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「黒か白」だけでなく、「グレー」も許容すると心が楽になる

今回取り上げるテーマは、
「黒か白か」といった
二極的な考え方に縛られず、
その間にある「グレー」も
受け入れることで、
より楽に生きられるようになる
という内容です。

つまり、
二極化した思考から脱却し、
その間に存在する多様性に
目を向けることで、
生活が快適になる
というわけです。

では、なぜそうなのか?
具体的な例を用いて、
詳しく説明していきましょう。

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なぜ二極化思考は避けるべきなのか?

まずは、二極化思考とは何か?
を簡単に説明します。

私たちが生きるこの世界には、
多くの対立する概念が存在します。

例えば、光と闇、成功と失敗、
善と悪、ポジティブとネガティブ、
陰と陽、金持ちと貧乏、増加と減少、
正常と異常、勝ち組と負け組、
白と黒などです。

物事を判断する際、
2つの対立する概念の
いずれかに当てはめる思考を
「二極化思考」と呼びます。

二極化思考は簡単で
分かりやすい一面はありますが、
多くの場合、適切ではありません。

二極化思考に陥ると、
偏った認識になりがちで、
物事の本質を
見逃してしまうでしょう。

また、
思考が硬直化してしまい、
柔軟性を失う危険もあります。

これが原因で、
心の安定や幸福感に
悪影響を及ぼすことも多いのです。

「白」と「黒」の間には、
多くの「グレー」が存在します。

白に近い淡いグレーもありますし、
黒に近い濃いグレーもあります。
また、中くらいのグレーも存在します。

色彩が連続的に変化する
グラデーションを見れば、
無限に近いバリエーションのグレーが
存在することに気づくでしょう。

さまざまな事柄に対して、
「白」か「黒」で判断するのではなく、
その間の「グレー」にも注目することで、
思考が柔軟になり、心も軽くなるのです。

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たった一点の差で分かれる合格と不合格

最もわかりやすい例として、
「受験」を取り上げましょう。

日本では多くの学生が、
志望校に合格するために
一生懸命勉強します。

この結果として出てくるのは
「合格」と「不合格」という
2つしかありません。

合格すれば成功者、
不合格ならば失敗者と
一般的には考えられがちです。

しかし、果たして
そのような評価は適切なのでしょうか?

国語、英語、数学、理科、社会
の5教科で試験が行われ、
1教科あたり100点が満点だとすれば、
5教科合計で最高点は500点になります。

仮に、合格ラインが400点
と設定されていた場合、
400点を獲得した学生は
当然合格となります。
一方で、399点だと不合格です。

でもこの場合、
400点と399点の学生とは、
実質的にはほぼ変わりがないでしょう。

それでも、その一点の違いが
人生の大きな岐路となってしまうのです。

399点で不合格になった学生は、
がっかりして自信を失い、
自分をダメな人間だ
と思うかもしれません。

しかし、
これは短絡的な評価であり、
実際にはそうではないでしょう。

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ニュージーランドは先進国? それとも後進国?

以前、日本からの訪問者を
案内していたとき、
こんな質問を受けました。

「ニュージーランドって、
先進国ですか、それとも後進国ですか?
どちらですか?」
と聞いてきたのです。

訪問者はウェリントン駅で
古めかしい列車を見て、
「何だか発展途上国みたいだ」
と感じたようでした。

確かに、鉄道の面では、
ニュージーランドは日本と比べて
少し遅れています。

その主な理由は、
車が主流の交通手段であり、
鉄道に対する大きな投資が
されていないからです。

しかし、他の側面では、
ニュージーランドは日本よりも
先進的である面もあります。

例えば、日本の図書館が
まだ紙のカタログを使用していたとき、
ニュージーランドの図書館は
すでにデジタル化され、
館内のコンピュータが
ネットワークで繋がっていました。

訪問者は私が「先進国か後進国か」と
即答できなかったことに、
少し不満そうな顔をしていました。

でも、私は
そのような二者択一の選択肢が
そもそも不適切であると感じました。

先進的な要素もあれば、
発展途上の側面もあるからです。

これが、より現実的な
評価であると思います。

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悪人なのか? それとも善人なのか?

また、人間を
「良い人」か「悪い人」かのどちらかで
判断することも、適切ではありません。

例えば、
仮に誰かが殺人を犯したとしても、
その人が絶えず悪事ばかりを
働いているわけではないでしょう。

時折、誰かが落としたものを
拾ってあげたり、
転んだ人を助けたりもするでしょう。

言い換えれば、
一つの悪い行為をしたとしても、
その人が常に悪人であるわけでは
ないのです。

見かけ上、
性格が悪そうな人でさえ、
その一面だけではないはずです。

その人にはきっと、
隠れた良い面もあるでしょう。

そう考えれば、
一つの行動や一面だけで
「この人は良い人」とか「この人は悪い人」
と判断するのは
短絡的と言えるでしょう。

人は多面的で、
善い面も悪い面も持つものです。

100%善人もいなければ、
100%悪人もいないのが
本当のところでしょう。

すべての人が良い行動も
悪い行動もするものであり、
その時々で、どちらが目立つかが
変わってきます。

そう考えれば、人の真の姿を
「善か悪か」の二元的な視点で判断するのは、
不適切だと言えるのです。

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二極思考の具体的な弊害

「白か黒か」、「良いか悪いか」、
「ポジティブかネガティブか」
といった極端な観点から
物事を判断すると、無理が生じ、
物事の本質を見逃してしまいます。

実際には多くの事象が
白でも黒でもなく、その間にある、
いわゆる「グレーゾーン」に
位置するからです。

二極化思考をしていれば、
399点で不合格になった人を
「失格者」とレッテリングしたり、
ニュージーランドを「後進国」
と判断したりするでしょう。

でも、実際のところは、
これとは大分違うはずです。

二極的な考え方では、柔軟性を失い、
精神的な健康をも損なうリスクも
高いです。

399点で不合格になった学生は、
その後、容易に
立ち直れないでしょう。

また、「受験に失敗したから
自分はダメな人間だ」と
不当な自己評価をする可能性もあります。

それが原因で、
精神的に病んでしまうことも
珍しくないのです。

二極化思考は人間関係にも
悪影響を及ぼします。

例えば、つい不適切な発言を
してしまった人がいた場合、
二極化思考の人は、それだけで
「この人は悪い人だ」と
決めつけるでしょう。

でも、もしかしたら、口下手で
うまく表現できなかった
だけなのかもしれません。

誰もが、不注意で
言ってはいけないことを
言ってしまう場合もあります。

二極化思考をすれば、
一回の失言でその人を評価して、
その人の良い面を知る機会も
逃してしまうでしょう。

それでは良い人間関係も
生まれません。

二極化思考では
新しい挑戦も難しくなります。

「やるならば成功しなくては」
という気持ちが強すぎて、
計画を過度に練り、
行動に移せなくなってしまうからです。

ある程度の計画や準備は
良いことですが、
それが完璧でなければ
行動できないと考えると、
何も始められません。

失敗自体も学びとなり、
成長に役立つのですが、
二極化思考では
そのような考え方ができないのです。

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グレーゾーンに意識を向けよう!

二極化思考で
精神的に苦しむのを避けるためにも、
物事を「白」か「黒」で
判断するのではなく、
その間にあるグレーゾーンに
目を向けることが大切です。

グレーゾーンに意識が向けば、
399点で不合格になったとしても、
自分を「失格者」だと思わなくなります。

ニュージーランドが
先進国であるか後進国であるか、
そういった二元的なカテゴライズも
しなくなるでしょう。

人は良い面も悪い面もあることを、
理解できるようになり、
些細なことで人間関係が
崩れるようなことも防げます。

対立する二つの選択肢に縛られず、
柔軟な心で
対応できるようになるでしょう。

もちろん、「白だけ」や「黒だけ」
という極端なケースも存在しますが、
多くの事柄は「白」でも「黒」でもなく、
その間に位置するのが
現実ではないでしょうか?

生きづらさを感じている人がいたら、
「自分は二極化思考をしていないか?」
と一度立ち止まって
自問してみるとよいでしょう。

もし、そうだと気づけたら、
白だけ、黒だけ
という考え方は捨てて、
グレーゾーンもOKとしましょう。

グレーゾーンを
受け入れられるようになれば、
心もずっと楽になるでしょう。

グレーゾーンで
より豊かで幸せな気持ちで
毎日を楽しく過ごしましょう!