今回は、
ネガティブな気持ちに
襲われそうになった時、
ラクに気持ちを上向きに
する方法を紹介したい。
「トリガーコントロール」により、
気分を良くしていく方法だ。
簡単に説明すれば、
これを見たり、聞いたりすれば、
自分は心地よくなる、
というものを
意図して自分の身の回りに
沢山置くこと。
そして、逆に
自分を嫌な気持ちに
させるものを、
意識して、身の回りから
できるだけ廃除することだ。
詳しく説明してゆきたい。
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まず最初に、
「トリガーコントロール」の
「トリガー」とは、いったい何か?
それは、
特定の「刺激」のことで、
感情を引き起こす「きっかけ」
になるもの。
たとえば、
この匂いを嗅げば、
お気に入りの居酒屋で食べた
あの料理を思い出すとか、
この音を聞けば、
警戒モードになるとか、
この絵を見れば、
笑いたくなるとか、
何らかの刺激により、
何らかの状態を
引き起こすものだ。
この場合は、
「この匂い」、「この音」、
「この絵」がトリガーとなる。
ここで重要なのは、
「五感」に働きかけるような
きっかけを探すこと。
これを見た時には、
幸せな気持ちになる。
あれを見た時には、
気分が落ち込む。
この音楽を聴けば、
昔の楽しい思い出が
頭に蘇ってくる。
あの音を聞けば、
過去に起きた嫌な出来事を
思い出す、等々。
五感で感じて、自分を
嫌な気持ちにするものを、
身の回りから
できるだけ廃除すること。
それと同時に、
自分を心地よくしてくれるものを、
意図して
自分の視界に入りやすい場所に
沢山置くことだ。
また、必要な時に、
直ぐに取り出して
見たり、聞いたりできるよう、
予め準備しておくのも有効だ。
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これは私の体験談。
以前勤めていた会社を退職する際、
同僚からプレゼントを頂いた。
それは、
とてもステキで綺麗な置物だった。
なかなかセンスも良い!
私はそのプレゼントを気に入って、
早速、自宅の机の上に飾った。
その置物自体は、
とても素晴らしいものだったが、
なぜか私はこれを見る度に、
その会社に居た頃のことを
思い出した。
良い思い出なら大歓迎だが、
職場で起きた嫌な出来事が
いつも私の頭に蘇ってくるのだ。
私はその職場で
上司と人間関係が
上手く行っていなかった。
パワハラ? セクハラ?
とも感じるような酷いことを
上司から言われたことも
しばしばだ。
この置物は、上司から
頂いたのではなく、同僚からだ。
しかし、それでもやはり、
私はこれを見ると、
その当時の嫌な感情が
自分の内で湧き出てきた。
この場合、
プレゼントの置物は、
私にとってはネガティブトリガーだ。
見る度に、上司との嫌な出来事が
私の頭に浮かんできたからだ。
見ない方が気分が悪くならず、
私にとっては有益だ。
そんな事情もあり、
同僚には申し訳なく思ったが、
私はこの品を処分することにした。
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逆に、ポジティブなことを
思い出す例として、
私の友人の写真フレームがある。
友人は若い頃、アメリカに
数年間住んでいた。
アメリカ生活をエンジョーイして、
帰国後もアメリカでの生活のことを
とても楽しそうに話していた。
その彼女の家に
お邪魔した時のことだ。
居間の壁には
大きな写真フレームが
飾られていた。
そのフレームの中は、
アメリカ滞在中に撮った
様々な行事の写真が
モザイクのように貼られている。
なかなかステキな
思い出のフォトフレームだ!
友人が言うには、
この中の写真を見る度に、
アメリカでの楽しい時間を思い出し、
明るい気持ちになり、元気が出る
とのこと。
ツライことや、悲しいことがあっても、
このフレーム内の写真を見ると、
昔の良い思い出が蘇り、
なぜか気分が上向いてくると言う。
彼女にとっては、
このフォトフレームは
ポジティブなトリガーだ。
昔の楽しかった日々のことや
自分が一番輝いていた頃のことを
直ぐに思い出せるからだ。
そのため、友人は
自分の視界に入りやすい場所に
意図的に置こうと思ったらしい。
「なるほどね!」と肯けた。
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人生は山あり谷あり。
長い人生の中で、
様々なことが起こり、
いつも幸せな気持ちでいれる
とは限らない。
たまたま不運続きだったり、
苦境に立たされることも
珍しくない。
苦しい状況に追い込まれれば、
昔あった良いことも
すっかり忘れてしまう。
そして、
「ああ、自分はツイてないな」
と嘆くことになる。
そうなれば、昔の輝かしかった時を
思い出すことは、まずないだろう。
時々、「自分はツイていない
ことばかりだ!」と言う人に
出会う。
しかし、よく聞いてみれば、
必ずしもそうではなさそうだ。
良いことも、悪いことも
両方あったけれど、
苦しい時だから、良いことは
全く見えなくなっているのだ。
悪いことだけに焦点があたり、
そればかりが大きく見えて、
ツラさが実際のサイズ以上に
膨れ上がっている。
そんな時に、
「良いこともあったじゃないか!」
と思い出させてくれるものがあれば、
間違った認識を
解くこともラクにできる。
そのお手伝いをしてくれるのが、
ポジティブなトリガーだ。
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この方法は、予め準備が必要だ。
多忙な人には、
多少面倒に感じられるだろう。
でも、一旦仕組みを作り上げれば、
あとはラクに活用できる。
効果抜群なので、
ぜひ試して欲しい方法だ。
準備するのは、
落ち込んでいる時ではなく、
普通の時の方が望ましい。
その理由は、落ち込んでいる時には、
良いことをなかなか
思い出せないものだから。
元気な時の方が、
今までの自分を振り返り
良かった点を見つけやすいからだ。
準備は、
ポジティブなトリガーになるものを
できるだけ沢山集めること。
そして、自分がよくいる場所に
置いておく。
見えやすいところが理想的だ。
それと同時に、
ネガティブトリガーは
極力自分の視界に入らないよう
処分するか、隠してしまうこと。
昔の思い出に紐付けてもいいし、
単に、これを五感で感じれば、
心地よい気持ちになれる
というものでもOK。
不快な感情を
引き起こすきっかけは、
意識してなるべくなくすことだ。
この作業を「意識してやること」
がスゴク重要だ。
頭で考えて納得するだけでなく、
実際に手を動かして、
実践することが大切だ。
外出が多ければ、
持ち歩きできるよう
工夫するとよい。
たとえば、一昔前に使っていた
定期入れのようなものに、
自分の気持ちを
上向きにしてくれる写真を
入れておくのもいい。
必要な時には、
バックから直ぐ取り出して
見られるからだ。
小さなものなら、
気軽にカバンに入るので、
便利だろう。
現実的には、
完全にネガティブトリガーを
廃除できなくても、
せめて自分の身の回りで
できる範囲内でやるだけでも、
効果はかなりある。
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悲しみ、怒り、妬み、悔やみ、不安など
ネガティブ感情は
自然に沸いてくるものなので、
無理に抑えなくてもよい。
しかし、
ネガティブ感情が多すぎて、
ポジティブが少なければ、
生き辛さも増してくる。
そんな時、
自分の気持ちを無視して
ポジティブになろう!
と頑張るのは逆効果だ。
それよりも、
自然とポジティブを
連想させてくれるきっかけを
普段から意図して用意しておけば、
落ち込んだ時、割とラクに
気分を上向きにさせられる。
自分の「五感」に働きかける、
ポジティブなトリガーは、
意識して沢山集めて、
自分の視界に入りやすくする。
逆にネガティブなトリガーは
できるだけ見えなくするよう
努めることだ。
シンドイ時には、なかなか
ポジティブなものを
見つけにくくなるため、
普段、元気な時に
この準備を進めておけば、
いざという時、役に立つ。
ちょっと面倒でも
難しい作業ではない。
一旦済ませれば、
その後、ずっと使えるから、
ぜひ、あなたも試してみて!