メンタル疾患で、
自分はすごくシンドイのに、
周りにいる家族は
自分の病気を全く理解してくれない。
「なにサボってるんだ!」とか、
「家でゴロゴロしていていいね。
羨ましいわ」などと非難の言葉を浴びれば、
余計、傷つき苦しくなる。
こんな状況の時、どうすれば、
自分は少しでもラクになれるだろうか?
これが今回のテーマだ。
精神科医・樺沢紫苑先生の
ユーチューブトークを参考にしている。
鬱病を初めとした
メンタル疾患全般に言えることは、
病気をタブーとして考える人も
未だにいることだ。
昔は、メンタル疾患は恥ずべきことで、
病気になれば、後ろ指をさされる存在だった。
病気に関する正しい知識も
世の中に広まっておらず、
メンタルを病んでしまえば、
非常に恥ずべく悪いことで、
その事実を隠して生きる人も多かった。
今では、テレビやその他のメディア、ネット上でも
メンタル疾患の情報が出回っている。
そのお陰もあり、社会的にも少しづつ
病気の存在が認識されて、
受け入れられるようになりつつある。
それでも、未だに偏見が残っている
ということは否定できない。
多くの人は、できれば
自分や自分の家族が
メンタル疾患とは無縁の生活をしたい
と望んでいる。
「メンタル疾患はタブーである」という考えが、
頭にこびりついている人もいて、
自分の家族がメンタル疾患に罹れば、
拒否したくなる気持ちも強い。
自分が病気で苦しいのに、
家族が全然理解しない場合には、
その本人はかなりツライ。
こんな時、樺沢先生の勧めることは、
主治医と三者面談することだ。
診察時に家族にも付き添って貰い、
医師から今の状態を説明して貰うこと。
医者からきちんとした情報を受け取れば、
病気に対する正しい知識も
徐々に身につくようになるからだ。
家族によっては、診察時の付き添いを
拒否する場合もあるだろう。
酷いケースでは「精神科などへは行くな!」
とののしる家族もいる。
そういう時に、役立つことは、
「なぜ、家族がメンタル疾患に対して、
理解できないのか?」その背景にある
心理的な理由を知ることができれば、
自分の心も大分ラクになる。
心理的理由と言うのは、
「子供がメンタル疾患になったのは、
自分の育て方が悪かったからではないか?」
と親が自分に責任を追及してしまうこと。
「子育て中に、自分がこうしたから、
ああしたから、こうしなかったから、
ああしなかったから、
この子は病んでしまった。
これは親としての、私の責任だ。
でも、そんな責任を負わされるのは、
絶対に嫌だ」という深層心理が隠れている。
樺沢先生によれば、
こういう状況に陥れば、
人間は自分を責めるか、他人を責めるか
のどちらかになるそうだ。
つまり、自責か他責ということ。
最初は他責で始まって、
時間の経過とともに
自責に変わるケースが多いとのこと。
最初の他責では、
自分の近くに居る
メンタルを病んだ子供の方向に
怒りの矛先が向いてしまう。
メンタルを病んだ子供の立場では、
病気でシンドイのに、
親は全く理解してくれない
と悲しい気持ちになる。
嫌な事実を突きつけられた時、
現実を受け入れがたい心理を「否認」という。
子供がメンタル疾患になれば、
親の中では否認が起こり、
その結果、他責の念が出て、
子供を責めてしまうのだ。
これが、子供の病気を受け入れられず、
非難の言葉を発する原因だ
と考えてよい。
しかし、多くのケースは、
そのうち、他責から自責に変わる。
「子供がこうなったのは、
自分がしたことが悪かった」と
と親は自分を責めることになる。
鬱病の場合には、
複数の原因が複雑に絡み合って、
病気が発症することが多く、
親の育て方だけが原因
ということはあまりないらしい。
たくさんある原因の一つが
子育ての仕方であっても、
たったそれだけで
病気になるケースは稀だ。
鬱病に限らず、
メンタル疾患全般において、
もし、自分が病気で辛くても、
家族が理解してくれず、
悲しい思いをするのなら、
この「否認」の心理を理解するとよい。
親が自分の病気を否定して、
非難の言葉を発する時、
親の心理はどのようなものか?
この心のメカニズムを知るだけでも、
気持ちがラクになるだろう。
とはいえ、自分が一番苦しい時、
一番親密な関係にある家族から、
きちんと理解されないことは、
とても残念で悲しいことだ。
樺沢先生によれば、
「否認」を乗り越えるためには、
「情報」と「時間」が必要だとのこと。
情報に関しては、
できれば、診察時に一緒に行って貰い、
医師から直接、病気の知識を得るのがよい。
しかし、それが困難ならば、
病気に関するネット情報やテレビ番組など、
理解しない家族が、その情報に触れられるように、
意図的に仕掛けてみるのもありだ。
例えば、病気に関するサイトのリンクを
それとなくあげたり、
テレビ番組で良いものがあれば、
放送時にはそのチャンネルに変えたり、
と工夫することはできる。
「否認」の心の動きが一旦始まれば、
そう簡単には病気を受け入れられない。
しかし、これも時間の問題だ。
辛抱強く待つことで、
時間が解決してくれる部分も大きい。
あまり焦ることなく、
気長に構えて待ったほうがよい。
ということで、今回の話をまとめれば、
自分のメンタル疾患を
家族に全く理解されずに
ツライ思いをしているなら、
やることは次の通り。
1)診察時に家族を同伴させること。
2)「否認」の心理を理解して、
今は他責の状態であることを知ること。
3)「否認」は情報と時間で
乗り越えられるので、
理解しない家族に情報を与えたり、
気長に構えて、時間が解決してくれるのを
待つことだ。
樺沢先生、役立つトークを
有難うございました。
参考動画:「家族に暴言を吐かれます(治療中です)」
(ユーチューブ 精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル)