大勢の前でスピーチしたり、
会社で重要なプレゼンをしたり、
スポーツ競技の大会に出場したり、
大事な資格試験を受けたり、
社会生活の様々な場面において、
本番に強く、重要な時に実力発揮できる人と、
そうでない人とがいる。
この違いはいったいどこから来るのか?
精神科医・樺沢紫苑先生のトークを参考に、
「どうすれば本番に強くなり、
大切なイベントで
マックスに実力発揮できるか?」
について、お話したい。
樺沢先生は興味深い話をされている。
それは、昭和時代の人たちは、
本番に弱い人が多いのに対して、
Z世代の若者たちは、
重要な場面で強い傾向にあること。
例を挙げれば、プロ野球の大谷翔平選手、
将棋の藤井聡太棋士、
スケートボーダーの西矢椛選手などだ。
彼らは本番で自らの能力を最大限に発揮して、
大きな成果を出し、大活躍している。
樺沢先生によれば、
世代間の「本番での強さ」の違いは、
トレーニングする時の
姿勢の違にあるとのこと。
具体的には、どのようなモチベーションを持ち
練習に励んできたかという点が重要だ。
人間のモチベーションは2タイプある。
その2タイプは、イソップ寓話の
「北風と太陽」の物語で上手く説明できる。
一つ目のタイプは「太陽モチベーション」。
このタイプは、脳内物質のドーパミンを利用したもの。
本人にやる気が出るように、褒めて動かすこと。
よくできた時には、「よくできたね」と褒め称え、
「もっと頑張ってやりたい」という気持ちにさせる。
その結果、自然とどんどん練習してゆき、
楽しみながら上達できる。
もう一つのタイプは「北風モチベーション」。
このタイプは、人を脅して、
恐怖でやらせようとすること。
厳しく𠮟りつけたり、「こうしないとダメだ!」と
無理強いして、押し付けてやらせようとする。
時には「~できなければ、罰として~を与える」とか、
「やらなければ、怖い事になりますよ」
と脅して、人に恐怖感を与えてやらせようとする。
時代背景的には、
戦後の厳しい時代を生きた
昭和生まれの人たちは、
体育会系スパルタ教育を受け、
厳しく訓練させられてきたケースが多い。
「ウサギ飛びを100回やれ!
何へこたれているんだ! しっかりしろ!
これから校庭50周走れ!」
とビシビシしごかれて、
ツライ訓練を受け、やっとできるようになった。
それに対して、Z世代の若者たちは、
物質的にも恵まれた時代に生まれ、
楽しく学ぶことを許可されて、
自分らしくのびのびと生きてこれた人たちだ。
スポーツや他の分野のことをする際にも、
楽しみながら取り組む姿勢が身についている。
この違いが「本番で強い人になれるか否か」
を決めているようだ。
なぜ、スパルタ的教育が
本番に弱い人間を作ってしまうのかは、
「上手くできなければならない」
という強迫観念を植え付けて、
その結果、強い緊張状態を引き起こすからだ。
「失敗したらどうしよう」と失敗を強く恐れ、
そのせいで、実力が発揮できなくなる。
「上手く行かなかったら..」、「失敗したら…」
と不安に駆られてやる時には、
本当にその通りに上手く行かなくなるものだ。
緊張した状態のすべてが悪い
というわけでもない。
緊張の度合いが増せば、緊張が不安に変わり、
更に不安が強まれば、恐怖に変わってしまう。
緊張・不安・恐怖は脳科学的には似たような現象だ。
どれも「ノルアドレナリン」が分泌される。
緊張度合いがどのくらいかで、
単なる緊張なのか、不安なのか、恐怖なのかの違いになる。
脳も身体も一番良いパフォーマンスが出るのは、
緊張度合い「7」そして、リラックス度合い「3」
くらいの時らしい。
つまり、適度な緊張は実力発揮の方向へ導くが、
過度な緊張は恐怖を引き起こし、
持っている能力を活かせなくなってしまう。
体育会系でスパルタ教育を受けた人たちは、
緊張が必要以上に強くなりすぎる傾向にあるようだ。
「~しなければ、大変なことになる」
と焦って、恐怖感を抱いて物事に臨んでも、
ろくなパフォーマンスを出せず、
せっかく能力がありながら、残念な結果に終わる。
こういう風になってしまうのは、
日々練習する時から、
北風モチベーションの姿勢で頑張るからだろう。
そう考えれば、本番に強くなるために、
Z世代の人たちから学べばよいのだ。
恐怖によるモチベーションではなく
楽しみによるモチベーション変える必要がある
ということだ。
日頃から「面白い」「やりたい」
「わくわくする」と楽しみを原動力として、
色々なことをやっていれば、
ここぞという時にも、
不必要なほど極度に緊張することはなく、
適度な緊張感を持って、物事に臨める。
そのお陰で「本番に強い人」になれる。
確かに太陽モチベーションのほうが
日々の練習も楽しくなるだろう。
恐怖の要素がないだけに、
どんどん積極的に「練習したいな」
と思うようになり、
エンジョーイしながら上達できる。
私たちは年齢を重ねると
頑固になる傾向が強い。
「今までこういう風にやってきたのだから」
と昔からのやり方を変える姿勢を持たない。
しかし、実際に若者たちのほうが
楽しみながら、効率よく、
本番にも実力を発揮して、
より素晴らしい結果を出す事実もある。
それを認めて、自分たちも若者を見習って、
太陽モチベーションを持つようにして
自分の能力を開花させたほうが賢明だろう。
樺沢先生、役立つトークを
有難うございました。
参考動画:「本番に強い人」の特徴とは?
(ユーチューブ 精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル)