今回は、私の人生で
一番深い谷を経験した時、
私を支えてくれた3つのことを
お話ししたいと思います。
その当時の私と同じように、
辛い状況から抜け出せずに
お悩みの方々の参考になればと、
私の体験をお伝えすることにしました。
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もうすぐ私は60歳の大台を迎えます。
長い人生の中で
数々の経験をしてきましたが、
特に辛かったのは、行く先が見えず、
心身ともに苦しんだ時期です。
それは、私が小学校4年生の時、
非常に衝撃的な出来事に遭遇し、
心の健康を失ってしまった時のことです。
身体には何も問題ないはずなのに、
不調を訴え、日常の暮らしが
困難となる日々が
2年間も続いてしまいました。
それだけでも十分に辛いことでしたが、
さらに苦痛だったのは、その苦しみを
周りに理解してもらえなかったことです。
「精神が弱いからだ!」
「たるんでいるからだ!」
「怠けているからだ!」
などといった言葉を
両親から投げかけられて、
私はどうしようもなくなりました。
学校では異端者として扱われ、
同級生からは馬鹿にされたり、
暴力を振るわれたりしました。
そんな私は
登校拒否をするようになりましたが、
そのことを父は許すことなく、
家では父からの暴力の体罰を
受けることになりました。
母からも「どうしようもない子」、
「人間失格」、「ダメ人間」
などのレッテルを貼られて、
私の自尊心は大きく傷つけられました。
その当時の私は、
大人のサポートが不可欠な年齢でした。
しかし、
適切なサポートを受けられない環境で、
私は孤独と絶望感に苦しみました。
身体の調子が戻り、
表面上は普通の生活を取り戻した後も、
心の傷は深く、自己評価が低く、
人間関係においても
多くの課題を抱えて生きてきました。
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人生どん底に落ちたとき、
私を救ってくれたものの一つは
「時間」でした。
「時間が解決してくれる」
という言葉をよく耳にしますが、
これは確かなことだと思います。
その当時の私は
本当にどうしようもなく、
強い無力感でいっぱいでした。
夜は眠れず、当然のことながら
朝も起きられませんでした。
食事もまともに取れなかったため、
体力も低下し、
疲労感が酷かったです。
学校への出席もままならず、
家で無為に過ごす日々が
続きました。
小学校高学年の時、私は
そのような生活を延々と
送っていたのです。
両親をはじめとする周囲の大人たちは、
「この子には将来はない」
と確信していたようで、
私自身も同じように感じていました。
その当時、この堕落した生活が
永遠に続くかのように思われました。
しかし、それは誤りでした。
その当時の私には、
自分で解決策を試みる力が
備わっていませんでした。
ただ、時間が経過するのを
待つことしかできませんでした。
それでも、時間は
私の強力な味方となってくれました。
時が経てば、
小学校時代も過ぎ去りました。
その時点で、私を虐めた人たちも、
私の視界から消え去っていきました。
新しい中学校生活では、
私を取り巻く人間関係が
大きく変わりました。
過去のダメな側面がどれほどあっても、
新たな環境で少しずつ
私は自己を立て直すことができたのです。
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この新しい環境で、
私は自分にとって大切なことを
見つけることができました。
中学校の英語クラブで
「海外文通」を始めたことです。
ペンパルと手紙をやり取りするうちに、
私は次第に海外への憧れを
抱くようになりました。
遠い異国の素敵な世界を
想像するだけで、
私は楽しい気持ちになれました。
教室に座っていても、
私は先生の話に
耳を傾けていないことが多かったです。
私の頭の中は
楽しい海外の空想でいっぱいでした。
このことがバレれば
先生に叱られるでしょうが、
現実逃避する自分がいたからこそ、
私は今まで生きて来れたと思います。
空想の世界に没頭し、
現実を忘れることは、
一般的には良くないとされますが、
その当時の私にとっては、
これがあったからこそ、
厳しい現実を乗り越えられたのです。
小学校時代の辛い経験は
中学校ではなかったとしても、
その後遺症は残り、
私は他人とうまく関わることが
できませんでした。
そのため、現実よりも
妄想の中で生きる方が楽で、
魅力的に感じられました。
非現実的な妄想と現実逃避は、
その当時の私を救ってくれた、
2つ目のことです。
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海外への憧れと同時に、
私は英語に興味を抱き、
毎日欠かさず
英語の学習をするようになりました。
「いつかは必ず外国に行くんだ!」と、
心に固く誓いました。
私の当時の状況を考えると、
外国に行くというのは
夢のまた夢のように
感じられましたが、
その夢を信じ続けることが
私の原動力となったと思います。
自分にとって重要な目標を見つけ、
それに真摯に向き合うこと。
これが私の人生を救った、
3つ目のことです。
海外の楽しい空想(現実逃避)と英語学習は、
私にとって極めて重要な役割を
果たしました。
これらがあったからこそ、
私は厳しい人生の時期を
切り抜けることができたと思います。
何であっても、
自分が興味を持てることを
見つけてみること。
そして、
その大切なことに集中すること。
このようにすることで、
困難な人生から
自分を救い出すことができると、
私は信じています。
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私はニュージーランドへ移住し、
今では32年が経ちます。
確かに、現在の生活は
ごくありきたりのものです。
しかし、子供の頃、人生のどん底にいた
あの時から比べれば、
信じられないほど平穏に、
そして普通に生活を楽しんでいます。
過去を思い返すと、
あの頃が私の人生にあったことさえ
不思議に思えます。
あの時、私は底なしの深みに
沈んでいました。
しかし、それが
人生の終わりを意味するわけでは
ありませんでした。
そのことを、私は
自らの人生で
証明できたと感じています。
私の人生を支えてきたのは、
「時間」、「現実逃避の空想」、
そして「自分にとっての大切なもの」
でした。
これらのおかげで、
私は今日まで生き抜くことができ、
現在も幸せに暮らしています。
もし今、あなたが
厳しい状況にあるならば、
それが永遠に続くわけではないことを
覚えておいてください。
時間は確実に、
あなたの味方となってくれます。
時間を信じて、
自分にとって大切なことを見つけ、
そのことに心を注ぐことを
おすすめします。
そして、時には空想の世界に
身を任せるのも、
心の癒しとなることでしょう。
あなたの人生が好転し、
幸せな日々が訪れることを
心より願っています。