自分と相手の
意見や欲求が対立したとき、
どちらか一方の意見を採用したり、
欲求を満たしたりすることは、
最適な選択とは言えません。
それよりも、
自分のでもなく相手のでもない、
両者を超えた第三の答えを
探ることが望ましいです。
この記事では、その理由と、
第三の答えを導くための
ヒントをお伝えします。
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自分と相手の意見や欲求が
対立することは、
多くの人が経験することでしょう。
このような状況では、
私たちは次の2つの方向へ
進みがちです。
一つは、相手を説得して
自分の意見を通すこと。
もう一つは、自分が我慢して
相手の意見を通すことです。
つまり、
どちらか一方の意見が通り、
もう一方が我慢を強いられる
という方向です。
しかし、
このような選択肢を取ってしまうと、
お互いが満足し、幸せな関係を
保つことは困難になります。
意見が通らなかった側や、
欲求が満たされなかった側が
不満を抱き、やがて相手に
敵意を感じるようになるからです。
多くの場合、私たちは
「自分の意見を取るか、
相手の意見を取るか」という
二者択一に囚われています。
つまり、自分が勝つか、
相手が勝つか、
そのどちらかしかない
という勝ち負けのパラダイムに
支配されているのです。
このパラダイムでは、
意見や欲求が対立する相手に対して、
敵対心が生まれやすく、
競争や対立が起こりがちです。
これでは、良好な人間関係を
築くことはできないでしょう。
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「自分が勝つか、相手が勝つか」
という二者択一の思い込みは、
適切ではなく、
望ましい解決策とは言えません。
それよりも、
第3の解決策が存在することを
認識するほうが賢明です。
この第3の解決策とは、
自分も相手も共に満足できる
「ウィンウィン」の解決策です。
ウィンウィンの解決策とは、
双方が納得し、
満足する状態を指します。
ここでは、
自分の欲求を抑えたり、
我慢したりするのではなく、
相手に同じことを
求めるのでもありません。
むしろ、双方が納得できる
新たな解決策を
一緒に探ることが重要です。
相手を説得して
自分の意見を通すのでも、
自分が我慢して相手の意見を
受け入れるのでもなく、
共に満足できる方法を
一緒に見つけることが、
お互いをよりハッピーにし、
関係を深めるでしょう。
このウィンウィンの状態を
実現するには、「自分の意見でも、
相手の意見でもない、
第3の解決策が存在する」
という信念が不可欠です。
自分の意見に固執せず、
「最善の答えは他にある」
「第3の答えがある」
と信じることが大切なのです。
二者択一の思い込みに
囚われていると、
「どちらの意見を取り入れるか」
という勝ち負けを競う
スタンスに陥りがちです。
しかし、相手の意見でもなく、
自分の意見でもない
第3の方法があると気づけば、
勝ち負けを競う必要はなくなります。
その第3の方法を
共に探る姿勢が、
より良い関係を生み出し、最終的に
双方がより満足できる結果へと
つながるのです。
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第3の答えを探る際に
大切なマインドセットがあります。
それは、意見の違いを
悪いことと捉えず、むしろ
素晴らしいことと
認識することです。
なぜなら、
意見の対立があるからこそ、
創造的なアイデアが
生まれるからです。
意見が違う相手こそ、
最高のチームメイトであり、
最良のパートナーである
という考えを持ち、
意見の異なる相手との対話を
積極的に重ねる姿勢が重要です。
具体的には、
相手を変えようとするのではなく、
相手を理解しようと
努めることが求められます。
相手を変えようとする限り、
ウィンウィンは実現しません。
その代わりに、
相手の話を真摯に聞き、
相手の立場や考えを
理解しようとする姿勢が大切です。
相手の話をしっかり聞いた後、
自分の理解が正しいかどうか、
相手に確認するとよいでしょう。
たとえば、「あなたはそのことについて
~すべきだと考えていて、
その理由は~だから
ということですね。
私の理解はこれで合っていますか?」
と確認してみるのです。
この確認作業は重要ですが、
誤解しないでください。
相手を理解することは、
相手に賛同することではありません。
相手の考えを尊重しつつも、
同意する必要はありませんし、
相手に自分の考えに
賛成してもらう必要もありません。
重要なのは、
お互いの違いを認めた上で、
双方が納得できる解決策を
一緒に探す姿勢です。
意見や考えが違うからといって、
どちらが正しいかを競ったり、
どちらが妥協するかを
争う必要はないのです。
「二者択一」に囚われることなく、
共に満足できる
第3の方法を探り始めましょう。
この方向へ進むためには、
良い意味での「諦め」が不可欠です。
それは、相手を自分と同じ考えに
変えようとする試みを諦めることです。
相手をコントロールすることを
手放すことで初めて
幸せな関係を築く方向へ
進めるでしょう。
そして、その上で、
お互いが満足できる解決策を
一緒に探す提案から、ウィンウィンの
コミュニケーションが始まるのです。
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では、お互いが納得できる
第3の解決策を
どのように見つければ
よいのでしょうか?
まず最初に、お互いの欲求を
明確にすることが重要です。
「あなたは~を望んでいる。
そして私は~を望んでいる」と、
お互いの望みを
はっきりさせましょう。
そして、その望みを
共に満たすアイデアを、
ブレーンストーミングを使って
引き出していきます。
ブレーンストーミングを行う際には、
次のポイントを
念頭に置いてください。
まず、質より量を
重視することです。
良いアイデアを出そうと
頑張るのではなく、
できるだけ多くのアイデアを
自由に出すことを目指します。
次に、思考の枠や
既成概念にとらわれず、
自由奔放に考えることが重要です。
突拍子もないアイデアや
非現実的なアイデアも
遠慮せずに出しましょう。
また、アイデア出しの段階では
「そのアイデアは無理だ」とか
「それは現実的じゃない」
という批判や評価を控えます。
どんなアイデアでも、
どんどん出し合って
お互いに出し切った後、
2人でアイデアを見直し、
それらを組み合わせたり、
解体したりしながら、
柔軟な心を持って、
共に納得できる解決策を
探るとよいでしょう。
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たとえば、
休日の過ごし方をめぐって
対立する夫婦がいるとしましょう。
夫は疲れているので
家でリラックスしたい
と望んでいますが、
妻はアウトドア活動が好きで
自然の中で過ごしたい
と考えていました。
これまでは、
お互いの欲求が対立すると、
どちらかが我慢して
相手に合わせるという
選択をしていました。
二者択一しか選択肢がない
と思い込んでいたからです。
しかし、これでは
欲求が満たされなかった側が
不満を抱き、
関係がぎくしゃくする
原因になっていました。
ここで、
二者択一の思い込みを捨て、
第3の解決策を模索する方向へ
進めれば、お互いが満足できる
ウィンウィンの状態に
到達することが可能になるでしょう。
この夫婦はさっそく、
そのための対話を始めました。
夫は
「リラックスして疲れを癒したい」
という欲求を、
妻は「自然の中で活動したい」
という欲求を最初に明確にしました。
そして、両方の欲求を満たす
アイデアを出すために、
ブレーンストーミングを行いました。
たとえば、次のようなアイデアが
出てくるかもしれません。
アイデア出しの段階では、
現実的かどうかに関係なく、
自由な発想でたくさんのアイデアを
出すことが望ましいです。
そして、もうこれ以上
考えられないというところまで
アイデアを出し切った後、
2人でそれらを見直し、
組み合わせたり解体したりしながら、
両者が納得できる
解決策を探りました。
最終的に、この夫婦は
次のような解決策に行き着きました。
妻が軽井沢にあるペンションを予約し、
妻が運転する間、疲れている夫には
車の中で休息してもらいます。
そして、ペンションに到着したら、
一緒に散歩をしたり、
リラックスした時間を過ごす
という形に合意しました。
これにより、夫は疲れを癒し、
妻は自然の中で活動することができ、
両者が満足できる休日を
過ごすことができたのです。
この解決策によって、夫も妻も
それぞれの欲求がある程度満たされ、
不満が募ることもありませんでした。
結果として、お互いの関係が
悪化することを防ぎ、
ブレインストーミングの過程により
むしろ関係が深まり、より幸せな関係を
築くことができたのです。
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この記事では、
自分と相手の意見や欲求が
対立したとき、どのようにして
お互いが満たされ、幸せな関係を
築けるかを考えてみました。
私たちは、
つい一方の意見や欲求を優先し、
もう一方が我慢する
という選択に陥りがちですが、
それは「二者択一しかない」という
思い込みに囚われているからです。
しかし、実際には、
自分のでも相手のでもない、
第3の解決策が存在します。
この解決策は、両者が納得し、
共に満たされる
ウィンウィンの状態です。
この道を選ぶことで、
お互いの関係も深まり、
より豊かで幸せな生活が
実現するでしょう。
この方向へ進むためには、
まず「第3の解決策がある」
と信じることが大切です。
そして、
相手を変えようとするのではなく、
相手の話を真摯に聞き、
理解しようと努めることが
不可欠です。
お互いの望みを明確にし、
意見や欲求の違いを受け入れながら、
共に満足できる解決策を
探る姿勢を持つことが重要です。
具体的な方法としては、
ブレーンストーミングが
効果的です。
アイデアを自由に出し合いましょう。
突飛なものや非現実的なものでも
構いません。
とにかく多くのアイデアを出し、
その後、2人でそれらを見直し、
組み合わせたり解体したりしながら、
両者の欲求を満たす解決策を
探っていきましょう。
このプロセスを通じて、
お互いの関係は一層深まり、
「これなら良い」と納得できる
解決策が見つかれば、不満もなくなり、
共に満たされた状態を
手に入れることができます。
もし、今まで
二者択一に縛られていた方は、
ぜひこの第3の解決策を
探る方向へシフトしてみてください。
その過程が、
お互いをより良い関係へと導き、
満足と幸せが長続きする基盤を
築いてくれるでしょう。