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生きづらさの原因はこれだった!認知の歪みの緩め方

怒りや悲しみを感じることが多く、
人間関係がうまくいかずに
生きづらさを
覚えることはありませんか? 

こうした悩みの背景には、
「認知の歪み」が
影響している場合が
少なくありません。

この記事では、
認知の歪みとは何か?
その原因や背景をひもときながら、
どのように対処すれば
心が軽くなるのかを
わかりやすく解説します。

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極端な捉え方が自分を苦しめる!

まずは、
「認知」という言葉の意味を
明確にしましょう。

認知とは、平たく言えば
「物の見方」や「捉え方」のことです。

そして、「認知の歪み」とは、
現実に起きている出来事を
自分のフィルターを通して
極端に解釈してしまう状態を指します。

たとえば、向こうから
微笑みながら歩いてくる人を見て、
「あの人は私をバカにしている」
と思い込んでしまうケースです。

実際には、その人は
ただ機嫌がよかったのかもしれませんし、
何か面白いことを思い出して
笑っていただけかもしれません。

しかし、「自分は笑われている」
「バカにされている」
という思い込みが働くと、
心がざわつき、
一気にネガティブな感情に
襲われてしまいます。

このとき、実際に起きた事実は
「すれ違いざまに
微笑んでいる人と目が合った」だけです。

けれども、
認知が極端に歪んでいると、
「私を嘲笑った」と勝手に解釈し、
さらに妄想が膨らんで
「私はバカにされている」「攻撃されている」
といったストーリーを
作り上げてしまいます。

その結果、
自ら生み出した思い込みに
心が振り回され、
強いストレスや苦しみを
抱えることになるのです。

私たちは誰しも、多少なりとも
認知の歪みを持っており、
完全に歪みのない人はいません。

ただし、問題となるのは、
その歪みが極端な場合です。

そうなると、
実際には起きていないことに
強く感情を揺さぶられたり、
頻繁に悩んだりするようになります。

さらには、それが原因で
他者とのコミュニケーションに
トラブルが生じることも多くなり、
結果的に生きづらさを
感じることにつながるでしょう。

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極端な認知の歪みが生じる背景

認知の歪みが生じる背景には、
過去の経験が大きく影響しています。

親や養育者との関係、
学校や職場での人間関係など、
私たちは人生の過程で
少なからず傷つく経験をするものです。

そして、その傷が深かったり、
頻繁に繰り返されたりすると、
これ以上傷つかないようにするための
防衛反応として、極端な解釈を
するようになることがあります。

たとえば、人との関わりで
何度も傷ついた経験があると、
「人は怖いものだ」
「他人を信用してはいけない」といった
極端な信念を持つことも
珍しくありません。

結果的に、
相手が微笑んでいる姿を見たときでさえ、
「何か企んでいるのではないか」
と警戒してしまうのです。

これはある意味、
自分を守るための「心のテクニック」
とも言えるでしょう。

傷つきたくない一心で、
必死に自分を守ろうとしているのです。

しかし、この防衛反応が過剰に働くと、
本来は必要のない場面でも
警戒を解くことができず、
周囲の人々と良好な関係を
築きにくくなってしまうでしょう。

その結果、自分自身も
さらに生きづらさを感じる
悪循環に陥ってしまうのです。

本来であれば
特定の場面で役立つはずのメカニズムが、
いつの間にかあらゆる状況に広がり、
必要以上に苦しむ原因と
なってしまうでしょう。

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極端な認知の歪みが生きづらさを増大させる例

たとえば、大切な友人Aさんから
LINEの返事が
なかなか来なかったとしましょう。

このとき、
「やっぱり私は軽く見られているんだ」
と一気に悲観してしまうケースがあります。

しかし、実際には
Aさんが忙しかったり、
体調がすぐれなかったり、
あるいはスマホを紛失している可能性も
あるでしょう。

それなのに、
そうしたさまざまな理由を考えるよりも先に、
「自分は嫌われている」「あの人は冷たい」
と決めつけてしまうのです。

認知の歪みの典型例の一つに、
「ゼロヒャク思考」があります。

この思考に陥ると、
物事を極端に判断してしまい、
柔軟な考え方ができなくなります。

たとえば、上司から仕事について
指摘を受けたとしましょう。

「この部分を改善してください」
と言われたとき、
認知の歪みが少ない人であれば、
指摘された点だけを直せばよいと受け止め、
それ以上悩むことはありません。

しかし、認知の歪みが強い場合、
「自分はダメな人間だ」
と過剰に落ち込んだり、
「何をやっても無理だ」
と極端に思い込んだりしてしまうのです。

必要なのは
改善点を直すことだけなのに、
自分の人格そのものが
否定されたように感じてしまい、
必要以上に深く傷ついてしまいます。

認知の歪みの厄介な点は、
本人がその極端な思考に
気づきにくいことです。

一度思い込むと、
「そうに違いない」と
疑いもせず信じ込んでしまいます。

そうなると、視野が狭くなり、
他の可能性が
見えなくなってしまうでしょう。

実際には、
一歩立ち止まって冷静に考えれば、
「こういう事情もあるかもしれない」
「AさんにはAさんなりの理由があるかも」
と別の可能性を考えられるはずです。

しかし、認知の歪みが強いと、
自分の思い込みこそが真実だ
と誤解したまま、
心を閉ざしてしまうのです。

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自動思考のメカニズム:自然と湧き起こる思い込み

LINEの返事が来ないだけで
「私は嫌われた」
と感じるような思い込みは、
認知心理学では「自動思考」と呼ばれます。

これは、何か出来事があったときに
無意識に湧き起こる考えのことで、
とても素早く生じ、
強い感情を引き起こすものです。

自動思考自体は
誰にでもありますが、
認知の歪みが強い人ほど、
その思考がネガティブに偏りやすく、
自分の考えを疑わずに
受け入れてしまう傾向があります。

たとえば、
LINEの返事が来ない理由には、
さまざまな可能性が考えられるでしょう。

「Aさんは忙しい」
「体調がすぐれず返信どころではない」
「スマホを置き忘れている」など、
理由は無数にあります。

それにもかかわらず、
「Aさんは私を嫌っている」
「見下している」と決めつけ、
そこからネガティブな感情に支配され、
不適切な反応を
してしまうこともあるのです。

この自動思考に
気づかないままでいると、
心がかき乱され、
ネガティブな感情に
振り回されてしまうでしょう。

その結果、
自分自身が苦しくなるだけでなく、
周囲の人にも理解されにくく、
誤解を生む原因にも
なってしまうのです。

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心を軽くするための方法:自分の思い込みを疑う勇気

認知の歪みを改善する方法として、
カウンセリングや
認知行動療法が代表的です。

専門家のサポートを受けることで、
自分の思考パターンを客観的に整理し、
「これは本当なのか」
「他にどんな可能性があるか」といった問いを
投げかける訓練をしながら、
少しずつ歪みを修正していくことができます。

しかし、専門家の助けがなくても、
本人が「自分は物事を極端に捉える癖がある」
と気づくことで、
認知の歪みを
少しずつ修正することは可能です。

最初のステップとして、
ネガティブな感情に襲われたときに
一旦立ち止まり、深呼吸をして
「この思考は本当に正しいのか?」
と自問する習慣をつけるとよいでしょう。

たとえば、Aさんから返事が来なくて
心がざわついたとき、
「Aさんは
私を嫌っているから返事をくれない」
と思い込んでしまうことがあります。

そんなときこそ、
「本当にそうだろうか?」
と問いかけてみるのです。

少し冷静になれば、
「Aさんは忙しいのかもしれない」
「何か別の事情があって
返事どころではないのかもしれない」と、
別の可能性を考えられるでしょう。

それだけで、
過剰なネガティブな感情に
振り回されることも少なくなります。

注意を受けたときも同様です。
「自分は何もかもダメだ」
と感じてしまったとしても、
「実は作業手順だけが
問題だったのかもしれない」
「上司は仕事の進め方を
指摘しているだけかもしれない」
と考えられれば、
必要以上に落ち込むことを
防げるでしょう。

認知の歪みが強いと、
「相手は自分を嫌っているに違いない」
と思い込み、自ら拒絶的な態度を
取ってしまうこともあります。

その態度が相手にも伝わると、
関係がぎくしゃくし、結果的に
「やっぱり嫌われている」という状況を
生み出してしまうことになるのです。

この悪循環を断ち切るためには、まず
「自分は勘違いをしているのかもしれない」
と疑う姿勢を持つことが、
大きな一歩となるでしょう。

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自分を苦しめている本当の敵とは?

歪んだ認知を持ったまま
生活していると、
知らず知らずのうちに
「自分を苦しめる世界観」
を作り上げてしまいます。

相手が笑っていれば
「バカにしている」、
黙っていれば「無視されている」、
少し失敗しただけで
「自分は何をやってもダメだ」
と思い込んでしまう。

その結果、気分が落ち込み、
他者とのコミュニケーションも
うまくいかなくなり、
生きづらさが増してしまうでしょう。

この場合、
私たちを苦しめている最大の要因は、
外部の相手や環境そのものではなく、
「強く歪んだ認知」
という内面の思考回路です。

たしかに、人生には
つらく感じる瞬間があるものですが、
歪んだ認知を通して見ることで、
その苦しみが
必要以上に大きくなってしまうのです。

しかし、自分の思い込みに気づき、
別の可能性を考える余裕が
持てるようになると、
感じ方は大きく変わってきます。

たとえば、
微笑みながら歩いてきたあの人は、
ただ好意的な気持ちで
笑顔を向けてくれたのかもしれません。

LINEの返事が遅れている友人も、
自分とは関係のない事情で
対応が遅れているだけかもしれません。

そのような可能性に
目を向けられるようになれば、
「思っていたよりも、
周りの人は優しいのかも」
と感じる瞬間が増えていくでしょう。

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自動思考に疑問を持つ習慣をつけよう!

認知の歪みを緩める作業は、
一瞬で完結するものではありません。

一度気づいたとしても、
似たような状況に陥ると、
これまでの思考パターンが
再び顔を出すことがあります。

だからこそ、こまめに
「本当にそうだろうか?」と
自分の自動思考に
疑問を投げかける習慣をつけることが
大切なのです。

このプロセスを続けていくうちに、
「私はこういう状況になると、
いつも嫌われたと
決めつけるクセがあるんだな」
「注意を受けると、
自分は無価値だと思ってしまうんだな」と、
自分の思考のパターンが
見えてくるでしょう。

そして、自分のクセを
理解できるようになれば、
「また同じパターンに
とらわれているかもしれない。
でも、本当はそうじゃない可能性もある」と、
思い直しやすくなるでしょう。

思い直すことで
感情に振り回されずにいられれば、
そこから新しい行動を選ぶチャンスも
生まれるでしょう。

たとえば、
友人からの返信が遅れても
「何かあったのかな?」と心配してみたり、
上司に注意されたときに
「どの部分を直せば成果を伸ばせるかな?」
と前向きに考えてみたりすることもできます。

こうした新しい反応により、
人間関係や仕事のパフォーマンスが
改善していくでしょう。

認知の歪みを緩めることで、
自分自身の未来を
よりよい方向へ変えていくことも
十分に可能なのです。

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思い込みを緩めた先に広がる世界の可能性

認知の歪みを緩めていくと、
世界の見え方は驚くほど変わります。

これまで
「自分をバカにしている人」
にしか見えなかった相手が、
実はただフレンドリーに
微笑みかけてくれていただけだった
と気づいたとき、
人間関係も良好になるでしょう。

思い込みが外れることで、
他人の何気ない言葉に傷つくことも減り、
感情が安定しやすくなります。

怒りや恐れ、不安といった
ネガティブな感情を
抱くことが少なくなるため、
人との関わりも
以前ほど負担には感じなくなるでしょう。

認知の歪みが強かったころは、
どこにいても人目が気になり、
他人の些細な言動に
心を乱されて
疲れ果てていたかもしれません。

しかし、
自分の思考パターンに気づき、
それを緩められるようになると、
他者との距離感が変わり、
さまざまな場面で
「意外と大丈夫だ」と思える瞬間が
増えていくでしょう。

もちろん、認知の歪みが
完全になくなるわけではありません。

誰しも生きていく中で、
少なからず自分なりのフィルターを
持っているものです。

それでも、そのフィルターが
以前ほど極端でなくなり、
「自分にはこういう考えのクセがあるな」
「ほかの見方もできるかもしれない」
と気づけるだけでも、
日々の生活は
ぐっと過ごしやすくなるでしょう。

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まとめ:認知の歪みを緩めて、もっと自由になろう!

この記事では、
生きづらさの原因となる
極端な認知の歪みに焦点を当てて
お話ししました。

強い認知の歪みは、
防衛反応として
生じることも少なくありません。

過去の傷ついた経験をもとに、
これ以上傷つかないようにと
心を守るための思考パターンを作り上げ、
必要以上に
外の世界を警戒してしまうのです。

その結果、
余計なストレスや生きづらさを抱え、
周囲とうまく関われなくなり、
自分自身を苦しめることに
つながってしまいます。

だからこそ、一度立ち止まり、
自分の思い込みに
目を向けてみることが大切です。

「本当にそうだろうか?」
「別の考え方もあるのでは?」
と問い直すだけでも、
認知の歪みは
少しずつ緩んでいくでしょう。

思い込みを緩めていくことで、
今までよりも
ずっとラクに生きられるように
なるでしょう。

極端な先入観にとらわれていた世界が
少し開け、新しい人間関係や、
自分自身の可能性に
気づくチャンスにもなるでしょう。