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柔軟な思考への転換:心の苦しみを和らげるために

今回は、
「思考を柔軟にすること」
をテーマにしてみます。

思考が凝り固まると、
物事を常に同じ視点で捉え、解釈し、
似通った感情が湧き出し、
心を苦しめることも
少なくありません。

もし、そのようなことがあれば、
思考を柔軟にすることが
心を軽くする手助けになるでしょう。

この記事では、思考を
柔軟にするためにできることを
考えてみたいと思います。

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思考を柔軟にするとは具体的にどんなことか?

まず最初に、思考を柔軟にするとは
具体的にどのようなことでしょうか?

結論から先に述べれば、
思考の選択肢を増やす
ということです。

何らかの出来事が起きたとき、
「これはAのせいだ」と
一つの捉え方しかできない状態は、
思考の選択肢が限られており、
思考が凝り固まっている
と考えられます。

一方で、
「これはAのせいかもしれない。
でも、Bのせいかもしれないし、
Cという可能性もある。
いや、Dかもしれない」と
いくつかの可能性を
考慮することができれば、
思考に幅が生まれ、
この状態は柔軟な思考と言えます。

場合によっては、
一つの解釈しか
できないこともありますが、
多くの場合、さまざまな可能性が
あるでしょう。

思考を柔軟にすることが役立つのは、
通常の捉え方が極端で、
現実とかけ離れているときです。

その場合、不適切な解釈により、
不必要に不快な感情を引き起こし、
無用に自分を苦しめることになるため、
思考を柔軟にすることを
視野に入れるのが望ましいのです。

そうすることで、
凝り固まった思考に
苦しめられることからも解放され、
心も少し軽くなるでしょう。

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今までの思考を書き換える必要はない

何か出来事が起きた際に
自分の頭の中でつぶやく言葉を
「自動思考」と呼びます。

自動思考は自動的に
自然と頭に浮かぶものです。

これまでしてきた
習慣的な自動思考に加えて、
新たな考え方や異なる視点を
選択肢として増やしていくことで、
思考を柔軟にすることができます。

ここで一つ大切なことを
お話ししましょう。

思考を柔軟にしようとする際に、
今までの習慣的な自動思考を
否定する必要はありません。

既存の思考に
新たな選択肢を加えるだけで
よいのです。

つまり、
これまでの自動思考を
悪いものと判断する必要はなく、
そのままにしておくということです。

その上で、自動思考とは異なる
新しい考え方の可能性を探り、
選択肢に加えていくことが重要です。

そのためには、
これまでの習慣的な自動思考に
価値判断を下さずに、
ただその存在に気づくだけで
よいのです。

そして、他の可能性を考えることが
次のステップとなります。

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他の可能性を探るときに有効なことは?

自動思考を
書き換える必要はありませんが、
他の可能性を探る際には、
今までの自動思考に
疑問を持つ姿勢が大切です。

つまり、その自動思考に反する
事実や証拠を意図的に探すことです。

たとえば、ある出来事に対して
「これはAのせいだ」と
自動的に考えた場合、

「本当にAが正しいのか?」
「なぜAが正しいと考えられるのか?」
「A以外の可能性はないのだろうか?
もしあるなら、
どのようなことが考えられるか?」
「この思考は事実に基づいているのか?」
「他にどのような説明が可能か?」と
自問自答するとよいでしょう。

このように反証や反論を試みることが、
新しい考え方の可能性を探るヒント
となります。

そして、その中から適応的な考え方が
見つかることも珍しくありません。

Aだけでなく、B、C、D
といった多様な選択肢を
視野に入れることができれば、
凝り固まった思考から
解放される一歩となります。

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友人の機嫌が悪いのは私のせい?

友人の機嫌が悪いとき、
自分が何か悪いことを
したのではないかと
心配する人がいます。

そして、「最後に何を話したかな?」
と振り返り、昨日の自分の言葉が原因だ
と勝手に思い込んでしまうのです。

すると、その妄想は徐々に膨れ上がり、
気分も暗くなってゆきます。

「謝らなければ」と考える一方で、
「今は友人が怖い顔をしているから
近寄りにくい」と感じ、
どうやって謝ろうかと
悩むことになるのです。

このように良くないことがあると、
自分との関連性を裏付ける根拠が乏しいのに、
自分のせいだと考えて
悩んでしまう人も少なくありません。

でも、本当にそのように考えるのが
正しいのでしょうか?

実際には、友人の機嫌が悪いのが
自分のせいであるとは限りません。

自分とは無関係の理由で
不機嫌になっていることも
あるでしょう。

もしかすると、友人は自分と会う前に
誰かと喧嘩をしたかもしれませんし、
通勤途中に不快な出来事が
あったのかもしれません。

また、体調が悪くていつも通りに
振る舞えないだけかもしれません。

相手の態度に変化があったとしても、
その多くは自分とは直接関係のないこと
が原因の場合も多々あります。

他の可能性を考える余裕があれば、
悪い妄想を勝手に膨らませ、
自分自身を苦しめることも減るでしょう。

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ありのままに見れる人はどこにもいない

私たち人間は、
目や耳から入ってくる情報を選り分け、
自らの解釈や先入観によって歪め、
自分の価値観に基づいて意味付けし、
自分だけの世界像を創り上げています。

人間である以上、誰もが
物事をありのままに観ることは
できないのです。

私たちは何らかの歪みを持って
世界を見ており、
その歪みの種類や程度は
人それぞれ違います。

特に強い歪みを持っている場合、
それが原因で
生きづらさを感じることも
少なくありません。

そのような場合、
生きづらさを解消するには、
まず自分が物事を
ありのままに見ていない
ということを認識することが大切です。

そして、どのような癖を持って
物事を観ているのかに
気づくことが必要です。

自分の自動思考の傾向を自覚できたら、
その思考以外に
どのような考え方があるかを探り、
他の考え方を思考の選択肢に
加えることが望ましいのです。

そうすることで、
今までの極端な考え方や
歪んだ見方から
徐々に解放されるでしょう。

凝り固まった思考に
自分を縛りつけることが少なくなり、
心も軽くなります。

柔軟な生き方を目指すためには、
この状態が求められるわけです。

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まとめ:凝り固まった思考から解放されるために

私たち人間は、物事を
ありのまま見ることはできません。

誰もが自らのフィルターを通じて、
自分だけの世界を創りあげています。

生きづらさを感じている場合、
自分が見ている世界が
極端に歪んでおり、現実から
かけ離れている可能性があります。

独自の解釈が極端に歪んでいたり、
現実離れしていたりすると、
不必要なストレスが生じて
自分を苦しめることになるでしょう。

ネガティブな感情に
しばしば襲われる場合は、
それを引き起こす自動思考を探り、
新しい考え方を模索することが有効です。

一つの極端な考え方に囚われず、
他の可能性も
思考の選択肢に加えることで、
自分を縛りつけることも減るでしょう。

思考の選択肢を増やすことは、
柔軟な思考を育て、
穏やかに生きるための鍵となるのです。

今までの自動思考に挑戦し、
新しい考え方を探ることで、
思考の選択肢を広げていきましょう。

このプロセスを
日常的に心がけることで、
凝り固まった思考癖から解放され、
物事を柔軟に観ることが
可能になるでしょう。

凝り固まった思考から解放され、
より豊かで穏やかな生活を
楽しみましょう!