Categories: メンタルヘルス

「なんとなく不安」をなくす暮らしの整え方

心を安定させ、
安心感のある
穏やかな毎日を過ごすためには、
生活リズムやルーティンを
整えることが大切です。

さらに、「何もしない時間」を
意識的に取り入れることも、
豊かな暮らしには欠かせません。

この記事では、ルネ・マグリットや
イチローの具体例を交えながら、
無理なく心にやすらぎをもたらすための
枠組みづくりについて考えていきます。

====

生活の枠組みを整えることの重要性

心を穏やかに保つうえで、
まず大切なのが
「生活の枠組みを整える」
という考え方です。

これは、
安定したリズムやルーティンを
意識的に作り出すことを意味します。

とくに、
心が不安定になりがちな人は、
つらく感じるような
ストイックな習慣は
避けたほうがよいでしょう。

それよりも、
心の安定や安らぎにつながるような、
自分に合ったルーティンを
見つけることが望ましいのです。

画家のルネ・マグリットは、
毎日ほぼ決まった時間に起床し、
犬の散歩に出かけ、
夜も22時には就寝していました。

おそらく、それが彼にとって
自然体で無理のない
生活リズムだったのでしょう。

野球の世界でも、
バッターボックスに立つ選手は
それぞれ特有のルーティンを
持っているようです。

イチローにいたっては、
球場入りから試合後までの
行動パターンだけでなく、
日常生活そのものが
ルーティン化されていました。

彼の場合、
それが心を落ち着かせ、
パフォーマンスの安定にも
つながっていたのでしょう。

心と身体は
常に相互に影響し合っています。

ストレスによって
胃潰瘍や過敏性腸症候群などの
身体症状が現れることもあれば、
体調の不調がきっかけで
気分がひどく落ち込むこともあります。

生活リズムを整えると
自律神経が整い、その結果、
心の状態にも
落ち着きが生まれます。

また、心の穏やかさと
生活の枠組みは
深く結びついています。

生活の枠組みが崩れ、
リズムが乱れてしまうと、
それに引きずられるように
心も揺らぎがちです。

反対に、
生活の枠組みをしっかり整えれば、
内面もゆるやかに整っていき、
心も安定しやすくなります。

もちろん、
どんなに生活の枠組みを整えても、
人間関係や仕事の悩みなど、
さまざまなストレス源が
なくなるわけではありません。

けれども、
心が動揺しやすいときほど、
整えられた生活の枠組みが、
クッションのような役割を
果たしてくれるのです。

====

規則正しい生活が心の安定をもたらした例

規則正しい生活リズムが
心の安定につながる例として、
脱サラ後にフリーランスになった
Aさんの話を紹介しましょう。

会社勤めを辞めて
ウェブデザイナーとして独立した彼は、
時間の制約から解放されたことを
大いに喜び、好きなだけ仕事をし、
眠たくなったら寝て、
自然に目が覚めたら起きる
という生活を始めました。

最初のうちは、
この自由な毎日を満喫していました。

しかし、しばらくすると、
不安感や虚しさ、
憂うつ感といった気持ちが、
理由もなく湧き上がってくるように
なったのです。

仕事は順調で、収入も
けっこう得られていたにもかかわらず、
心は落ち着かず、
不安定な状態が続きました。

そんなとき、Aさんは
心理カウンセラーの提案に従い、
「夜は23時までにベッドに入る」
「朝は7時までに起きる」
「起床後は必ず朝食をとる」
「昼食は12時台、夕食は19時台にとる」
といったルールを自分で決め、
試してみました。

すると、それまで感じていた
不安感や虚しさが嘘のように消え、
精神的に安定した日々を
送れるようになったのです。

おそらく、
枠組みのない不規則な生活が、
Aさんの心の不安定さを
招いていたのでしょう。

このように、
自分に合った生活の枠組みを整え、
リズムを意識して暮らすだけでも、
心はずいぶん落ち着くものです。

====

「ほどほど」が支える長期的な安定

作家の村上春樹さんは
執筆において、
どんなに調子がよくても、
400字詰め原稿用紙で
10枚分を書いたらやめる
という習慣を守っているそうです。

執筆意欲が高まっているときでも、
一気に書き進めることはせず、
一定のペースを保つことを
大切にされています。

「私は長距離ランナーだから」
と語る村上さんにとって、
オーバーワークを避けて
リズムを崩さないことが、
長年にわたって
質の高い作品を生み出し続ける
秘訣なのでしょう。

この「ほどほどを維持する」
というスタンスは、
何ごとも長く続けていくうえで、
とても効果的です。

勢いにまかせて一気に走りすぎると、
あとで息切れを
起こしやすくなるからです。

逆に、気分が乗らないときでも
決めた分量をこなすことで、
リズムの乱れを防いでいるようです。

これもひとつの
「生活の枠組み」と言えるでしょう。

村上さんが作家として
長く活躍し続けている背景には、
このしっかりとした枠組みの存在が
あるのだと思います。

====

マイクロフローを取り入れて自律神経を整えよう!

現代人は、とかく
スマホやパソコンに時間をとられ、
常に何かを処理している状態に
なりがちです。

働いている最中に優位になる
交感神経ばかりが活発になり、
リラックスを司る副交感神経が
うまく機能していない人も
少なくありません。

ベッドに入る直前まで
仕事の連絡を確認したり、
メールやSNSをチェックしたりする人も
いるでしょう。

その結果、一日を通して
休息のタイミングが少なく、
過度に高ぶった神経が
オフに切り替わらないままに
なっているのです。

心理学者チクセントミハイによる
フロー理論では、
日常のささいな瞬間にも
軽い没入体験があり、
これを「マイクロフロー」と呼びました。

たとえば、
散歩を楽しんでいるとき、
鼻歌を口ずさんでいるとき、
好きな本に没頭しているとき、
何となくぼーっとしているときなどが
それに当たります。

一見すると、こうした時間は
生産性が低いように
思われがちですが、
実際には心をリフレッシュさせ、
不安や心の不安定さを防ぐ
重要な役割を果たしているのです。

彼は、こうしたマイクロフローを
すべて奪う実験を行い、その結果、
被験者たちが極度のストレスを感じ、
集中力を欠くようになったことを
報告しています。

つまり、マイクロフローの時間を
ないがしろにすると、
心の安定が
保てなくなるということです。

逆に考えれば、
意識的にマイクロフローの時間を
生活リズムに組み込むことは、
心の安定を保つうえで
重要なポイントだと言えるでしょう。

====

生活のルーティン化のすすめ

多忙な現代人にとって、
生活をルーティン化するのは
決して簡単なことではありません。

とくに、医療関係者や
消防士さんのように
夜勤を含む不規則なシフトで
働く人にとっては、
起床や就寝の時間を
毎日きっちり決めるのは
現実的ではないでしょう。

また、赤ちゃんのいる家庭では、
夜中に何度も授乳が必要になり、
起きる時間を
そろえるどころではありません。

それでも、自分に合った形で
生活のペースを整えることは可能です。

たとえば、
「晩ご飯を食べたあとは
仕事の連絡を見ない」
「就寝の一時間前からは
スマホを操作しない」など、
無理のない範囲で
ルールを決めてみるのもよい方法です。

また、一日のうち
短時間でもいいので、
何もしない時間を
意識して設けることもお勧めです。

ほんの数分でも、
公園で何も考えずにぼーっとする時間を
確保するだけで、
心的エネルギーが回復し、
心身の健康に役立ちます。

さらに、
運動を取り入れるのもよいでしょう。

身体を動かすことで
血行がよくなり、
気分転換にもなります。

散歩やストレッチ、
ヨガやジョギング、
あるいはテニスのようなスポーツまで、
選択肢はいろいろありますが、
自分の体力や好みに合った方法を
見つけてみてください。

最後に強調しておきたいのは、
リズムやルーティンは
人それぞれ違うという点です。

イチローやルネ・マグリットの
生活スタイルをそのまま真似しても、
自分に合うとは限りません。

村上春樹さんの
「一日に原稿用紙10枚」というルールが、
すべてのクリエイターにとって
有効とも言えないのです。

大切なのは、
極端に頑張りすぎることなく、
自分にとってちょうどよいペースを
見つけること。

そして、そのペースを
長く続けられるように、
少しずつ調整していくことがポイントです。

生活リズムを保つための
ちょっとしたルールを作っては試し、
心身の様子を見ながら
少しずつ修正していけば、
自然と自分に合った枠組みが
育まれていくでしょう。

それが、
無理のない「生活の枠組み」となり、
やがて内面の安定をもたらし、
心穏やかな生活に
つながっていくでしょう。

====

おわりに

この記事では、心を安定させ、
心穏やかな生活をするために、
生活リズムやルーティンを
整えることの大切さについて
お伝えしました。

私たち現代人は
日々の忙しさに追われ、
交感神経ばかりが高まり、
副交感神経の働きが
鈍くなりがちです。

その結果、過緊張状態が続いて
心身の健康を崩してしまうことも、
珍しくありません。

そんな状況でも、少しの工夫で
生活の枠組みを
整えることができれば、
心身の健康の改善につながり、
心の安定にも役立つでしょう。

たとえば、起床や就寝の時間を
できる範囲で整えること、
食事をとるタイミングを意識すること、
オフの時間を
意図的につくり出すことなど、
生活の枠組みを整える方法は
色々あります。

一見すると大したことがないように
思えるかもしれませんが、
そうした小さな積み重ねが、
心の落ち着きや健康の向上、
そして幸福感につながっていくのです。

大切なのは、過密でストイックな
スケジュールを組むことではなく、
自分にとって無理のない、
ゆったりとしたルーティンを
作ることです。

さらに、一日の中に
マイクロフローの時間を
少しでも取り入れることで、
心も体もリフレッシュされ、
自然とエネルギーが
充電されていくでしょう。

無理なく続けられるリズムを整え、
自分なりの安らぎの時間を
確保しながら、
心の健康を保っていきましょう。