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不安や心配を感じたときの強い味方:シナリオ法を試そう!

この記事では、
不安や心配の感情を
和らげたいときに役立つ
「シナリオ法」についてお話しします。

不安や心配の感情の大波が
押し寄せてきたとき、
その感情に飲み込まれてしまうと、
周囲が見えなくなり、
現実的な判断が
困難になります。

それを避けるために、
心配事があるときや、
将来について
不安になりすぎているときには、
意識してこの方法を
試してみるとよいでしょう。

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シナリオ法とはどんなもの?

シナリオ法は
誰でもどこでも
気軽に試せる方法です。

まずは紙とペンを用意し、
落ち着ける場所で
自分自身と向き合ってみましょう。

最初に、
自分の今の状況や出来事を
書き出します。

次に、その状況で
どのような感情が湧いてきたかを
記録します。

さらに、
不安や心配を生み出している背後に
どのような思考があるのかを
探ってみましょう。

一つの思考だけでなく、
複数の思考が存在することも
しばしばあります。
それらもすべて書き出します。

複数ある思考の中で、
特に強く自分を悩ますものを
特定するとよいでしょう。

そして、以下の3つの問いに
答えてみましょう。

1. 最悪の場合、どんなことが
起こる可能性があるでしょうか?

思いっきり想像力を働かせ、
実際には起こりえないような
最悪な状況を思い描いてください。

2. 最善の場合、
どんな素晴らしいことが
起こる可能性があるでしょうか?

ここでも同様に想像力を働かせ、
信じられないほど
素敵なシナリオを考えてみましょう。

この2つの問いについては、
笑ってしまうほど
極端なシナリオを
わざと作ることがポイントです。

3つ目の問いでは、
現実的にはどのような状況になるかを
考えてみます。

ここでは問1と問2で答えたシナリオの
中間に位置するような、
もっともありそうな
現実的なシナリオを作ってみます。

この3つの問いに対して、
それぞれの答えを書き出すことで、
不安や心配が
少しでも軽減されるのを
感じられるでしょう。

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新しい職場でのプレゼンに不安を覚えるケース

実際に例を挙げて
シナリオ法を試してみましょう。

状況:
新しい職場に転職したばかりで、
初めてのプレゼンを控えている。
内容は自分の担当するプロジェクトについてで、
重要な顧客と上司が聴いている。

感情:
緊張、恐怖、不安、自信の欠如、
期待感といった
複雑な感情が入り混じっているが、
中でも不安の感情が強い。

思考:
「上手く話せなかったらどうしよう」
「プレゼンが失敗したら、
上司からの信頼を失うだろう」
「この仕事を自分の能力で
こなせるのだろうか」
「失敗したら同僚に
笑われてしまうだろう」

一番強い思考:
「プレゼンが失敗したら、
上司から信用を失うだろう」

(1)最悪の場合:
プレゼン中に緊張のあまり、
話が途切れ途切れになり、
スライド操作も間違えてしまうことが
何度もあった。

聞いている人々の表情が
次第に険しくなり、
誰かがため息をつくのが
聞こえてきた。

プレゼンが終わった後、
上司に呼び出され、
「あんなんじゃダメじゃないか!」
と厳しく叱責された。

同僚たちも冷たい視線を送り、
居場所がなくなる感じがして、
転職したばかりの職場を
辞めざるを得なくなった。

(2)最善の場合:
緊張しながらも、
準備してきた内容を
堂々と発表できた。

意外にも聴衆は
興味を持って聞いてくれ、
プレゼンが終わると
大きな拍手が起こった。

特に重要な顧客からは、
具体的な質問が何件も寄せられ、
プロジェクトへの深い関心が示された。

上司も「よくやった」と称賛し、
この成功をきっかけに、
職場での評価が急上昇し、
私は社内でスター的存在になり、
キャリアアップの
大きなチャンスを掴んだ。

(3)現実的:
プレゼンは
完璧ではなかったが、
準備した通りに
話を進めることができた。

途中で少し
言葉に詰まる場面もあったが、
聴衆はそれを気にする様子もなく、
プレゼン後には
いくつかの質問も受けた。

これにより対話が生まれ、
プレゼンも無事に終了した。

上司からは
「次はもっと
リラックスしてやってみよう」
と言われた。

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プロジェクトチーム内の不和を心配するケース

状況:
新しいプロジェクトチームの
リーダーに任命された。
チームには、互いに
仲が良くない二人が含まれている。

私自身は彼らと
特別問題はないけれど、
二人が衝突することについては
とても心配している。

チームの調和を保ちながら、
プロジェクトを成功に導く
必要がある。

感情:
不安、プレッシャー、緊張、
そして少しの興奮が
入り混じっている。

思考:
「もしチーム内で
争いが起こったらどうしよう」
「チームの不和が
プロジェクトの成功に
影響を及ぼすかもしれない」
「チームメンバー間の問題に
巻き込まれたくない」
「このプロジェクトが失敗すれば、
リーダーとしての責任が問われ、
自分のせいになるのだろう」

一番強い思考:
「チームの不和が
プロジェクトの成功に
影響を及ぼすかもしれない」

(1)最悪の場合:
プロジェクト開始直後から、
チーム内の対立が激化し、
問題の二人が会議中に
激しい口論を始めた。

これにより、
重要な会議が何度も中断され、
プロジェクトの進行が
大幅に遅れてしまった。

最終的には
期限を大きく超えて、
会社からの信用を失うことになる。

リーダーとして
私はその責任を問われ、
解雇されることになった。

この問題は業界内にも広がり、
私は他の企業からも締め出され、
キャリアが崩壊してしまった。

(2)最善の場合:
リーダーとして、チーム内の調停者として
積極的に関わることで、
以前からの不和が
驚くほど迅速に解消された。

私の取り組みが
プロジェクトを活性化し、
チームワークが格段に向上した。

プロジェクトは
予定より早く成功裏に完了し、
業界内で注目を集めた。

私のリーダーシップは高く評価され、
急速に昇進し、最終的には
会社の主要な役員に選ばれることに。

さらに、この成功は
ビジネス雑誌で特集され、
私は業界の注目を
集めるスターになれた。

(3)現実的:
チーム内の不和に
直面することはあったが、
自分の努力で徐々に
メンバー間の緊張を緩和した。

プロジェクトには
困難が伴ったが、
最終的には期限ギリギリで
どうにか目標を達成できた。

プロジェクト完了後、
上司から努力を認められ、
次のプロジェクトでも
重要な役割を任された。

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シナリオ法が有効な理由

たったこれだけのことを
するだけでも、
気持ちは以前よりは
少し軽くなったことでしょう。

なぜそのような効果が
あるのでしょうか?

その理由は、
強い不安に襲われているとき、
私たちはその不安を
具体的に把握していないことが
多いからです。

つまり、漠然とした不安を
感じている状態なのです。

シナリオ法の3つの質問に
答えることで、
漠然としていたものが言語化され、
結果的に不安の内容が
具体的に見えてきます。

すると、解決の糸口が見えることも
少なくありません。

また、最悪のシナリオを
想像することで、
ありえないくらいの最悪の事態に
なったとしても、
命まで取られるわけではない
と思えるでしょう。

最悪の場合でも、
致命的な問題ではないと
気づけるかもしれません。

最悪の事態が訪れたとしても、
「自分には家族がいる」
「人生は一からやり直せる」
といった考え方ができるようになり、
精神的に落ち着くこともあるのです。

書くことにより、
ざわついていた心が整理され、
自分の問題をより客観的に
見ることが可能になるでしょう。

すると、どのようにして
その問題を解決できるのか、
解決できない場合でも、
問題が引き起こす不都合を
少しでも軽減する方法が
見えやすくなるものです。

この手法は、
頭の中だけで考えるのではなく、
実際に紙とペンを用意して
書き出すことが必要です。

いつでもどこでも誰でも
気軽に試せる方法ですので、
不安や心配の波が
押し寄せてきたときには、
ぜひ活用して、
不安や心配を軽減させ、
自分自身を楽にしてあげましょう!