忘れたいことがあっても、
なかなか忘れられず、
困っている人はいないだろうか?
今回は、
そんな人に向けた話だ。
どうすれば、
忘れたいことを忘れられるか?
について。
結論を先に言えば、
忘れたいことを
一旦自分の横に置き、
別の作業に取りかかることだ。
意外に簡単なことだが、
効果は抜群だ。
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忘れようとしているのに、
なぜ忘れられないのだろうか?
その理由は、「忘れたいから
考えないようにしよう!」
と一生懸命だから。
人間の脳は、
考えないようにすればするほど、
そのことを余計考えてしまい、
頭から離れなくなる性質がある。
このことは、心理学で有名な
「シロクマの実験」でも、
検証されている。
この実験では、被験者全員に
シロクマの一日を追った映像を
見せた。
そして、
被験者を3つのグループに
分けた。
グループ1には、
「シロクマのことを
覚えておくように」と指示。
グループ2には、
「シロクマのことを考えても、
考えなくても、どちらでもよい」
と言う。
そして、グループ3には、
「シロクマのことを
絶対に考えないように」と指示した。
一定の期間が経過後、
シロクマの映像を
詳しく覚えていたのは、
「シロクマのことを絶対に
考えないように」
と指示された人たちだった。
この実験で分かったのは、
人は考えないようにすればするほど、
そのことが頭にこびりつき、
離れなくなるということだ。
忘れたいと思うことを
一生懸命忘れようとすれば、
かえって忘れられなくなる
という皮肉な話だ。
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それでは、どうしたら
忘れられるだろうか?
その答えは、
人間脳のもう一つの性質を
利用すればよい。
それは、人間の脳は、
一度に複数のことをするのが
苦手だという性質。
あれも、これも、それも、
どれもを同時にやるのは
なかなかできない事実がある。
忘れたいことが
どうしても頭から離れないのなら、
全く別のことで頭を満たして、
忘れたいことを頭の外に
押し出してしまえばよいのだ。
その際、重要なポイントは、
最初から忘れたいことを
押し出すような努力は
してはならないこと。
それよりも、
忘れたいことを
一旦自分の脇に置くことだ。
そうすることが困難ならば、
「この件には
暫くしてから戻ってくるから、
とりあえずは、今ちょっとここで
待っていて」という感じで、
一時的に自分の近くに置く。
その上で、
全く別のタスクに取りかかるのだ。
可能であれば、簡単に
淡々とできるようなものが理想的。
暫くの間は、
自分の横に置いている
忘れたいことは、
まだ自分の近くにあると
自覚できる。
しかし、
別の作業をやるうちに、
その作業に気を取られて、
近くにあった「忘れたいこと」は、
徐々に薄く感じられる。
そうなれば、しめたものだ!
更にその作業を継続すれば、
いつのまにか、
忘れたかったことは、
すっかり姿を消しているからだ!
大切なことは、
忘れたいことを否定せずに、
そのままの状態で、
ちょっと脇に置くこと。
そして、
別の作業に手を動かし
自らを忙しくさせることだ。
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これは私の体験談。
私は身体表現性障害で
苦しんでいた時期があった。
病気と思われる症状を
感じていても、
実際に検査を受けても、
何も異常が見つからない
という状態だった。
その症状は、
めまいであったり、
顔面の痙攣であったり、
時には、胃のムカつきや、
酷い便秘や下痢を繰り返したり……。
私にとって、それらの症状は
かなり不快に感じられ、
シンドイと思うこともよくあった。
どこも悪くないのだから、
症状を忘れるようにしよう
と努力したこともしばしば。
しかし、忘れよう! 忘れよう!
とすればするほど、
体調は余計悪化した。
身体の具合がイマイチだ
という時期が、
とても長く続いたように
感じられる。
しかし、ある時期を境に、
それが収まったのだ!
何をしたら収まったのか? と言えば、
自分の興味があることを
始めたことだ。
それ以前は、体調が悪いから
私はしたいことがあっても、
それができないと考えていた。
でもある日、
「体調が良くならなくても、
やってみればいいじゃない?」
と人から言われて、
「そうかもしれない」と思えたのだ。
元気な人ほど
良くできなくても、
自分ができる範囲内で
やればいいかと思えた。
そして、
実際にそれを始めてみた。
具合が悪くて
できない日もあったが、
それはそれでよしとした。
できる時もムリはせず、
マイペースでやれることをやった。
そうするうちに、
不思議とそのことにのめり込み、
体調が悪い日よりも、
良い日の方が増えていったのだ。
その活動のことで
頭の中が満たされれば、
「今日も不快な症状に
悩まされるのだろうか?」
と心配することもない。
もちろん、最初の頃には、
なんとなく具合の悪さが
自分の近くにあることを
意識していた。
でも、他のことに
専念するようになってからは、
身体のことはさほど気にならず、
不快な症状も頻繁には
起きなくなった。
そして、知らぬ間に、
体調はまずまずのところに
落ち着いたのだ。
絶好調とは言えなくても、
まあまあそんなに悪くない
というところまで回復した。
私のケースでも分かるように、
「病気ではないのだから、
不快な症状のことを
考えないようにしなければ」
と頑張っていた時には、
全然上手く行かなかった。
忘れようとすればするほど、
身体のことが気になり、
具合が悪いと感じられた。
でも、
「まあいいか。体調が優れなくても、
自分ができることがあれば、
できる範囲内でやれば、
それでいいか」と思えた時、
私は別のことに専念でき、
その後、具合の悪さも
少しずつ軽減していった。
私は自分が感じる嫌な症状を
否定することはなかった。
そのままの状態で、
自分の横に
ちょっと置いておくことを
しただけだ。
別のことを始めた後には、
そのことにフォーカスが行き、
その活動のことで頭の中が
いっぱいになった。
そのお陰で、
心配が少なくなったのが
良かったのだろう。
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忘れたくても、
なかなか忘れられない場合には、
ムリにそのことを
考えないようにしよう
と頑張らない方がよい。
考えないようにしよう
と頑張れば頑張るほど
逆効果になるからだ。
それよりも、そのことを
「まあいいか」と認めて、
自分の横に一旦置くとよい。
その上で、
別の作業に取りかかるのだ。
そうするうちに、
やっているタスクに
気を取られるようになり、
忘れたかったことも
自然と自分の頭の外へ
押し出されるようになる。
これを試す時には、
忘れたいことを
一切否定しないことがポイントだ。
割と簡単で
ラクにできる方法なので、
ぜひ試してみてね。