しまず、
優しさを持ち、人に感謝できる人として、
懸命に生きていることそのものです。

その姿勢が、何より深く
子どもに伝わるからです。

誠実であることとは、
約束を守り、嘘をつかず、
自分の言葉に責任を持つことです。

小さなことでも手を抜かず、
正直であろうとする姿勢は、
どんな説明よりも強く、
子どもの心に残るでしょう。

努力を続けることも同じです。

思うようにいかないときがあっても
諦めず、少しずつ前に進もうとする。
失敗しても立ち上がり、また挑戦する。

その背中を見ながら、
子どもは頑張ることの意味を
自然と受け取っていくでしょう。

優しさについても、言葉で教えるより、
日々の振る舞いがものを言います。

家族にも、周りの人にも、
そして自分自身にも
優しく接しようとする姿勢。

イライラすることがあっても、
感情をコントロールしようと努める。

そんな姿から、子どもは
他人への接し方を学ぶでしょう。

感謝できることも大切です。

「ありがとう」を日常の中で口にし、
小さな幸せに気づき、
周囲の人や環境に感謝の気持ちを向ける。

その姿勢が、子どもの感謝する心を
育てていくでしょう。

さらに、
謙虚であることも欠かせません。

間違いを認め、学び続け、
子どもからも学ぼうとする姿勢も
大切です。

そして、情熱を持って生きること。

仕事であれ趣味であれ、
何かに夢中になって取り組む親の姿は、
子どもに「生きることの楽しさ」を
教えてくれるでしょう。

親が人生を大切にしていれば
子どもも自分の人生を
大切に歩もうとするのです。

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今日から始められる「背中で語る」子育て

では、今日から
何ができるでしょうか?

特別なことをする必要はありません。

日常の中にある小さな行動から、
少しずつ始めていけばよいのです。

まず、自分が子どもに求めている行動を、
親自身ができているかを
振り返ってみてください。

もしそこにずれを感じるなら、
気づいたところから
整えていけば大丈夫です。

子どもに読書の習慣を
身につけてほしいなら、
まず自分が本を手に取る。

規則正しい生活を送ってほしいなら、
自分自身が早寝早起きを心がける。

その姿が、
何よりのメッセージになるでしょう。

次に、失敗や挫折のときこそ、
学びのチャンスだと
受け止めてみましょう。

親が完璧でなくていいのです。

むしろ、うまくいかなかったときに
どう向き合い、どう立て直すのか。

その過程を見せることこそが、
子どもにとって学びになるでしょう。

「ごめんね、間違えていたよ」
と素直に認める姿や、
何度でも挑戦し直す姿を通して、
子どもは謙虚さや粘り強さを
自然と身につけていくものです。

そして、子どもと一緒に
成長していく姿勢を持ちましょう。

人は、生きている限り
学びつづけられる存在です。

子どもが育つのと同じように、
親も成長していけばよいのです。

「一緒に片付けよう」「一緒に勉強しよう」
「一緒に挨拶をしてみよう」と、
同じ目線で取り組むことで、
望ましい行動は
少しずつ習慣になっていくでしょう。

大切なのは、無理をしないことです。

今の自分にできる範囲で、
一つひとつの小さな行動を
積み重ねていくこと。

その積み重ねが、やがて
確実な変化となって
表れてくるでしょう。

このような姿勢で
子どもとかかわっていく中で、
子どもは親を信頼し、
親子関係も穏やかで
あたたかなものへと育っていくのです。

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おわりに

この記事では、子どもに
望ましい行動を身につけてほしい
と願うなら、まず親がその行動を続け、
その姿を日々見せていくことが大切である
とお伝えしました。

親の背中で語る子育ては、
即効性はないかもしれません。

すぐに目に見える成果が
出るわけではありません。

でも、確実に、深く、
子どもの心に届くでしょう。

子どもは毎日、
親の行動を見ています。

意識して観察しているわけではなく、
暮らしの中で自然と目に入り、
そのまま心に刻まれていくのです。

時間はかかりますが、その影響は長く続き、
人生の土台になっていくでしょう。

子育てに迷ったときには、
「何を言えばよいのか」ではなく、
「どのように生きているか」に
目を向けてみてください。

親自身が誠実に、優しさを忘れず、
感謝の気持ちを大切にしながら、
一生懸命生きている。

その姿こそが、子どもにとって
何よりの学びになるでしょう。

今日から、言葉だけに頼らず、
背中で伝える子育てを
始めてみませんか?

完璧である必要はありません。

無理のない範囲で、
少しずつでよいのです。

親自身がよく生きようとする姿を
見せていくこと。

これが、子どもにとって
最高の教育になるでしょう。