なぜ自分を好きになれない日本人が多いのか?

ネットで見かけた調査結果によると、
日本の若者は
他国の若者と比べて
自己肯定感が低く、
自尊心の欠如に悩む人が
多いそうです。

実は私もかつては自尊心が低く、
自分を好きになれない時期が
ありました。

しかし、今では
自己肯定感も自尊心も
かなり改善されたと
感じています。

私は日本で生まれ育ち、
20代半ばで
ニュージーランドに移住しました。

今ではこの国に
33年間住んでいますが、
両国の生活を経験する中で、
さまざまなことを
考えるようになりました。

今回は、「なぜ日本人には
自分を好きになれない人が多いのか」
というテーマについて、
私の個人的な考えを
お話ししたいと思います。

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多様な私たちを「普通」という型にはめ込む日本社会

日本社会には「普通であること」に
価値を置く風潮があります。

周囲と同じであること、
目立たないことが美徳とされ、
「普通であること」を
重視する文化が広がっています。

この文化が、
自分らしさを否定し、
自己肯定感を低くする
一因となっているのでは
ないでしょうか?

私たち人間は、多様な存在です。
性格、気質、能力、才能、
身体の特徴、健康状態、
好み、価値観など、
あらゆる面で異なります。

たとえば、性格に関しては、
楽観的な人もいれば
悲観的な人もおり、
社交的な人もいれば
内向的な人もいます。

冒険心にあふれる人、
安全を重視する人、
計画的に行動する人、
直感で動く人、大胆な人、
慎重な人、細かいことに気を配る人、
大雑把な人、

大勢でわいわいするのが好きな人、
一人の静かな時間を好む人、
一匹狼タイプの人、
チームプレイヤーの人など、
性格や気質の違いは多岐にわたります。

能力や才能も同様に多様です。
数学が得意な人、文学に優れた人、
楽器を演奏するのが得意な人、
絵を描く才能がある人、スポーツ万能な人、
料理が上手な人、言語を学ぶのが速い人、

論理的思考が得意な人、話が上手な人、
分析力に長けた人、
クリエイティブな発想が得意な人、
実務的なスキルが優れた人など、
数え切れないほどの
多様な能力や才能が存在します。

この多様性こそが
私たち人間を豊かにし、
社会をより面白く、
魅力的なものにしているのです。

しかし、日本の社会では、
多様な私たちを「普通」という型に
はめ込もうとする傾向があります。

皆が同じであることを奨励し、
その結果、多くの人々が
自分らしさを失い、
不幸に陥っているように感じます。

このような環境では、
自分を好きになることが難しくなり、
自己肯定感や自尊心の欠如に
悩む人が増えてしまうのも
不思議ではないと思います。

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「普通」になろうとする努力が人を不幸にする?

学校や職場では、
「普通」という概念が尊重され、
その枠から外れると
仲間外れにされたり、非難されたり、
「望ましくない」というレッテルを
貼られることも少なくありません。

そのため、多くの人が必死に
「普通」になろうと努力しています。

しかし、
この「普通」になろうとする努力は、
自分の特性や性質を抑え込み、
「普通」とされる基準に
無理に合わせようとするものです。

それは、
苦しみを伴いながらも
実りが少ない努力と言えるでしょう。

自分本来の特性を無理に抑え込み、
自分ではない自分に
なろうとすれば、
そうなるのも当然です。

うまくいかないときには
「自分はダメだ」と自己嫌悪に陥り、
自分を受け入れることが
できなくなってしまいます。

「普通」とされる基準は
時代とともに変わります。

ある時代には
「普通」とされていたことが、
別の時代には
違う基準になることもあります。

また、住んでいる地域や
所属している組織によっても、
「普通」の基準は
異なることがあります。

それでも、日本社会では
「普通」から外れることは
望ましくないという考えが
根強く存在しています。

このような社会の風潮が、
個々人の多様性を認めず、
自己肯定感の低下や
自尊心の欠如を
引き起こす一因に
なっているのではないでしょうか?

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こんにゃくや豆腐は竹にはなれない!

この状況を物に例えると、
理解しやすくなるでしょう。

たとえば、「竹」のように
真っ直ぐでしっかりしているものが
「普通」とされる社会では、
竹はそのままで問題ありません。

しかし、カタツムリやこんにゃく、
豆腐などは
どんなに努力しても
竹にはなれません。

カタツムリは
渦を巻いているのが自然の姿で、
こんにゃくは柔らかくて
弾力があるのが特徴です。

豆腐は繊細で、
形を保つのが難しいものです。

このように、
それぞれの特性が異なるのです。

人間も同様で、「竹」のように
真っ直ぐな人もいれば、
「こんにゃく」のように
柔軟な人もいますし、
「豆腐」のように繊細な人もいます。

それぞれが持つ
個性や自然な姿があり、
それが人間の多様性です。

しかし、日本社会では
「竹」が「普通」とされると、
すべての人が
竹のようにならなければならない
と感じてしまいます。

そして、
こんにゃくも豆腐もカタツムリも、
無理をして竹になろうとするのです。

しかし、
どんなに頑張っても
こんにゃくや豆腐は
竹にはなれません。

竹もこんにゃくも豆腐もカタツムリも、
それぞれが持つ魅力があり、
どれも素晴らしい存在です。

異なる特性を持つからこそ、
それぞれが違った形で
社会に貢献できるのです。

にもかかわらず、日本社会では
勝手にこれらに優劣をつけて
比較することを好みます。

これでは、各々の持ち味を
活かすことも難しくなるのは
当然でしょう。

本当は、自分の中にも
素晴らしい特性があるのに、
それが「普通」とされる基準と異なれば、
その特性を活かすことが難しくなります。

そして、無理に自分を
「普通」に合わせようとして、
自分の持つ宝を活かす機会を
失ってしまうのです。

なんて
もったいないことでしょう!

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無理に自分を変える必要はない!

ネット上の悩み相談を見ていると、
「私は〜のようになりたいけれど、
どうしたらそうなれるでしょうか?」
という質問が多く見受けられます。

「自分を変えなくてはいけない」
と思っている人が
少なくないように感じます。

実は、私自身も以前は
そのように考えていました。

内気な自分、根暗な自分、
心配性な自分は、
社交的にならなければいけない、
明るくならなければいけない、
心配することなくもっと楽観的になり、
リラックスしなければならないと
思っていました。

そして、そのようになろうと
頑張った時期もありました。

しかし、
うまくいきませんでした。

短期間だけなら
どうにか自分ではない自分を
装うことができても、
無理があるために長続きせず、
できなかった自分を情けなく思い、
自分のことが大嫌いでした。

でも、今となっては、
そのようには考えません。

内気な自分の
どこがいけないのでしょうか?

根暗な自分の
どこがいけないのでしょうか?

心配性の自分は
悪い人間なのでしょうか?

内気でも、根暗でも、心配性でも、
それぞれに良い面があるはずです。

それなのに、
悪い面ばかりにフォーカスして
「自分を変えなければ」と
思うのはどうでしょうか?

必死に自分を変える努力をして、
最終的にはうまくいかず、
失望して、自信を失い、
ますます自分嫌いになるだけでは
ないでしょうか?

これはあまり
理にかなったことではありません。

ニュージーランドは多様性に富み、
さまざまな特性や性質についても
寛容な社会だと感じています。

そんな社会から日本を眺めると、
日本はとても窮屈に感じます。

多様性に寛容な社会で
長年生活するうちに、
「自分を変えなければいけない」
という考えも薄れてきました。

そして、ありのままの自分を
受け入れてもいいのではないか
という考えに変わりました。

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貴重な時間や労力を自分の特性を活かすために使おう!

どのような性格や気質、
才能があっても、
自分が持っているものを
もっと大切にしても
よいのではないでしょうか?

無理に自分の特性を捨てて、
持っていないものを
身につけようとする必要は
ありません。

その代わりに、自分の持ち味を
最大限に活かす方法を
考えるほうが賢明です。

私たちに与えられた
時間やエネルギーは有限です。

自分ではない自分になるために
貴重な時間やエネルギーを
費やしてしまえば、
自分の持ち味を最大限に活かすための工夫に
十分な時間やエネルギーを使えません。

無理に自分ではない自分に
なろうとして
多大なエネルギーを浪費しても、
うまくいかず挫折したり、
疲弊したりして、
自分を受け入れられなくなり、
自分を嫌いになるだけです。

それは
とても残念なことでしょう。

それよりも、
自分の持ち味の良い面、
活かせる面をフルに活用して、
自分や家族をよりハッピーにしたり、
社会に貢献するほうが
ずっとよいのではないでしょうか?

たとえば、内向的な人は
その深い思考力や集中力を活かして
専門的な仕事に
打ち込むことができるでしょう。

心配性な人は
その細やかな注意力を活かして、
リスクを回避する能力に
優れた役割を果たせます。

自分の特性を活かすことで、
自分自身をもっと愛し、
受け入れることができるでしょう。

そうすることで、自己肯定感も高まり、
より豊かな人生を送ることも可能です。

貴重な時間や労力を、
自分の特性を活かすために使うことが、
幸せに生きるための
鍵となるでしょう。

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おわりに

自分を好きになれない理由は、
これ以外にも
いろいろあると思います。

ただ、今回お話しした内容は、
その中でも大きな理由の一つだと
私は感じています。

一つの意見として、
参考にしていただければ
幸いです。

長年のニュージーランド生活で
感じたことを交えて、
YouTubeにトーク動画を
定期的に投稿しています。

日本とニュージーランドの違いで
驚いたことや、
日本の外から日本を見て思ったこと、
異文化体験を通じて学んだことなど、
私自身の主観ではありますが、
さまざまなテーマで語っています。

ぜひ、そちらの動画も
ご覧いただければ嬉しいです。
リンクは以下の通りです。
https://www.youtube.com/@midori-in-nz