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幸せを追い求める時、覚えておくと役立つこと

「幸せ」の定義は、人それぞれ違う。
でも、脳科学的には、「何が幸せなのか?」
簡単に説明できる。
精神科医・樺沢紫苑先生によれば、
3大幸福物質である「セロトニン」、
「オキシトシン」、「ドーパミン」が
脳内で十分に分泌されている状態が
「幸せ」ということだ。

今回は、樺沢先生のユーチューブトークをもとに、
「幸せを追い求める時、
覚えておくと役立つこと」をテーマとしたい。

まず最初に、
「セロトニン」、「オキシトシン」、「ドーパミン」は、
私たちの身体の中で、
どんな役割を果たしているのかについて。

「セロトニン」は心と身体の健康に大切な物質。
心のバランスを整え、感情をコントロールして、
「気分が良い」、「体調が良い」、
「癒される」、「安心できる」といった、
心身ともに良好な健康状態を人にもたらす。
「セロトニン」は、
睡眠を促す「メラトニン」の原料でもあり、
質の高い睡眠を取るためにも重要だ。

「セロトニン」が不足すれば、
感情のコントロールが難しくなり、
ちょっとしたことでイライラしたり、
不安になったり、暴力的になったりする。
鬱病は「セロトニン」が枯渇した状態だ。

「オキシトシン」は繋がりの幸福物質。
人と人との親密な関係がある時に、分泌される。
誰かと一緒にいて「楽しい」、「嬉しい」、
「安らぐ」という状態になれる。
相手が人間でなく、犬や猫などのペットでもOK。
ペットと戯れる時に、
「オキシトシン」が沢山分泌されている。
人に喜んで貰えるボランティアをする時にも、
自分自身が喜びを感じるのは、
「オキシトシン」によるものだ。

「オキシトシン」は免疫力向上にも効果的。
感染症予防のためにも、意識して
「オキシトシン」レベルを上げるとよい。
そのためには、
誰とも関係を持つことなく、
一人ぼっちで空しく、淋しい状態を
避けることが必要だ。

「ドーパミン」は何かを達成した時に、
「ヤッター!」と喜びと快感を与えてくれる。
ドーパミン的幸福は、成功の幸福と言ってもよい。
ドーパミンが分泌されれば、
意欲が湧いてきて、
もっと頑張ろうという気持ちになる。
仕事や勉強を成功させるためにも、
「ドーパミン」は重要な物質だ。
分泌されればされるほど、
意欲が上がり、更に仕事や勉強で
大きな成果を出すことが可能になる。

「セロトニン」、「オキシトシン」、「ドーパミン」
の3大幸福物質が十分分泌されていれば、
人は「幸せだ」と感じられる。
理想的には、この3つすべてが
ほどよく分泌されているとよい。
しかし、この3つのうち、「どれもイマイチだ」
と感じるのなら、
まずは、どれを最優先させるべきか?
正しい優先順位を知ることが重要だ。

樺沢先生によれば、
一番最初に「セロトニン」、
次に「オキシトシン」、
そして、最後に「ドーパミン」の順で、
満たしてゆくよう努めるべきだとのこと。
この3つの順番を間違えると、
幸せになるどころか、
不幸を招くこともあるからだ。

なぜ、そうなのか?

ドーパミン的幸福を強く追い求めたせいで、
心身の健康を失う人がいる。
例えば、勤めている会社で出世するために、
昼間はもちろん、夜間も残業を沢山して、
常に仕事熱心に頑張る人がいる。

確かに、やればやるだけ
良い結果が出るだろう。
仕事で大きな業績を上げて、
上司や同僚からも認められて、
もっと上のポジションに行けるかもしれない。
組織の中で出世して、
大きな報酬も得られるようになるだろう。

しかし、自分の心身の健康をないがしろにして、
仕事人間で、仕事を最優先にすれば、
そのうち、身体も心も病んでくるだろう。
どんなに大きな成果を出して出世できても、
自分の健康状態を壊して働けなくなれば、
何のための頑張りか?分からなくなる。

出世して、高給取りになり、
リッチなフレンチを食べれるようになっても、
身体の具合が悪ければ、
美味しい食事も楽しめないだろう。
そういう状態で、「自分は幸せだ」
と言えるだろうか?

自分のビジネスを立ち上げて、
ほとんどすべての時間を
ビジネスを成功させるために費やせば、
家族はどう感じるだろうか?
お父さんは仕事で一生懸命。
そのこと自体は、素晴らしくても、
奥さんとの貴重な時間、
子供とのスキンシップを犠牲にしている。
家族との時間を一切取らないで、
仕事ばかりに夢中になっていれば、
大切な人間関係が壊れてゆくだろう。

ビジネスで大成功して億万長者になった時、
当然、お金には困らない。
お金の使い道に迷うほど、リッチになれた。
でも、妻や子供たちは喜んでくれるだろうか?
おそらく、この頃には、
自分に一番大切な人間関係は壊れている。
家族にそっぽ向かれれば、
経済的にどんなに成功を収めても、
「幸せだ」と思えるだろうか?

これらの例は、セロトニン的幸福、
オキシトシン的幸福を軽視して、
ドーパミン的幸福だけを追い求めた結果だ。
どんなに素晴らしい業績を上げても、
どんなに大きな成果を出しても、
自分自身の心身の状態が良くなければ、
「幸せだ~」とは感じられない。
自分にとって一番大切な人たちから
相手にされなくなれば、
「ああ、頑張って良かった!」
とは思えないものだ。

この3つの順番を間違えてしまえば、
幸せにはなれないのだ。
幸せになるどころか、不幸になる場合もある。
正しい順番は、
まずは「セロトニン的幸福」。
次に「オキシトシン的幸福」。
この2つが土台になって、
初めて「ドーパミン的幸福」を追うのがよい。

まずは、自分が心身ともに健康になろう。
そのためには、規則正しい生活習慣、
健康的な食生活や適度な運動が必須だ。
朝日を浴びながらリズム運動である散歩をして、
セロトニンレベルをバンバン上げる。
しっかり睡眠を取り、朝起きた時にはスッキリして、
「今日も一日良い日を過ごそう」と感じること。

自分に大切な人間関係の人たちと
一緒に過ごす時間を大事にしたり、
ペットと戯れて安らぎのひと時を楽しんだりする。
緩急をつけて、繋がることで得られる幸福を
しっかり味わおう。

この土台がきちんとできたら、
ようやくチャレンジに移る段階だ。
自分にとって少し背伸びすればできる
ムリのないチャレンジをするとよい。
樺沢先生の言葉では「ちょい難」が理想的。
ちょっと背伸びをすれば
達成可能なくらいの難易度だ。
大きな負担をかけることなくできる。

「ちょい難」を何度も繰り返し、
常に小さな目標をクリアし続ければ、
1年も経てば、自分では驚くほど
大きな成果を出している。
ムリのない「ちょい難」を
長期間継続することが、
大きな結果を出すコツになるそうだ。

今回の話をまとめれば、
幸せに生きるためには、
3大幸福物質である「セロトニン」、
「オキシトシン」、「ドーパミン」が
脳内で十分に分泌されていることが必要だ。
これら3つを満たす順番は、
まずは「セロトニン」、次に「オキシトシン」、
最後に「ドーパミン」という順。
この順番を間違えれば、
不幸になることもあるので、
十分気をつけよう。

樺沢先生、役立つトークを
有難うございました。

参考動画:「頑張っても幸せにはなれない!脳内物質から見る幸福の正体
(ユーチューブ 精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル)