私たち人間の悩みは、
人間関係が原因であることが多い。
意見の異なる相手と揉めたり、
相手を喜ばせるために
自己犠牲を払って自分を苦しめたり、
お互いに正義を掲げて戦ったり。
皆が平和で幸せに生きたいと願いながら、
現実的にはそうできないこともしばしばある。
どうすれば、自分も相手も尊重して、
戦うことなく、争うことなく、
皆が幸せな気持ちで生活できるだろうか?
今回は、理想的な人間関係を築くのに、
具体的に何をしたらよいのか?
私自身の考えを述べたい。
単なる一個人の意見として、
聞いて頂ければ、幸いだ。
私にとって理想的な人間関係は、
お互いが「多種多様」を受け入れて、
寛容であり、許し合える仲だ。
自分とは全く違う考えや価値観を持つ人、
自分とは異なるやり方をする人に対して、
相手を否定することなく、
「自分とは違うけれど、まあ、
そういうのもありね」
と尊重しあえる関係だ。
たとえ自分と相手が
真逆な立場にいたとしても、
自分のことも大切にするし、
相手のことも尊重してあげられる。
これができれば、
世の中から争い事や戦いも減り、
平和な世界になるだろう。
しかし、そうは言っても、
自分とは相反するものを見れば、
否定したくなる気持ちが強くなり、
なかなか受け入れられないのが私たちだ。
どうすれば、拒絶する気持ちと
上手く付き合ってゆけるのだろうか?
私の考えでは、次の3つが役に立つ。
1)人間は多種多様だと認識する。
2)人間同士の距離感を正しく取る。
3)自分の事情を相手に分かりやすく説明する。
それぞれ、詳しく説明したい。
1)人間は多種多様だと認識する。
まずは、人間は皆それぞれ違うことを
きちんと認識することだ。
生まれ育った環境も、これまでの経験も、
性格、能力、資質、特性も皆違う。
どんな人たちと一緒に生きてきたかで、
考え方や価値観も大分異なる。
皆が自分独自の認知フィルターを通して
現実世界を体験しているので、
たとえ同じ地域に住んでいても、
見えているものが人によって全然違う。
「違うのが当然」ということを大前提にすれば、
「自分と違うから変だ」と
相手を非難する気持ちも少なくなる。
2)人間同士の距離感を正しく取る。
相手に応じて、その人と自分との距離を
適切なものに保つことは、
お互いの精神衛生上、とても重要なことだ。
例えば、自分は「約束した時間は
絶対に守るべき。さもないと
相手の時間をムダにするから」と考える。
しかし、
「ちょっとくらい遅れても、まあいいでしょ。
時間厳守に囚われることなく、
もっと気楽に行ったほうが良い」と考える人もいる。
時間厳守について、お互い違う考えを持てば、
約束をした時には、相手に対して不満を抱き、
お互い嫌な気分になるかもしれない。
しかし、そういう人間とは、
自分は約束しないと決めて、
できる限り距離を置くようにすれば、
相手から被害を被ることもなくなる。
自分にとっては、時間厳守は大事。
でも、相手は時間にかなりルーズな人。
そうであれば、その人とは、
極力会わないようにするほうが賢明だ。
しっかり時間を守れる人と
頻繁に会うようにすればよい。
一緒にいても
お互いラクな関係でいられる人とは、
距離感を近くするけれど、
一緒に居ること、行動することで、
お互いイライラしてしまう人とは、
ある程度の距離を保って、
なるべく接触しないよう努めるのも大切だ。
相手と正しい距離感を保たないために、
お互い辛くなってしまうこともある。
避けるのが可能であり、
避けたほうが自分にとって有益な場合には、
積極的に距離を置いてみるほうがよい。
赤の他人に対してのみならず、
血縁である家族内の人間関係でも
同じことが言える。
3)自分の事情を相手に分かりやすく説明する。
人には様々な事情があり、
相手の望みや期待に沿えないことも、
しばしばあることだ。
そういう時に、自分の事情を黙っていて、
相手に説明することがなければ、
相手は当然、自分の事情を理解してくれない。
親しい間柄でさえ、
相手の気持ちを察することは難しい。
なぜなら、お互い別の人間だからだ。
私はあなたではないから、
当然、説明されなければ、
あなたのことを理解できない。
それなのに、以心伝心に期待して、
何も言うことがなくても、
自分のことを相手に察して貰い、
理解して欲しいと願う人がいる。
残念ながら、これはムリなお願いだ。
相手には分かりにくい自分の事情を
きちんと言葉で表現して、
相手に分かって貰えるよう
努力することは非常に大切なことだ。
どういう言い方をすれば、
相手は理解しやすいだろうか?
一度で伝わらなければ、
何度か違う言い回しをして、
説明するとよいだろう。
自分にはこういう背景があって、
このように考えるので、
あなたが私に期待する~はできません、
とはっきり相手に説明すれば、
相手のほうも少しは納得するだろう。
何も言わないで黙っていれば、
相手にはあなたが不可解に思える。
理解しがたいことであっても、
一応、「~だから」と事情を説明されれば、
「まあ、そういうのも仕方ないかも」
と思えるだろう。
気の合わない人同士でも、
お互いに自分はどういう人間なのか、
ある程度自己開示が可能であれば、
「あいつは全く分からない奴だ」
ということにはならない。
分からないなりにも、
ほんの少しは理解できるようになるはずだ。
この世の中には、
自分とは全く違う類の人たちが沢山いる、
としっかり認識すること。
また、あまりにも価値観、やり方が違い、
お互い迷惑になる関係ならば、
極力距離を置いて、付き合わないこと。
以心伝心に頼ることなく、
はっきり自分には自分の事情があることを
相手に分かりやすく説明するとよい。
これらを実践するだけでも、
人間関係によるトラブルを
少しは軽減できるのではないか?
と私は考える。