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ネガティブな思い込みを和らげる秘訣

私たちは心の中に、
さまざまな思い込みを持っています。

その中でも特に、
自分を生きづらくさせるものを
「非適応的スキーマ」と言います。

非適応的スキーマを
緩めたいと願うとき、
具体的にどのような方法を
取ればよいのでしょうか?

今回は、
その効果的な方法について
ご紹介します。

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例外体験をたくさんしよう!

結論から言えば、
「例外を探し、集め、増やすこと」
が非適応的スキーマを緩めるのに
効果的です。

そのために、できる限り
「例外を体験する」行動を
積極的に取りましょう。

自分の思い込みが
すべての場面で
当てはまる真実ではなく、
例外が存在するという体験を
意識的に積むことが大切です。

たとえば、「自分の弱みを
他人に見せるべきではない」
という思い込みを
持っているとします。

この思い込みに至るのは、
「弱みを他人に見せたら
致命的な事態や大きな問題が生じる」
と信じているからでしょう。

そんなとき、例外体験、つまり
「自分の弱みを他人に見せても
致命的な事態にはならなかった」
という経験ができればよいのです。

自分の弱いところを人に晒しても、
大変なことにはならなかった
という体験ができたなら、
「この思い込みには例外がある」
「この思い込みは
絶対的に正しいわけではない」
とわかるでしょう。

では、具体的には
どうすればよいでしょうか?

一つの方法は、「この相手なら
自分の弱みを
少し見せても大丈夫だろう」
と思える人を選んで、少しだけ
自分の弱みを見せてみることです。

その結果、
悲惨な事態にならなかったなら、
自分の思い込みの例外を
体験できたことになります。

このような行動を起こす前に、
過去にも思い込みの例外となる体験が
なかったかを振り返ることも
役立ちます。

過去に「自分の弱みを
見せたけれど何も起きなかった」
という体験がないか
意識して探してみましょう。

小さなことでもよいので、
過去の例外体験を
思い出してみてください。

そして、
過去の例外体験を探すと同時に、
新たな行動を起こし、
思い込みの例外となる体験を
増やしていくことがポイントです。

「例外を探し、集め、そして
行動によってさらに例外を増やす」ことで、
その思い込みは
少しずつ緩んでいくでしょう。

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「私はダメな人間だ」という思い込みを緩めるためには?

「私はダメな人間だ」
という思い込みを持っている場合、
どのような行動を
取ればよいのでしょうか?

それには、
「私にはダメではない部分もある。
この思い込みはすべての場面で
当てはまるわけではない」
と感じられるような体験を
することが重要です。

有効な手段の一つは、
毎晩一日を振り返り、
「今日、自分ができたこと」
を記録することです。

小さなことでも何でもよいので、
自分ができたことを
意図して日記に書き出します。

これを半年続けて、
後で読み返せば、
「自分にもできたことが
たくさんある」と気づくでしょう。

自分の良いところが
わからない場合には、友人などに
「私の良いところって
どんなところがある?」
と聞いてみるのもよいでしょう。

意外と周りの人たちは、
自分では気づけない長所を
教えてくれることがあります。

「あなたのいいところは、
こんなところだと思うよ」
と言ってくれる人が一人でもいれば、
それが例外を体験できたことになります。

もし、三人が
そのように言ってくれれば、
例外を三回体験できたことになり、
「自分はダメな人間だ」という思い込みも
必ずしも正しくないことが
証明されたわけです。

さらに、自分の過去を振り返り、
自分がダメではなかった
と思える場面や出来事を思い出し、
それを紙に書き出す作業も有効です。

たとえば、
「私が今の仕事に就けたのは、
私がダメな人間ではないからだ。
もし本当にダメな人間だったら、
会社も私を雇わなかったはずだ。
私が今の仕事を
一年以上続けられているのは、
会社にとって私が
価値のある人間だからだ」
といったことを書き出してみます。

このような例外体験を
意識的に積み重ねることで、
「私にはダメではない部分もある。
自分が思い込んでいたことが
いつも正しいわけではない」
と感じることができ、
徐々に思い込みが
緩んでいくのです。

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「常に頑張っていなければいけない」という思い込みを緩めるには?

「常に頑張っていなければいけない」
という思い込みを持っている場合、
どうすればよいのでしょうか?

この思い込みは、言い換えれば
「頑張ることをやめたら
大変な事態が起きる」
という恐怖から来ているのです。

もし、少し休んでも
大変な事態には至らなかった
という経験ができれば、
その思い込みが
必ずしも正しくないことが
証明されます。

そのような体験を
何度か重ねることで、
この思い込みを
徐々に緩めることができるでしょう。

では、具体的に
どうすればよいのでしょうか?

たとえば、
家事に追われている主婦が
「家事を完璧にこなすために、
常に自分は
頑張っていなければいけない」
と思い込んでいるとします。

その場合、家族の誰かに
小さなことを
お願いしてみるのはどうでしょうか?

相手が多忙でないときを選んで、
ちょっとした家事を
お願いしてみるのです。

相手が快くやってくれたなら、
自分が常に
頑張らなくてもよい
と気づけるでしょう。

さらに、家族がやった家事が
自分ほど完璧でなくても、
それが悲惨な状態になるわけではない
と理解できるかもしれません。

このような体験ができれば、
今後、自分が忙しすぎるときに
家族に頼むことが
しやすくなるでしょう。

また、がり勉の学生が
「常に勉強し続けなければならない」
という思い込みを持っているとします。

この学生は、
競争相手に抜かれることを恐れて、
一瞬たりとも
気を抜くことができません。

そんな学生でも、あえて友人と
リラックスする時間を
作ってみるのもよいでしょう。

その後、勉強に取り組んだ際に、
集中力が高まり、
効率よく勉強できて
好成績を収めることができたなら、
「常に頑張らなくても大丈夫なんだ。
むしろ、ちょっと気を抜くことで
気分転換ができ、勉強の効率も上がるんだ」
という体験ができ、自分の思い込みが
必ずしも正しくなかった
とわかるでしょう。

過去の例外体験を振り返ることも
役立ちます。

過去に「頑張らなくても
問題が起きなかった」体験がないか、
自分に問いかけてみます。

たとえば、以前に
体調を崩して休んだときに、
大きな問題が起きなかった記憶があれば、
それもまた思い込みを緩めるための
証拠となるでしょう。

ここで大切なのは、
自分にとって安心できる範囲で
少しずつ試してみることです。

無理をせず、少しずつでも思い込みに
チャレンジするような行動を起こし、
「それでも大丈夫だった」という体験を
繰り返すことが望ましいのです。

これができれば、やがて
自分をつらくする思い込みから
徐々に解放されるでしょう。

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頑張りすぎないことがポイント

思い込みを緩める作業に
取り組む際は、
あまり力を入れ過ぎず、
気軽に取り組むことが重要です。

「この非適応的スキーマを
完全になくそう!」と力んでしまうと、
そのことに囚われてしまい、
思い込みを受け入れることが
難しくなります。

囚われてしまうと、
そのことばかりに意識が向き、
余計に自分を苦しめてしまうことも
少なくありません。

少し見方を変えてみれば、
自分を生きづらくするような
思い込みでさえ、ある意味で
自分自身を守ってきたものです。

そう考えれば、
「この思い込みは
自分を生きづらくしてきたけれど、
守りにもなっていた側面があるんだ」
と思えるでしょう。

すると、自分自身の思い込みを
悪者として排除する気持ちは薄れ、
その思い込みに
感謝の気持ちが湧くかもしれません。

今まで抱いてきた
不当な思い込みにも、
有難い側面があったことに気づきつつ、
行動面では
その思い込みの例外となる体験を
増やすような行動を
重ねるとよいでしょう。

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行動がうまくいかないときにはどうする?

思い込みの例外を
増やすための行動を試しても、
その行動がうまくいかないことも
あるでしょう。

そのようなときは、
自己受容の練習をする
絶好のチャンスと
捉えることができます。

うまくいかなかったとき、
どのような感情が
心に湧いてきたでしょうか?

もしかしたら、「がっかり」した
感情が生じたかもしれません。

そうであれば、そのがっかりの感情を
そのまま受容してみましょう。

さらに、「私は自分のことを
ダメな人間だと思っているけど、
それでも今まで生きてきたし、
生活もできている。だから、
私は私のままでいいのかもしれない」
と自分に優しく語りかけてあげることで、
自己受容が深まるでしょう。

不思議なことに、
自己受容が深まると
「私はダメな人間だ」という思い込みも
自然に緩んでいきます。

つまり、思い込みは、
その思い込みの例外となる体験を
重ねることで緩みますが、
行動がうまくいかなかったときや、
例外体験ができなかったときにも、
そのときの感情をそのまま受け入れることで、
自己受容が進み、結果として
思い込みが緩むこともあります。

どちらの場合でも、
私たちは行動を起こした分、
前に進むことができるのです。

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まとめ:不当な思い込みを緩めて、自由に生きよう!

この記事では、不当な思い込みを
緩めるための方法について
お話ししました。

それは、
「例外を探し、集め、増やすこと」です。

自分の思い込みが
正しいときもありますが、
正しくないときもあるはずです。

つまり、例外も存在する
ということです。

この例外を意識して
できるだけ多く集めることが重要です。

まず、自分の過去を振り返り、
思い込みの例外となるような体験が
なかったかを考えてみましょう。

この作業は
意識的に行う必要があります。

意識しなければ、
例外を見つけるのが難しいからです。

過去の例外体験を探すと同時に、
新たな行動を起こして、
思い込みの例外となる体験を
増やしていくことが望ましいのです。

これを目的意識を持って続けることで、
例外が増え、その思い込みも
徐々に緩んでくるでしょう。

この記事では、
「自分の弱みを他人に見せるべきではない」
「私はダメな人間だ」
「常に頑張っていなければいけない」
という3つの思い込みに焦点を当てて
お話ししましたが、
どのような思い込みに対しても、
この方法は有効です。

思い込みを緩める作業に
取り組むときは、
あまり頑張りすぎずに
気軽に取り組むことが大切です。

また、例外を見つけるための行動が
うまくいかないこともあるでしょう。

そのような場合には、
うまくいかなかったときの自分の感情を
そのまま受け入れてあげましょう。

そうすることで自己受容が深まり、
思い込みも不思議と
緩んでいくからです。

例外を見つけることに
成功した場合でも、
うまくいかなかった場合でも、
どちらの場合でも
不当な思い込みを緩める方向へ
進むことができます。

「例外を探し、集め、増やすこと」
によって、不当な思い込みから解放され、
自分自身を
より自由にしてあげましょう!