成功しているときこそ、あなたは試されている!

身の回りのことすべてが
順調で上手く回っている。

今までの努力が実って、
成功することができた!

身分や社会的地位が高くなり、
権力や影響力を持っている。

「こんなときこそ、
あなたは試されている」
というのが今回の話の内容です。

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なぜそうなのかというと、
人間はこのようなときに
傲慢になり、おごり高ぶり、
自分に酔って人を見下し、
馬鹿にして、失礼な態度を
とることも珍しくないからです。

上手くいっているときに
喜ぶことはよいですが、
謙虚さを忘れたり、
自分の傲慢さが原因で
周囲の人たちを
不快にさせるような行為は
望ましくありません。

上の人にも、下の人にも、
誰に対しても分け隔てなく
礼儀正しく振舞えるかどうか?
これが試されているのです。

この試験に合格すれば、
あなたは一生安泰です。

しかし、不合格になってしまえば、
今の繁栄は保証されず、
思いもよらない未来に
苦しむことにもなりかねません。

それは、「諸行無常」という
この世の常があるからです。

「諸行無常」とは、
この世のすべての物、事、人間は
常に変化しているという意味です。

今の状態が長く続いても、
それが永久に続くことは
あり得ません。

ヒエラルキーの厳しい社会で、
一時は上の立場にいても、
いつかは立場が逆転して、
以前は自分よりも下にいた人が
上に昇っていくことも
多々あります。

上の立場にいたときに
自分の偉さを誇示して
下の人を粗末に扱うと、
立場が逆転したときに
自分も同じように
粗末に扱われてしまうでしょう。

逆に、謙虚な姿勢で
親切に下の人に接していれば、
下の人が自分よりも上になったとき、
その人からも同様に大切にされ、
親切に接してもらえるはずです。

この試験で
どんな得点を取るのかで、
自分の未来も変わってくる
ということです。

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上下関係が厳しい日本の組織では、
上司や先輩に対して
ご機嫌を取り、胡麻をすって
自分が気に入られるように
振舞う人も少なくありません。

上の人に対しては
無礼のないように振舞い、
時には心にもないお世辞を言います。

一方で、後輩に対しては
失礼極まりない態度を取ります。

偉そうに命令調で怒鳴りつけたり、
上から目線で見下すような態度で
接することもあります。

自分がきちんとできていないのに、
「きちんとやれ!」と下の立場の人に
不当な要求をすることもあるのです。

同じ人間なのに、
先輩や立場の上の人に接するときと、
後輩や立場の下の人に対する態度が
180度回転する人もいます。

あまりのギャップに、
大きな笑いが出るほどです。

家庭でも
似たようなことが起きます。

未だ一人で生きてゆけない
小さな子供に対して、
親が暴力を振るったり、
虐めたりすることがあります。

自分の欲求不満を晴らすために、
立場の弱い子供を
自分のフラストレーションのはけ口に
使ってしまうのです。

小さな子供は肉体的にも、
能力的にも、経済的にも
力がありません。

大人が助けてくれなければ、
一人では生活できない存在です。

これを悪用して、力のある大人が
子供を不当に扱い、
虐待することもあるのです。

経済力のある旦那さんが
専業主婦で稼ぎのない奥さんに
傲慢な態度を見せて、
酷い扱いをすることもあります。

「オレは働いて稼ぎがあるから、
偉いんだ!お前もオレのお陰で
生活できているんだ!
もっとオレに感謝しろ!」
と威張った様子です。

自分のお陰で家族が生きていけると
家族に対して恩着せがましく振舞う
一家の主も少なくありません。

会社でも家庭でも、
自分が力を持っているときには、
弱い立場の人を軽んじたり、
彼らに対して酷い行為を行ったり、
失礼な態度を示すことは
しばしば見られます。

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こういう傲慢な人は、
短期的視点しか持たず、
大切なことを理解していません。

その大切なこととは、
「今の状態はずっと続かない」
という事実です。

短期的な視点しかない人は、
今がこうなら、これから先も
ずっとその状態が続くと信じています。

しかし、実際は
人間を含むこの世のすべてが
常に変化しているのが真実です。

自分も、周囲の人たちも、家族の人たちも、
自分を取り巻く状況や環境も、
すべてが変化し続けています。

学生時代にクラブ活動の後輩に
理不尽な扱いをして
後輩を虐めた先輩も、
ずっとその立場でい続けられる
わけではありません。

時が経ち、社会に出た時、
自分が虐めた後輩が
自分よりも社会的に高い地位に上がり、
もっと出世することは
いくらでもあります。

肉体的にも元気で、
経済的にも力がある30~40代の頃、
未だ未熟で力もない子供に
傲慢な態度で接して、
酷い扱いをした人も、
ずっとその状態で
いられるわけではありません。

いずれは自分も年を取ります。
体が不自由になり、
思うように働けなくなるでしょう。

年老いて、働けなくなり、
病気がちになったとき、
人生の最盛期を生きる子供は、
親よりも健康面でも、
経済面でも、社会的立場も
有利な状況になります。

つまり、長期的視点では
多くのことが
逆転するということです。

立場が逆転したとき、
昔自分を虐めた相手に対して、
人はどのように接したくなるでしょうか?
ここがポイントです。

自分を虐めた先輩に対して、
親切に接してあげようと
思うでしょうか?

子供の頃に親から暴力を振るわれたり、
虐待を受けた人は、
親が年老いたとき、親孝行をしてあげたい
と思うでしょうか?

その答えは明らかです。

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どんな状況に陥っても、
自分が望む扱われかたがあるならば、
成功していて、すべてが順調なときにも、
傲慢にならずに
自分が求めるような扱いを
相手にも与えることが重要です。

良い扱いを受けたら、
お返しをしたくなるものですし、
不当な扱いを受ければ
仕返しを考えてしまうものです。

これが人間の本性です。

「今」という瞬間だけを見ていると、
現在の状態が
永遠に続くような錯覚に
陥ってしまいます。

しかし、それは幻想であり、
世の中は「諸行無常」の性質を
持っています。

自分が順調に成功しているとき、
社会的地位や権力があるとき、
人は試されていると言えます。

気をつけなければ、
そのときに傲慢になりがちですが、
むしろ、謙虚で公平に、
丁寧に、親切に、礼儀正しく
接することが大切です。

そうすれば、自分が求めるような
扱いを他人から受けることが
できるでしょう。

たとえ今、大成功をしていても、
「今自分は試されている」
ということを忘れずに、
将来自分が求めるように、
下の立場の人にも
親切に接してあげましょう!