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承認欲求が引き起こす2大トラブルとその対処法

この記事では、
人間なら誰もが自然に持っている
「承認欲求」が引き起こす可能性のある、
2つの大きなトラブルについて、
その背景にある問題を探ってみます。

その上で、
承認欲求とうまく向き合い、
健全で幸せな気持ちで
生活するためのヒントを
考えていきます。

他人から「認められたい」という
強い気持ちに悩まされている方に
役立つ内容です。

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承認欲求は人間の自然な欲求――まずはその存在を認めよう

「承認欲求が強い人」を見ると、
どこか悪い印象を
抱いてしまうことがあります。

たとえば、
SNSで華やかな日常をアピールし、
必死に「いいね」やフォロワーを集めている姿に、
「あんなふうに認められたい気持ちを
むき出しにするなんて、
ちょっと下品だな」
と感じるかもしれません。

また、自分にも
他人から認められたい気持ちがある
と気づいたとき、
どこか後ろめたさを
覚えることもあるでしょう。

しかし、
承認欲求は人間にとってごく自然な、
そして誰にでもある基本的な欲求です。

決して否定したり、
恥ずかしいと思ったりする必要は
ありません。

人類の歴史を振り返れば、
石器時代の人々は
集団の中で生きることが
生存に直結していました。

仲間から認められ、
受け入れられることは、
命をつなぐために
欠かせなかったのです。

見捨てられることは、
死を意味していた時代もありました。

そうした背景から、
他者からの承認を求める気持ちは、
私たちの中に本能のように
根づいてきたのだと言えるでしょう。

現代では社会のしくみも
大きく変わりましたが、
その名残は
今も私たちの心に息づいています。

だからこそ、
「誰もが承認欲求を持っていて
当たり前」ということを、
まずはそのまま受け入れてみましょう。

承認欲求を表に出している人も、
それを感じている自分自身も、
人間らしい自然な姿なのです。

その事実を認めるだけでも、
自分や他人に対する嫌悪感は、
きっと和らいでいくでしょう。

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SNS時代だからこそ強まる劣等感

承認欲求そのものは、
人間としてごく自然な感情です。

しかし現代では、インターネットの普及、
そしてSNSの広がりによって、
その欲求が
過度に刺激されるようになりました。

その結果、心を疲弊させてしまう人も
少なくありません。

スマートフォンひとつあれば、
誰でもSNS上で手軽に発信ができ、
家族や友人はもちろん、
同じ関心を持つ世界中の人と
簡単につながれる時代になりました。

それはとても便利で、
楽しい体験でもあります。

けれど同時に、
「いいね」やフォロワーの数といった形で
「承認」が可視化されるようになったことで、
心の平穏を保つのが
難しくなっているのも事実です。

「あの人はあんなにたくさん
“いいね”をもらっているのに、
自分は全然…」というように、
目に見える数字を通して
他人と自分を比べてしまい、
劣等感に苦しむケースが増えてきました。

比較すればするほど、
自分の価値が低く思えてしまい、
妬みや自己否定の感情で
心がかき乱されてしまうのです。

フォロワーの多い人を見て
「どうせ自分なんて」と落ち込んだり、
自分の投稿に反応が少ないと
「やっぱり私はつまらない人間なのかも」
と感じたりすることもあるでしょう。

誰かに認めてもらいたいのに、
その数字が思うように伸びないとき、
自分の存在すら
否定されたように感じてしまう。

そんな苦しさに
心を追い詰められてしまう人がいることは、
まさに現代が抱える
深刻な社会問題の一つと言えるでしょう。

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SNSが引き起こす劣等感に悩んだとき、どうすればいい?

もし今、
SNSをきっかけにした
劣等感に悩んでいるなら、
これからお伝えする話が
きっと役に立つでしょう。

SNSは、
いかに魅力的な発信をするかを
競い合うような場になっており、
そこに投稿されているのは、
日常の一面を
切り取ったものにすぎません。

その多くは「映える」場面ばかり。
現実のすべてではなく、
美しく見える部分や
楽しいひとときだけが
選ばれているのです。

だからこそ、それを見た人は、
自分の生活とのギャップに
劣等感を抱きやすくなります。

華やかな写真やにぎやかな投稿が続くと、
「自分にはそんなに輝く瞬間なんてない」
と落ち込んでしまうかもしれません。

けれど、
そうした投稿をしている人の
人生全体が、実際に
そのようなものとは限らないのです。

投稿の裏側には、
私たちの目に触れない部分が
たくさんあります。

むしろ、人は心に空虚さや
引け目を感じているときほど、
必要以上に自分をよく見せようとする
傾向があります。

つまり、派手な発信の裏には、
孤独や空虚感が潜んでいることも
あるのです。

「盛った」投稿が増える背景には、
他人に認められたいという強い気持ちがあり、
それは裏を返せば、自分の価値に対する
不安のあらわれとも言えるでしょう。

だからこそ、
SNSに投稿された華やかな一面だけを見て
「この人は完璧な人生を送っている」
と思い込まないことが大切です。

もしSNSを見ていて、承認欲求が
強く刺激されて苦しさを感じているなら、
まずは少し距離をとってみましょう。

たとえば、一日のうち
数時間だけスマホを手放してみたり、
就寝前や起床直後の
SNSチェックを控えるだけでも、
心の落ち着き方が変わってくるでしょう。

朝起きてすぐにSNSを開いてしまうと、
他人の「映える」投稿と自分を比べて、
「自分は出遅れている」
「何も充実していない」
と感じてしまうことがあります。

そんな気分で一日を始めてしまえば、
心が重くなってしまいます。

SNSに触れる時間を減らすだけでも、
他人との比較自体が少なくなり、
不安や焦りも和らいでいくでしょう。

さらに、スマホを使う時間を
別の活動に置き換えるのも効果的です。

たとえば、エクササイズをしたり、
散歩に出かけたり、本や漫画を楽しんだり。

自分がリラックスできることに
時間を使うだけでも、
心がずいぶん軽くなるでしょう。

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不健全な承認欲求がもたらす深刻な問題

承認欲求にまつわる
もう一つの大きなトラブルが、
「不健全な承認欲求」です。

先ほどもお話ししたように、
承認欲求そのものは
人間にとって自然なものですが、
それが歪んだ形で強く表れると、
大きな苦しみを生むことになります。

特に注意したいのは、
他人からの承認が、
自分の存在価値と
直結してしまっている状態です。

たとえば、「誰かに褒められないと、
自分がここにいていいと思えない」
「評価されなければ、
自分には生きる意味がない」
と感じてしまうケースがそうです。

褒められれば「自分には価値がある」
と安心できますが、
ほんの少しでも評価が下がったり、
誰かに批判されたりすると、
一気に自分の価値が崩れてしまいます。

そして、ついには
「自分がここに
存在していていいのだろうか」と、
生存そのものに
疑問を抱いてしまうのです。

このような不健全な承認欲求は、
心を深く傷つけ、
やがて自分自身や周囲との関係にも
悪影響を及ぼします。

ときに心の病の
引き金となることもあるため、
しっかりと意識しておくことが大切です。

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不健全な承認欲求の裏にあるもの

不健全な承認欲求に苦しんでいる人は、
「このままの自分でいても大丈夫」
「無条件に生きていていい」という感覚を
持ちにくい傾向があります。

言い換えれば、
自己肯定感が低い状態にある
と言うことです。

本来、人は誰もが
「ありのままの自分で生きていい」
存在のはずなのに、
その感覚が持てないと、
自分の存在理由を他者からの評価で
埋めようとしてしまいます。

そして、
なんとかして認めてもらおうと、
承認を求め続けるようになるのです。

このような状態に陥ってしまう背景には、
幼少期の家庭環境や親との関係、
教育のあり方、
学校や社会での体験などが
大きく関係しているのでしょう。

たとえば、子どものころに
「そのままのあなたで大丈夫」という
無条件の肯定を感じる機会が
ほとんどなかった場合、
人は自分を肯定する感覚を
持ちづらくなります。

何か成果を出したときには
褒められるけれど、
そうでないと叱られる。

頑張っているときには
優しくされるけれど、
そうでないときには冷たくされる。

そんな「条件付きの愛」を受け取る経験が
積み重なるほど、
ありのままの自分を
価値ある存在だと
思えなくなってしまうのです。

さらに現代社会は、
受験や就職など、
常に競争の中に置かれがちです。

「結果を出したときだけ認められる」
という価値観に触れる機会も多く、
自然とその考えが自分の中に
根づいていくこともあるでしょう。

そうした環境の中で育ってきた人が、
「頑張って成果を出したときの自分には
価値があるけれど、
そうでない自分はダメだ」
と感じてしまうのは、
無理のないことかもしれません。

だからこそ、もし
「他者の評価がなければ
生きている実感が持てない」
「評価されないと不安でたまらない」
と感じることがあるなら、
一度自分の過去や心の状態を
振り返ってみる価値があります。

そこには、あなたの自己肯定感を
低くしてしまった要因やきっかけが、
隠れているかもしれません。

そして、「これは不当な思い込みだった」
と気づけたとき、
あなたはこの不健全な状態から
抜け出す第一歩を
踏み出すことができるでしょう。

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自己肯定感を高めるためにできること

では、
自己肯定感の低さから生まれる
不健全な承認欲求を克服するには、
具体的にどうすればよいのでしょうか?

大切なのは、
「他者からの評価ではなく、
自分で自分を認めてあげる」という姿勢を、
日々の中で少しずつ育てていくことです。

言葉にすると
簡単に聞こえるかもしれませんが、
実際にやってみると、思った以上に
難しいと感じることもあるでしょう。

まず取り組んでほしいのは、
自分の感情を
そのまま認めてあげることです。

悲しいときには「悲しいよね」、
悔しいときには「悔しいよね」、
腹が立つときには「腹が立つよね」と、
ネガティブな感情であっても否定せず、
ただ感じたままを
受け入れてあげるのです。

そうやって自分の内側にある気持ちに
寄り添っていくうちに、
どんな感情を抱いている自分にも
「それでいい」と思えるようになり、
少しずつ自己受容の感覚が
深まっていくでしょう。

同時に、
「そのままの自分でいいんだよ」と、
何度でも自分自身に
優しく語りかけてみてください。

たとえ言葉だけでも、
「今のままの自分で大丈夫」と、
自分を肯定するひと言をくり返すことが、
心の深い部分に少しずつ届いていくでしょう。

最初は違和感を覚えるかもしれませんが、
粘り強く続けていくうちに、
「そのままでもいいんだ」と感じられる瞬間が
少しずつ増えてくるはずです。

このプロセスには時間がかかりますし、
途中で気持ちが揺らぐことも
あるかもしれません。

それでもがっかりせず、
無理のないペースで、
自分を肯定する練習を
続けていきましょう。

そうすれば、自己肯定感は少しずつ、
でも確かに育っていきます。

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おわりに

この記事では、
人間であれば誰もが持っている
「承認欲求」が引き起こす2つのトラブル――
「SNSによる劣等感の増幅」と
「不健全な承認欲求」について、
その背景と具体的な対処法を
考えてきました。

まず大切なのは、
承認欲求そのものを
否定しないことです。

それは私たちにとって自然で、
ごく当たり前の感情です。

この基本を忘れずに、
やさしく受けとめてあげましょう。

SNSによって生まれる
劣等感の問題については、
他人の華やかな投稿に
心を振り回されないことが大切です。

そこに映っているのは、
その人のごく一面にすぎません。

むしろ、派手な投稿の裏には、
空虚さや不安が
隠れていることも多いのです。

そのことを理解した上で、
意識的にSNSから離れる時間をつくったり、
スマホを使う時間を
運動や趣味などの活動に
置き換えてみましょう。

そうすることで、
他人との比較に心をすり減らすことが減り、
穏やかな気持ちで
過ごせる時間が増えるでしょう。

一方、不健全な承認欲求には、
自己肯定感の低さが深く関係しています。

他人の評価に
左右されない自分になるためには、
まず自己肯定感を高める取り組みが
欠かせません。

その第一歩は、
自分の中にある感情を
そのまま認めること。

「どんな気持ちを抱いていても大丈夫」と、
自分にそっと寄り添うような姿勢が大切です。

そして、「そのままの自分でいいんだよ」
と優しく語りかける言葉を、
意図的に自分自身にささやいてあげましょう。

最初はぎこちなくても、
少しずつ心に染み込んでいくはずです。

この2つの承認欲求にまつわるトラブルから、
あなた自身を解き放ち、
心穏やかで楽しい日々を過ごせますように。
あなたの幸せを、心から願っています。