今日は土曜日。これから野菜のマーケットに出かけて、1週間分の野菜の買い出しをする。これは、私の週末ルーティンの一つだ。私たち家族はベジタリアンではないが、我が家では野菜中心の食生活をしているので、毎週土曜日には、大量の野菜を仕入れてくる。私達が住むウェリントン地方には、週末にはいろいろな場所で野菜のマーケットが開かれる。近隣ホロフェヌア地方の農家の人々が、大きなトラックで種類豊富な野菜を運んできてくれるのだ。
野菜のマーケットの魅力は、新鮮な野菜が安価で買えること。また、スーパーでは手に入りにくい野菜もたくさん売っている。大根、白菜、にら、青梗菜など、日本で馴染み深い野菜や、ケールなどの青野菜がそれらである。私達が行くマーケットには、10軒以上の野菜の出店があるので、同じ野菜でも、お店によって値段がかなり違う。新鮮で質の良いものを、できるだけ安い値段で買うというのが、私達の狙いだ。
中にはちょっと傷んだ果物や野菜を売る店もある。ただ、値段は半端なく安い。こういう野菜や果物を大量に買う人の姿も見る。そんな人たちによれば、「ジャムやスープを作る時には、ちょっと古めの果物や野菜でも全然問題ない」とのこと。
不思議なことに、出店している農家の人々は、すべて中国系の人たちだ。週末のマーケットのために家族総出でウェリントン地方までやってくるようだ。もちろん、小さな子供たちも野菜を売る手伝いをしている。この子供たちの足し算能力は素晴らしい。それぞれの野菜は、一キロXXドルという感じで売られる場合が多い。7~8種類の違う野菜をそれぞれの袋に入れてお会計に持ってゆくと、お手伝いの子供が、あっという間に合計金額を暗算してくれるのだ。電卓を使うことなく、頭の中で計算するスピードがとても早い。しかも、計算間違いは全くないのだ。中国系移民の子供たちが学校でも優秀な成績を取る傾向にあるのは、生活の中でもきちんと訓練しているからだ、と納得した。
マーケットで売られるものは、主に野菜であるが、その他の出店もある。ニュージーランド人がホームベーキングのケーキやマフィン、手作りの手芸品を売っていたり、移民の人たちがエスニックフードの屋台を開いていたりする。ベトナム料理の屋台、メキシカンのタコスのお店、ドイツのソーセージで作ったホットドックを売る店など、その時々で出店は違うが、いつも国際色豊かで、見ているだけでも楽しい。
私の子供たちが小学生の頃は、毎週末、家族みんなでマーケットに来ていた。いろいろな屋台で昼食を買って食べたり、マーケットのバザーを見て楽しんだり、結構、家族皆で楽しめるイベントだった。マーケットを歩いていると、屋台から香ばしい匂いがしてきて、日本の夏のお祭りを思い出す。私はこういう雰囲気が大好きだ。
マーケットでは色々な言語が聞こえてくる。中国語、韓国語、日本語、英語、ドイツ語等々。でも、やはり中国語が一番目立つ。私は中国人に見えるようだ。野菜のマーケットに行くと、いろいろな中国人に中国語で話しかけられる。昔、中国語を勉強していた時があったが、今ではすっかり忘れてしまった。もっと勉強しておけば、彼らの言うことも理解できて楽しかったのに、と思う。
マーケットでは楽器の演奏や歌でバスキングをして、客からの投げ銭を集める人たちもいる。年齢を問わず、小さな子供から大人まで、自分の芸を披露している。中には、ちょっと調子外れの人もいるが、そんなのは気にしていないようだ。皆、本当に楽しそうにやっていて、近くで聞いている私も楽しい気分にさせて貰える。
このマーケットでスゴイと思うことは、どんなに天候が悪くても、マーケットは開かれること。ウェリントン地方は、時には強風大雨で荒れ狂うお天気のときもある。そんな時でも、ホロフェヌア地方から農家の人々が1時間以上もかけてウェリントンまでやってくるのだ。食べ物の屋台やケーキ、マフィンを売るお店は出店しなくても、中国系の農家の人々は、天気が悪くても合羽を着て、野菜を売りに来てくれる。ちょっとやそっとでは諦めない中国系の人々の強さを感じる。
今日も新鮮な野菜や果物が安価で買えますように。それでは、行ってきます!