今回は、職場での人間関係に
苦しんでいる皆さんに向けて、
お話ししたいと思います。
職場での人間関係で悩む方々が
陥りがちな誤解について解説し、
その悩みをどのように克服できるか?
についても考えてみます。
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職場の人間関係に
悩む人は少なくありません。
上司や先輩、後輩、同僚について
悩みの内容やトラブルは
人それぞれですが、
これらの人々に共通する点があります。
それは、人間関係に関する誤解です。
具体的には、どのような
誤解をしているのでしょうか?
この疑問に答える前に、
人間関係の空間について
考えてみましょう。
人間は誰しも、
他人に侵されたくない
心の領域を持っています。
この領域の外には、
三つの人間関係の空間が
広がっています。
最も近い距離にあるのが
「愛情空間」です。
ここには、親や兄弟姉妹、
配偶者、子どもたちなど、
最も親しい人々がいます。
愛情空間では、
家族としての絆を深め、
愛情を分かち合いながら
生活しています。
次に、「友情空間」があります。
ここには家族ほど親密ではないものの、
気の合う友人や共通の趣味を
楽しむ人々が存在します。
そして、
友情空間のさらに外側に位置するのが
「経済空間」です。
経済空間は、
貨幣の交換を基本とした関係であり、
職場の人間関係は
この空間に属しています。
これら3つの人間関係の空間は、
それぞれ個人との距離が異なります。
愛情空間が最も近く、
次に友情空間、
そして経済空間と続きます。
経済空間にいる人々との関係は、
愛情空間や友情空間の人々と比べて、
より距離があると言えるのです。
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職場という経済空間での
適切な人間関係は、
業務をスムーズに進めるために必要な
最低限の関わり合いです。
仕事が順調に進むのであれば、
それ以上の親密な関係を
築く必要はありません。
しかし、
職場の人間関係に悩む多くの人は、
経済空間内で
愛情空間や友情空間のような
深い関係を求めてしまいがちです。
仲良くなることや
親友を見つけることに
期待を寄せるのですが、
これが問題となることも多いのです。
このような姿勢でいれば、
期待に応えてもらえないことで
失望することも少なくありません。
無意識に相手にプレッシャーをかけ、
困らせてしまうこともあるでしょう。
親しくなりたいという一心で、
相手に対して過度な気遣いをし、
自分を疲弊させてしまうこともあります。
しかしそれでも、
相手は期待に応えてくれず、
イライラが募るばかりです。
相手への不満が
非言語的に相手に伝わってしまい、
相手も不快に感じることでしょう。
結果として、
互いに距離を置くようになり、
人間関係が崩れてしまうことも
あるのです。
本来であれば、
仕事を円滑に進めるために
最低限の関係性が築ければ充分なのに、
多くの人が
そのようには思えないのです。
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では、なぜ一部の人々は
経済空間で親密な人間関係を
求めてしまうのでしょうか?
その背景には、
愛情不足があると考えられます。
何らかの事情で、幼いころに
親から十分な愛情を
受け取ることが
できなかったのでしょう。
毒親に育てられたケースも
ありますが、毒親ではなくても、
子どものころから
必要な愛情を受けられず、
心の安定を得られなかった人も
いるのです。
理想的には、家庭は愛情に満ち、
子どもたちは
心の安定を感じながら育つべきです。
しかし、全ての人が
そのような環境で
育つわけではありません。
そうした経験をした人たちは、
大人になっても心が未熟な状態であり、
愛情に対して過度な欲求を
持つことが多いのです。
そのため、経済空間であっても、
不必要に深い関係を求め、
自分の欲求を満たそうとする
傾向があります。
経済空間で
愛情空間や友情空間のような
関係を求めると、無理が生じ、
人間関係の悩みに
つながることも少なくありません。
職場で深い関係を築こうと
強く願う人たちは、
人間関係に対して
恐れを持つ側面も持っています。
これも幼少期の家庭環境に
原因があるのでしょう。
十分な愛情を受けられなかったり、
親からの裏切りを経験したことで、
人間不信に陥ったのです。
このような背景があるため、
何らかの理由で
誰かを嫌うようになると、
その人とは一切関わりたくない
と思ってしまうことになるのです。
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人間関係を数値で表すと、
職場で人間関係に悩む人は、
その数値が0か100に偏る傾向が
あります。
0は関わりを一切持たない状態、
100は非常に親密で
互いに深く理解し合っている関係を
示します。
言い換えると、
人間関係が極端になりやすい
ということです。
理想的な職場の人間関係は、
0でも100でもなく、
中間である50程度が望ましいです。
しかし、職場の人々を極端に嫌う(0)か、
逆に極端に親密になりたいと願う(100)
傾向があり、そのために
関係が不自然になってしまうのです。
中間の50程度の関係を
築くことを目指さないため、
人間関係に無理が生じ、
健全な関係が築けないのです。
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では、職場での人間関係の悩みを
減らすためには、
どのような対応が必要でしょうか?
その問いへの答えは、
職場という経済空間において、
適切な人間関係の距離を保つことです。
具体的には、
職場で誰かと親しくなるために
努力するべきではありませんし、
相手に対して必要以上の気遣いを
することも避けるべきです。
職場で気が合う人に出会い、
親しくなれる場合は、
かなり幸運だと捉えてもよいでしょう。
それは一般的なことではなく、
例外的に運が良かった
と考えるのが適切です。
仕事を進める上で、
一定レベルのコミュニケーションは
不可欠です。
たとえ相手が苦手であっても、
業務をスムーズに進めるためには、
適切なコミュニケーションが
求められます。
苦手な相手を無視したり、
失礼な態度を取るのは、
プロフェッショナルな行動とは
言えません。
もちろん、職場で好感を持つ人や、
相性の良い人がいれば、
彼らとの関係を深めるのもよいでしょう。
しかし、
そうした人が見つからなくても、
落胆する必要はありません。
それは普通のことで、
何も問題はないからです。
職場での人間関係では、
0でも100でもなく、
中間の50程度を目指して、
適切な距離感を保つことが望ましいです。
業務をスムーズに進めるためには、
必要最低限の関係を
維持することが大切です。
そして、それ以上は
期待しないことです。
自分の心構えを変えるだけで、
人間関係は徐々に改善されるでしょう。
過度な期待をしなければ、
失望や無用な気遣いによるストレスも
減少します。
相手に不当なプレッシャーを
かけることもなく、
相手が不快に思うことも
少なくなります。
仕事に集中し、
プロフェッショナルな人間関係を
築くことに注力すれば、
人間関係の調和も
自然と整ってくるでしょう。
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もし職場の人間関係に
頭を悩ませているなら、
一度立ち止まって
自分自身に問いかけてみてください。
自分は職場で
過度に親密な関係を求めていませんか?
この問いに対して「イエス」と答えたら、
その考え方を見直すことを
おすすめします。
職場で親しくなれるのは幸運な例であり、
そうなれなくても
それはごく普通のことです。
会社では、必要最低限の人間関係が
維持できれば
それで良いと考えることが大切です。
この姿勢で同僚と接することで、
自分の感じ方も、他者のあなたに対する態度も、
変わることでしょう。
近すぎず、遠すぎず、
適切な距離感を保つことを
心がけましょう!