南半球に位置するニュージーランドは、季節が日本とは真逆だ。9~11月は春、12~2月は夏、3~5月は秋、6~8月は冬、といった感じ。ただ、日本のようには四季がはっきりしておらず、「今はいったい、どの季節だった?」と忘れてしまう時もある。
私の住む北島南部では、夏でも気温が25度を上回ることは少ない。また、冬も東京ほど寒くならないので、かなりマイルドな気候と言ってよいだろう。北から暖かい風が吹けば、冬でも春らしい気候で、逆に、南からの風が強ければ、夏でもかなり寒い。風向きによって、体感温度が大分違ってくるのだ。
日本では「北風ピューピュー」と言うけれど、ニュージーランドは「南風ビュービュー」と表現できる。私が住む地域では、風の吹き方は半端なく強い。ニュージーランドに来たばかりの頃、「南」が寒いということを変に感じた。でも、20年以上もこの国に住む今では、「南」と聞けば「寒い」を、「北」と聞けば「暖かい」と自然とイメージするようになった。
年間を通じて気温の変化が少ない分、1日の中での気温のアップダウンは激しい。典型的な夏の日、我が家では朝一番にヒーターをつける。冬ほどは寒くなくても、やはり朝はけっこう冷え込む。午前中は長袖のシャツやトレーナーを着るのが丁度よい。でも、午後になれば気温も上昇して、長袖では暑く感じるようになる。午後3~4時は気温のピークで、この時間帯は半そでのTシャツに着替えた方が快適だ。夜間になれば涼しくなるので、Tシャツだけでは寒くなる。再び長袖の服を着るようにしている。
この国で生活を始めたばかりの時、ニュージーランド人の友人が、どのような服装にすれば便利で快適かを教えてくれた。まず、半袖のTシャツを下に着る。その上に、長袖の薄手のポロシャツ、そして、その上にセーターを着る。朝はこれで丁度良いだろう。日中の気温の変化に合わせて、セーターや長袖のポロシャツを脱いだり着たりして、一番快適な服装に調節するそうだ。
ニュージーランドでは冬は雨期で、湿気が多い。毎日、雨、雨の連続で、気分が落ち込みやすい季節だ。室内の湿気を取り除くために、除湿器を使用している家庭も多い。我が家でも、除湿器には大分お世話になっているが、半日除湿器をかけているだけで、除湿器のバケツにいっぱい水が溜まる。こんなに湿気があるので、気を付けていないと、家の所々にカビが生えてしまう。確か、日本では冬は乾燥するので、加湿器をかけていたと記憶する。この点でも、ニュージーランドと日本は真逆だ。
夏でも雨は降るが、どちらかと言えば、夏は晴天続きの日が多い。ニュージーランドに旅行を考えているのなら、天気が良く、気温も極度に暑くない夏(12~2月)が一番オススメの時期だ。
マイルドな気候は有難いと思う。でも、マイルドで極度に寒さが厳しくないせいか、ニュージーランドの典型的な家屋は、暖房設備がしっかりしていない傾向にある。そのため、ニュージーランドの冬を、けっこうツライと感じる人も多いようだ。ニュージーランドで出会ったカナダ人の友人はこう言った。「ニュージーランドの冬は僕にとって厳しいよ。暖房設備がお粗末だから、室内の温度がかなり低い。カナダでは冬は外の気温はかなり低くなるけれど、室内は暖かくてポカポカしているから、とても快適だ」と。
我が家もニュージーランドの典型的な家屋で、冬は室内の寒さで、私も大分ツライと感じている。家の中と外の温度差があまりないので、家の中で吐く息が白いということもしばしばある。そういう時は、日本やカナダの快適な室内温度が羨ましくなる。
冬の寒さがツライと思う時はあるが、暑さに弱い私にとっては、夏の気候はかなり快適だと感じている。夏の快適さは、私がこの国の生活を気に入る理由の一つでもある。