今回は、
有名になれば、
幸せになれるのか?
について。
最初に結論を言えば、
その答えはノーだ。
なぜそうなのか?
詳しくお話したい。
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無名の人は、
人から評価されずに、
無視されることが多い。
それを苦にして、
心を病むことさえある。
有名になり、
他人から高く評価され、
認められるようになれば、
どんなに幸せだろう! と思う。
しかし、
これは大きな間違いだ。
なぜなら、
有名になったらなったで、
有名になれた人しか分からない
苦しみがあるからだ。
有名人は意外にも苦労が多く、
心理的なダメージを受けやすく、
精神的に病んだり、
酷い場合は、
自殺に追い込まれるケースも
見られる。
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有名人の苦悩とは、
いったいどんなものか?
まず最初に
プレッシャーが大きすぎて
心の重荷になること。
ノーベル文学賞を取った
川端康成は自殺した。
日本で初めての受賞であり、
作家、小説家にとっては、
これほどの名誉はない。
それなのに、彼は受賞後、
このように述べている。
「この受賞は大変名誉なことだが、
作家にとって、
名誉はかえって重荷になる!
邪魔にさえなり、
委縮してしまうのでは? と心配だ」。
その後、彼は書けなくなり、
創作活動もピタリと
止まってしまったのだ。
おそらく、この受賞により、
「もっと立派なものを
書かねばならない。
読者をがっかりさせてはならない」
と多大なプレッシャーが
彼を襲ったのだろう。
自殺の原因は、明らかではないが、
彼にとって、
受賞は喜びというよりも、
大きな心の負担となり、
創作上の悩みになった
と考えられる。
人は誰でも程度の差はあれ、
承認欲求や名誉欲を持つ。
他人から高く評価されたい
と望むのは、
人間の自然な心の状態だ。
そして、一旦
自分が高い評価を得て、
社会的に認められれば、
それを失いたくない! と切実に願う。
他人にがっかりされないよう、
人の期待に沿えるよう
頑張らなければいけない
という気持ちが強くなる。
すると、
それが心の重荷となり、
そのプレッシャーで
自分が押しつぶされてしまうことも
あり得るのだ。
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有名になれば、
不自由になることも
しばしばある。
多くの人たちに認められて
有名人になれば、
皆がその人を注目する。
有名人は
日本全国の大勢から、
常に見られて、監視されている。
有名になることは、
その人の自由を
奪うことでもある。
普通の人が
日常的にすることでも、
有名人はできないことが多い。
多くの人々に
常に見られている状態で、
プライバシーもなくなるからだ。
例えば、
ちょっとコンビニに行ったり、
外で食事をするのでも、
いつも誰かに見られている。
「~さんがマクドナルドで
バーガーをかじっていたぞ!」
なんてSNSに書き込みされれば、
気軽に外へも出れなくなる。
有名人はチヤホヤされるから、
いいご身分だ! と
思う人もいるだろう。
でも実は、このことは
喜び以上に
有名人を苦しめる原因に
なっているのだ。
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認められて有名になれば、
良い行いをしなければいけないから、
身体も心も常に緊張状態だ。
少しでも良くない行動を
目撃されてしまえば、
すぐにスキャンダルになり、
マスコミの格好のネタとなる。
無名なサラリーマンが
同じことをしても、
何とも思われないことが
ほとんど。
しかし有名人であれば、
直ぐに新聞、雑誌、テレビ番組で
取り上げられて、
騒がれて、叩かれることになる。
でも、よく考えれば、
有名人も一人の人間に
すぎない。
人間である以上、
誰でも小さな過ちを犯すことは
普通にある。
有名人でなければ、
小さな間違いは許されるが、
名が知れ渡っている人は、
そうもいかないのが現実だ。
ちょっとした出来事で
名声が一転して汚名に変ることも
珍しくない。
オセロゲームで
今までほどんど白だったものが、
あっという間に
すべて黒に変るようなものだ。
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「有名になれば、
幸せになれるだろう」
と思う人も多いが、
実際はそうでもなさそうだ。
有名になればなるほど、
プライバシーもなくなり、
自由も失われ、
心の負担も大きくなる。
一般人が想像する以上に、
有名人は苦労が多いのだ。
とは言え、
誰にも知られることなく、
認めて貰えず、
評価されない人間も
苦しい事実がある。
名声がない人は
名声がないことを苦に感じて、
心を病むが、
名声はあったらあったで、
それも苦しみの種になることが
しばしばだ。
結局は、有名であろうと、
無名であろうと、
苦しむ点では同じだと言える。
そう考えれば、
他人からの評価で得られる
「幸せ」は、非常にもろい。
他人から褒められれば、
幸せになり、
けなされれば、不幸になる。
外からの評価で
自分の幸せ度が
浮き沈みするということだ。
自分の幸せを
自分以外の外部に依存すれば、
結局は幸せにはなれないのだ。
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では、どうしたら
本当の意味での幸せを
手に入れられるだろうか?
その答えは、
名声とか、他人の評価とは
無関係の絶対的な心の幸せを
獲得することだ。
絶対的な幸せは、
自分の外にあるのではなく、
自分の心の内だけに存在する。
どんな人が来て、
邪魔しようが、貶そうが、
ゆるぐことがないものだ。
それは自分自身の心の内に
確立されるもの。
他人の評価や承認には
左右されないものだ。
自分で自分を認めて、
自分自身を評価すること。
これが非常に大切で、
このことだけが確実に
自分を幸せにしてくれる。
ただ、現実的には
多くの人にとって、
他者からの評価は重要だ。
それでも、
本当の意味での幸せは、
外の世界にあるのではなく、
自分の心の内だけに
存在し得ることを
知っておくことは、
とても大切だ。