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ネガティブ感情の奴隷にならないよう、私たちに何ができるか?

一般的に
ポジティブは良いことで、
ネガティブは悪いことだ
という社会風潮があるけれど、

この考え方は
あまり適切ではない。

なぜなら、私たちの住む世界は
ポジティブも、ネガティブも
両方ある二元性の場所だから。

ポジティブだけを全肯定して
ネガティブを全否定するのは
とても不自然なことだ。

ポジティブとネガティブが
グルグル回りながら
バランスを取りつつ、
世界が成り立っている。

私たち人間一人一人にとっても
ポジティブな出来事もあるし、
ネガティブな出来事もある。

これは当然のことであり、
何も不思議はない。

私たちにとっては
ポジティブなことと、
ネガティブなことを
両方満遍なく観ることが大切だ。

ポジティブ思考万歳の姿勢で
ポジティブに偏り過ぎるのは
無理があり、いつかは破綻する。

それとは逆に
ネガティブに偏り過ぎて、
「人生悪いことばかり」と嘆くのも、
不幸になるだけで、
何も良いことはない。

ポジティブに偏り過ぎた
と自覚したら、
意識的にニュートラルに目を向け、
ポジティブ熱を冷ましたほうがよい。

ネガティブに偏り過ぎて、
この世の中や人間の悪い面ばかりに
目がつくようになったら、

ニュートラルに戻れるよう
意図的に
自分を仕向けていくとよい。

そうすることで、
ポジティブもネガティブも
両方受け入れた広い視野で
世界を見ることが可能になる。

その結果、
冷静で賢い判断が
できるようになる。

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悩んでいる人、苦しんでいる人の
ほとんどがネガティブに
偏り過ぎている。

ネガティブ方向に行き過ぎた場合、
どんなことをすれば、
バランスあるニュートラルに
自分を戻せるだろうか?

ある人は、
「天国言葉」を唱えるよう
推奨している。

「天国言葉」とは、
「愛してます」、「ついてる」、
「うれしい」、「楽しい」、
「感謝してます」、「しあわせ」、
「ありがとう」、「ゆるします」
の8つの言葉。

逆境の最中にいても、
このようなポジティブな言葉を
頻繁に唱えるうちに、
認知的不協和が起きる。

最初はそうは思えなくても、
繰り返して言ううちに、
次第に発した言葉通りに
感じられるようになるということだ。

確かに、これも一理あるだろう。

ネガティブ感情でいっぱいでも、
こうすることでネガティブ寄りから
ニュートラルに戻れる人は、
是非、これを活用すればよい。

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しかし、多く人はこの方法で
ポジティブとネガティブのバランスを
取ることは難しい。

特に感情があまりにも激しい場合、
自然と沸き出る感情を
ムリに抑えつけようとしても逆効果だ。

自分の素直な気持ちに向き合わず
自分に嘘ついて
ネガティブ感情を否定すれば、
余計ツラくなってしまう。

自分の本当の気持ちを隠して
ムリに明るく振る舞おうとすれば、
ネガティブ感情が未消化のままで、
いつまでも自分の中に残ってしまう。

強いネガティブ感情は
その感情を感じ切って、
完全燃焼させたほうが
予後が良い場合も多い。

自分だけで思いっきり
感情を感じ切って、
後はスッキリしたほうが
気分的にもラクになれる。

この時、やってはいけないことは、
感情のまま振る舞って
周囲の人たちに、
自分のネガティブ感情をぶつけること。

あくまでも、自分の中だけで
処理することが大切だ。

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感情は自然と沸いてくるものなので、
一旦、沸き出したら、
コントロールしようとしても
なかなか上手く行かない。

だから、自然に沸いた感情を
その場で感じ切って、
そこで完結させたほうがよい。

しかし、あまりにもしょっちゅう
ネガティブ感情に襲われれば、
いつもいつも暗い気持ちで
不愉快で憂鬱に生活することになる。

次から次へと自然と沸き出る
ネガティブ感情に向き合えば、
ネガティブに偏り過ぎて
とてもツラくなってしまう。

そんな時に有効な方法がある。

ネガティブ感情が沸く前に
感情を誘発しそうな人や物事に対して、
「自分はどのように考えるのか?
どう解釈するのか?」

捉え方を意図的に変えてしまえば、
今までのようなネガティブ感情に
襲われることも少なくなる。

自分の捉え方次第で
自分の感じ方が
全く変わってしまうからだ。

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たとえば、車を運転している時、
後続車がイライラした様子で
クラクションを何度も鳴らしてきた場合。

自分としては慎重に安全運転しているのに、
後ろの車から「早くしろ!」と急き立てられ、
怒鳴られているような気分になる。

イラっとくるのも不思議でない。

自分もクラクションを鳴らし返して、
「うるさい! 黙れ!」
と喧嘩したくなる。

相手からのクラクションを
真に受ければ、
怒りの感情が沸くこともしばしばだ。

しかし、捉え方を少し変えれば、
相手がうるさく急き立ててきても、
自分は落ち着いていることも可能だ。

「ああ、後ろの車のあの人は
トイレに行きたくて、
どうしょうもないんだ。

だから、急いでいる。
早くしないと漏れちゃうから、
大変なんだ。

可哀そうな人だな~

でもね、お漏らしするよりも、
安全運転で事故起こさないほうが
ずっとマシだから」と自分に呟いてみる。

後続車の運転手が
本当にトイレに行きたいのかは
分からない。

でも、勝手に
こちらでそのように決めて、
面白おかしく解釈できれば、

こちらが相手のイライラに
巻き込まれることもなくなる。

「トイレ、漏れそうなんでしょ」と
自分の中で思うことは、
誰にも迷惑がかからないことだ。

自分にとって都合よく解釈できれば、
それだけで気分も悪くならない。

相手からの失礼な行為を
真に受けることなく、
自分は苦しまず、冷静を保てる。

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自分の近くにイライラとした
感じの悪い人がいた場合。

自分も相手のイライラを貰ってしまい、
不愉快な気分になることもしばしばある。

しかし、こういう時も、
自分の中で勝手に想像すればよい。

「ああ、あの人、今朝、旦那と喧嘩したんだ。
だから、憂さ晴らししたくて、
周囲の人たちに怒りをぶつけているんだ。
可哀そうだな」と勝手に想像する。

その想像が正しいかどうかは
全然重要ではない。

自分の中でそのように捉えることで、
自分の平静を保てるか?
が一番大切なことだ。

自分の気分が悪くならないよう
自分に都合よく解釈できるか?
が重要なことだ。

そうすることで
自分までネガティブ感情を
貰うこともなく、
嫌な気持ちにならなくてすむ。

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感情そのものは
自然と沸いてくるもの。

一旦、湧いてきてしまったものは、
どんなに否定しても、
ムリに抑えつけようとしても
なかなか静まらない。

そういう時には、
その感情を感じ切って、
すっかり消化させるといい。

しかし、物事の捉え方を変えることで、
自分の都合よく解釈することで、
嫌な感情が湧いてくる頻度を
軽減させることは可能だ。

「こういう風に考えたら、
自分はどう感じるだろうか?」
と自問自答してみる。

もし、その答えが
「嫌な気分がする」だったら、
「じゃあ、別の考え方をしてみよう」
と、別の解釈を思考してみる。

新しい考えが浮かぶたびに
「この考え方、
自分にとっては、どう?」
と聞いてみることだ。

「それなら、気分がいい」
と思うものが見つかるまで、
色々思考してみるとよい。

どう考えようと、どう捉えようと
どう解釈しようと、全然構わない。

自分の気分が良くなるように
解釈することだ。

そうすることで、
ネガティブ感情が沸いてくる頻度も
少なくなる。

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今回の話をまとめれば、

1)ポジティブも、ネガティブも
両方受け入れて、バランスを取ること。

2)これが一番、視野が広く、
冷静で正しい判断ができるから。

3)ネガティブに偏り過ぎたら、
意図的にニュートラルな位置を
目指すとよい。

4)感情は自然に沸くものなので、
ムリに抑えても、上手く行かない。

5)感情をコントロールするよりも、
感情を沸き立たせる
きっかけになる対象物に対して、
自分の捉え方を変えてしまうこと。

6)自分の中で都合のよいように
解釈したり、考えたりする。

7)これにより
不愉快な感情が沸くことも軽減できる。