私は日本とニュージーランドの
両国で長年生活してきました。
両国には多くの
文化的な違いがありますが、
そのうちの一つとして、
自分の欠点に対する捉え方に
違いがあると感じています。
今回は、
自分の欠点をどのように捉えるか、
日本とニュージーランドの
捉え方の違いについて、
私の体験を交えてお話しします。
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日本においては、
多くの人々が自分自身の欠点に
敏感であると感じます。
さらに、
これらの欠点を問題だと捉え、
積極的に改善しよう
と考えている人が
少なくないようです。
一方で、
ニュージーランドに目を向けると、
自分の欠点について、
あまり自覚していない人が
多く見受けられます。
また、欠点に気づいていても、
その改善や克服に対して、
積極的でない人も
多いように感じられます。
日本人が自分の欠点を認識し、
それを改善しようとする姿勢は、
高い向上心の現れだ
と考えられます。
この点において、
日本人の意識の高さは
評価されるべきです。
しかし、
この優れた向上心が
ときには自分自身に対する
過度な厳しさを生み、
不要なストレスを
引き起こすことも
珍しくありません。
その点では
少々残念に思います。
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私自身のことですが、
私は内向的な人間です。
おとなしくて口数が少なく、
少人数の集まりや
一対一での会話を好むタイプです。
初対面の人に
積極的に話しかけることは、
私にとってかなり難しく、
なかなかできないことです。
以前は、このような性格が不満で、
もっと社交的になりたい!
と強く願っていました。
その理由は、内向的であることが
望ましくないと感じ、
社交的な人々を
理想としていたからです。
この信念を
持つようになったのは、
親や友人、そして社会全体が
社交的な人物を高く評価するという
風潮があったからだと思います。
実際、私は何度も
内向的な性格を
克服しようと試みました。
その過程で、無理に社交的に
振る舞うこともありましたが、
その努力は長続きしませんでした。
結局、疲れが出て、
元の状態に戻ってしまったのです。
このような試みと失敗を繰り返し、
自分を責めることも多く、
ときには落ち込むこともありました。
「自分はダメだ」
と情けなく思うこともあり、
そのたびに悲しい気持ちに
なっていました。
日本にいる知人にも、
私と同様に内向的な性格で
悩んでいた人がいます。
その人は、人前で
大きな声を出すのが苦手ですが、
かつてガソリンスタンドで
アルバイトをしていました。
お客様が来た際に、
元気な挨拶ができず、
たびたび上司から叱られていました。
そのため、大声で
挨拶する訓練をしろ!
と指示されていたのです。
彼女も私と同じように、
控えめな性格に
フラストレーションを感じており、
それを克服しようと努力していました。
何度も練習していましたが、
うまくいかず、
深く悩んでいたのです。
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日本に住んでいたころ、私は
内向的な性格や内気な性質が
悪いことだと考えていました。
しかし、
ニュージーランドでの生活を通じて、
その考え方は根本から変わりました。
この見方の変化は、
ニュージーランドにいる
私と同じような内向的な人々との
交流を通じて得られたものです。
彼らは、自分の性格を
まったく悪いとは思っておらず、
かつての私のように自分を偽ったり、
社交的になるために
無理をすることはありませんでした。
彼らは内向的であることを
問題だとは捉えていないのです。
性格は多様で、一見すると
良いとされる性格もあれば、
悪いとされる性格もあるでしょう。
しかし、よく考えてみれば、
どんな性格にも、
長所と短所が共存しているものです。
たとえば、優柔不断な人は
決断に時間がかかるかもしれませんが、
それは慎重さや多角的な視点の
証でもあります。
面倒見が良い性格は、
他人を思いやる
優れた特質がありますが、
その一方で、おせっかいで、
他人のことに熱心すぎて、
自分のことをおろそかにする
というネガティブな側面も隠れています。
頑固な性格は否定的に捉えられがちですが、
それは負けず嫌いで、
継続的な努力ができる
強い意志の表れでもあります。
このように、視点によっては、
同じ性格・特性が短所にも、
長所にもなりうるのです。
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ニュージーランドでは、
どんな性格でも、そのままで
自分らしさを最大限に活かす
仕事や環境を選ぶ人が多いようです。
たとえば、私の知人のように、
内向的で大きな声を出せない人は、
顧客と積極的に接する仕事を
避ける傾向があります。
代わりに、
自分の内向的な性質を
活かせる仕事に就いています。
自分を無理に変えて
環境に適応するのではなく、
自分らしさを尊重し、
その特性を活かせる場で
活動する人が多いです。
日本では、自分を変えて
特定の仕事や環境に合わせる努力が
推奨されることがありますが、
ニュージーランドでは逆に、
自分の個性や特質を尊重し、
それが最大限に活かされるような
選択をすることが奨励されている
と私は感じています。
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日本とニュージーランドの
考え方の違いは、
学校教育の違いに
起因しているのではないか
と思います。
私が日本で教育を受けたときには、
不得意な科目や
苦手な点を克服することを、
親や教師は強調していました。
一方、私の子どもたちが
ニュージーランドの学校に
通っていた時期に、
教師との面談などで
繰り返し教育関係者と
話す機会がありましたが、この国では
できないことを無理にするような教育は
少ないと感じました。
もちろん、本人が
自分の短所を克服したいと思うなら、
それは素晴らしいことで、
奨励されるべきです。
しかし、
本人がその気がない場合は、
得意な部分をさらに伸ばす方向で
教育を進めるほうが
効果的だと考えられます。
ニュージーランドでは、
短所克服よりも
長所伸展に重点を置く
傾向があります。
この教育の違いから、
日本では「欠点は克服すべき」
という考え方が
根強いのだと感じています。
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人はどんな性格であっても、
良い面も悪い面も
必ず持っているものです。
悪い面ばかりに目を向け、
それを克服しなければならない
と自分に厳しくするよりも、
自分の性格をそのまま受け入れ、
それを最大限に活かす環境や仕事を見つけ、
そこで自分の特性を
うまく利用するほうが、
ずっと幸せだと思います。
かつての私は、
内向的な性格の否定的な側面に
過度に焦点を当て、
それを無理に変えようと
努力していました。
しかし、今は違います。
内向的であっても、
何の問題もない
と思えるようになりました。
自分の内面の豊かさを大切にし、
それを活かす方向で
進んでいけばよい
と考えるようになりました。
今回は自分の欠点を
どう捉えるかについて、
日本とニュージーランドで
異なる傾向があるという話をしました。
これが一般的なものかどうかは
わかりませんが、一意見として
参考にしていただければ幸いです。
この件について
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