日本の家族で思うこと: 海外永住者の視点から

ニュージーランドへ移住してから
33年が経ちました。

その間、ほとんど
日本へ帰国することは
ありませんでした。

最後に日本を訪れたのは1997年で、
それから27年が経過しています。

日本へ長い間帰らない理由は、
実両親との関係が良くないからです。

正直言って、私は
日本の実家では
居場所を感じたことは
一度もありません。

日本の家族内では
常に疎外感を感じながら
生活してきました。

今でも
日本の家族のことを思えば、
とても悲しい気持ちになります。

しかし、ニュージーランドでは
温かい家族に恵まれ、
自分が大切にされていることを
実感しています。

そのことが、私にとって
大きな心の支えとなっています。

このような背景から、私は
「家族とはいったい何か?」
と考えることが多いのです。

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日本では家族に悩む人が多いのでしょうか?

昭和時代の日本の感覚で
家族の定義をするならば、
夫婦や親子など、
婚姻や血縁で結ばれた
近親者の集団のことだと思います。

そして、家族内のメンバーは
情緒的な交流があり、
本来は幸せに生きるために
お互いが助け合う集団だ
と考えるのです。

これが正しいかどうかは
分かりませんが、
もし正しいとしたら、
本来、家族と言うものは、
自分の心の支えになる存在のはずです。

しかし、実際には
家族が原因で悩みを抱えたり、
束縛を感じたり、苦しみを感じることも
珍しくありません。

インターネットで
さまざまな情報に接する中で、
家族の問題で苦しんでいる日本人が
少なくないことを知らされました。

一時期、毒親という言葉が
流行ったようですが、それは、
このような状況を
象徴しているように感じます。

私自身の経験と同様に、
親子関係の問題で苦悩する人が
日本にも多いことを知り、
心がとても痛みます。

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日本とニュージーランドの親子関係の違いについて

ニュージーランドでの生活を通じて、
多くの現地の人々との交流から
感じ取ったことは、
家族の問題で悩む日本人とは異なり、
ニュージーランドにおいて
そのような悩みを持つ人が
少ないように思うことです。

これは私の個人的な
感覚かもしれませんが、
日本の家族関係と
ニュージーランドの家族関係には、
大きな違いがあると感じます。

具体的には、ニュージーランドの親は、
子どもが成人した後、
子どもへの過度な執着を
持つことが少ないように見えます。

対照的に、日本では
子どもが成人しても、
親が子どもに強く執着し、
過度な期待を寄せる傾向にあります。

極端な場合には、
親が成人した子どもの人生に過剰に介入し、
子どもを自立した個人として
扱わないこともあります。

親が子どもの決定に対して
アドバイスと称して干渉し過ぎたり、
子どもへの期待が高すぎるために、
期待に応えられない子どもに対して
不満を抱く親も少なくありません。

このような状況は、
親が子離れできていないことの
表れだと考えられます。

日本では、
子離れしていない親が多いため、
親子関係が不健全になりがちで、
それが多くの家族問題の原因となっている
と思います。

親が子離れしにくい理由は、
文化的かつ社会的な背景が
あるのでしょう。

日本では、
親と同居する子どもが珍しくなく、
同じ屋根の下で生活することが、
子離れを難しくする要因の一つに
なっていると考えられます。

親は子どもが小さい頃から
世話をしてきたため、
子どもを世話することに慣れ、
同居すると以前と同じように
子どもを扱ってしまうのです。

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親子間の独立を阻む社会的要因について

日本では、
社会的に弱い立場にある人が
公的支援を受けることに対して、
否定的な見方をする人が多いようです。

資本主義社会の特性上、
社会的格差は避けられず、
社会的に弱い立場にある人々が
出てくるのは当然のことです。

人はそれぞれ異なる能力、体力、
健康状態、家庭環境を持って生まれ、
それによって不利な立場に
立たされることもあります。

しかし、日本では
公的支援を利用することが
恥ずかしいと感じる人が
少なくないようです。

この点でニュージーランドは
日本とは大きく異なります。

ニュージーランドでは
社会的に弱い立場にある人が
公的支援を受けることを普通とみなし、
それに対して恥ずかしいと感じることは
ないようです。

そのため、公的支援を受ける人々が
罪悪感や惨めな気持ちを持たずに
支援を受けることが可能です。

一方、日本では、
公的支援を利用することに対する
ネガティブな見方があり、
家族が支援を提供すべきだ
という考えが根強いため、
家族に過度な負担がかかり、
結果として家族間での苦しみが
生じることになるのでしょう。

また、
正社員と派遣社員の間に存在する
経済的な格差も、
若者が独立することを
困難にしているのだと思います。

正社員になることができない場合、
若者は親との同居を余儀なくされ、
親から経済的な支援を
受けることも多いのです。

それにより、子どもと親の双方が
お互いに離れがたい状況となり、
子離れや親離れを
困難にしていると考えられます。

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成人した子どもと親の同居についての私の見解

私個人の意見ですが、
成人した子どもの場合には、
できるだけ親とは同居しないほうが
望ましいと考えます。

その主な理由は、別居することで
親離れや子離れがしやすくなり、
親子間で適切な距離を保つことができ、
健全な関係を維持しやすくなるからです。

親子関係が健全であれば、
親子関係の問題で苦悩することも
防げると思うのです。

成人した子どもが
独立して暮らすことで、
自らの人生を自分で選択し、
自分らしく生きることも
可能になるでしょう。

この自立過程で、
責任感や自己決定の能力が育まれ、
人生のさまざまな局面での
判断力や対処能力を高める助けと
なることでしょう。

自分だけの空間を持つことで、
生活習慣や価値観を
自分で築きやすくなり、
個人の成長にも
寄与することでしょう。

親にとっても、
子どもが独立して生活することで、
子どもへの過度な執着を
手放しやすくなります。

これは、親自身が新たな人生の章を
開く機会となるのです。

子どもの幸福に過剰に介入することなく、
自分自身の趣味や関心事に専念し、
自身の人生を充実させることが
可能になります。

これまで子育てに忙しく、
自分の時間が取れなかった人には、
これから新しい活動に取り組んだり、
多様な挑戦をする機会が
広がることでしょう。

親と成人した子どもが別居することは、
双方に多くのメリットをもたらします。

それは、互いの自立を促進し、
健全な親子関係の構築に向けた
重要な一歩となるでしょう。

適度な距離感を保ちつつも、
健康的かつ充実した親子関係を
築きやすくなるのです。

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おわりに

私と同様に実の家族との関係で
苦悩している人が
日本には少なくないと感じたため、
今回はこの話題を取り上げました。

日本とニュージーランドの両国に
長年住んだ経験がある私は、
両国の親子関係の違いを
強く感じています。

具体的にどんな違いがあるのか?
また、日本の親子関係が
なぜ険悪になりやすいのか?
私が考えていることを
お話ししました。

この意見はあくまで
私個人の見解に過ぎないので、
一つの視点として
参考にしていただければと思います。