何かしらの悩みを抱えていて、
「何とかしたい」と思っているのに、
なぜか解決に向けた行動ができず、
もどかしい気持ちになることは
ありませんか?
実は、そこには意外な理由が
隠れているのかもしれません。
この記事では、
「解決したいのに動けない」
その理由をひもときながら、
少しずつでも前に進むためのヒントを
お伝えしていきます。
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多くの人は、
「悩みとは不都合なものだ」
と捉えています。
確かに、生活に支障をきたす問題や、
精神的なストレスを生む出来事は、
できるだけ早く解決するのが賢明でしょう。
ところが、私たちの心は、
必ずしも論理だけでは動きません。
「これは不都合だから、早く無くしたい」
と頭ではわかっていても、
身体が動かないことがあるのです。
それはいったい、
なぜなのでしょうか?
その背景には、
悩みを抱え続けることによって
得られるメリットが
潜んでいるのかもしれません。
表面的には
「悩みから解放されたい」と願っていても、
無意識では
手放したくない気持ちがあるのです。
というのも、その悩みを失うことで、
いま感じているメリットまでも
失ってしまうのではないか――
そんな不安が、心の奥に
ひっそりと存在しているからです。
このように、私たちの深層心理には
「悩みを解消すると困る」と感じる、
無意識の抵抗が
働いていることがあります。
悩みを手放したあとの自分を想像すると、
それまで得ていたものが
消えてしまうという不安がよぎるのです。
こうした無意識の力が働いていると、
意識の上では
「どうにかしなければ」と思っていても、
実際の行動に
つながりにくくなってしまうでしょう。
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たとえば、失業中の人が
就職活動に取り組む様子を
想像してみてください。
就職サイトで求人情報を探したり、
履歴書の書き方を学んだり、
面接に役立つ情報を調べたりしています。
しかし、
ある程度は活動しているものの、
なぜか本腰が入りません。
「仕事が欲しい」という気持ちはあるのに、
心の奥底では
「このまま失業していても
いいかもしれない」
と感じているからでしょう。
その背景には、
失業中であることによって得られる
メリットが隠れている可能性があります。
たとえば、家族からある程度
支援を受けられる環境であれば、
生活に追われるような切迫感は
ないでしょう。
早起きしなくてもよく、
通勤ラッシュとも無縁。
仕事のストレスに悩まされることもなく、
自分の自由な時間をたっぷり確保できる。
こうした状況は、本人にとって
ある種の「快適さ」をもたらしているのです。
もし就職が決まれば、
通勤の負担や仕事上の責任が生まれ、
好きなときに眠ることもできません。
そう考えると、潜在意識が
「この楽な状況を手放したくない」と感じ、
就職活動に本気で取り組めなくなることも
あるのです。
表面上では
「いつまでも無職ではいけない」
と思っていても、無意識では
「でも、今の気楽さも悪くない」と感じていて、
前に進むことに
ブレーキがかかってしまうのです。
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「身体の具合が悪くて困っている」
と嘆く人がいます。
そうした人に「これを試したら
症状が改善するかもしれないよ」
と提案しても、
「うん、そうかもしれないけれど、
でもね…」と、どこかためらうような返事が
返ってくることがあります。
お金がかかるわけでもなく、
危険でもなく、
簡単に試せることなのに、
なぜか行動に移そうとはしません。
こうした場合、「治りたい! 治りたい!」
と口では言いながらも、
心のどこかで現状を維持したい気持ちが
強く働いているのかもしれません。
周囲の人が気遣ってくれる、
特別に休暇を取りやすい、
困ったときに「体調が悪いので…」
と言い訳ができるなど、
健康でいるよりも都合のよい面が、
無意識のうちに
作用している可能性があります。
もし元気になったら、
そうした優遇や同情が
得られなくなるのではないか、
無理がきくようになって、
かえってもっと働かなければ
ならなくなるのではないか――
そんな不安を
抱えていることもあるでしょう。
このような例に共通するのは、
「悩みがあるからつらい」という論理と、
「悩みを抱えているほうが楽かもしれない」
という無意識のメリットが、
心の中で同時に存在しているという点です。
本人がこのことに気づき、
「今の状態にも
何かしらの魅力を感じているんだな」
と認めることができれば、
次の一歩が見えてくるでしょう。
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この状況を打開するためには、
視点を変えてみることが効果的です。
悩みを抱えることで
得られているメリットに気づき、
そこに焦点を当ててみるのです。
まずは、
自分自身に問いかけてみましょう。
悩みから得ているものは何か?
この状況が改善されたとき、
何を失うことになるのか?
じっくりと考えてみてください。
その「失うもの」に気づけたなら、
それだけで大きな一歩です。
なぜなら、
悩みを持ち続けることに
どんな利点があったのかを
理解することが、
問題解決の妨げとなっていた
本当の原因を
見つけることにつながるからです。
次に考えたいのは、
「悩みを解決しながらも、
そのメリットを保つ方法がないか」
と模索することです。
たとえば、失業に悩んでいる場合、
満員電車での通勤がつらかったり、
往復の移動を「時間の無駄だ」
と感じているなら、
在宅勤務が可能な仕事を探す
という選択肢もあります。
最近ではリモートワークが広まり、
必ずしも出社する必要は
なくなってきました。
できる限り、自宅で働ける職を選べば、
通勤のストレスを避けられ、
自由な時間も増えるでしょう。
このように考えれば、
より前向きに職探しに
取り組めるかもしれません。
これはあくまで一例ですが、
重要なのは「問題を解決しながら、
そこから得られていたメリットを
できるだけ失わずにすむ方法」
を探ることです。
まずは、悩みや問題から得ている
利点に目を向け、
その存在を認めることが助けになります。
そして、そのメリットに気づければ、
「問題を手放しつつ、
そのメリットをどう維持していくか」
という新たな視点で、
解決策を見つけやすくなるのです。
視点を少し変えるだけでも、
問題に対するアプローチは変わり、
新たな可能性が見えてくることも
あるでしょう。
完璧な解決策が
すぐに見つからなくても、
「これならやってもいい」
と思えるような方法が
見つかるかもしれません。
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悩みを抱えているとき、
人は「このままではいけない」
と思うものです。
けれども、なかなか行動に移せず、
焦りや苛立ちだけが
募ってしまうことが
あるかもしれません。
その背景には、
「悩みを抱えることで
得られているメリットを失いたくない」という、
本人も気づいていない深層心理が
働いている可能性があります。
表面的には「つらいからやめたい」
と思っていても、
実はそのつらい状態によって
守られている快適さや安心感が、
手放しがたく
感じられているのでしょう。
こうした無意識の抵抗を
乗り越えるためには、
まず悩みがもたらしているメリットを
認めることが大切です。
「こんな悩み、早く消えてほしい」
という気持ちだけにとらわれず、
「たしかに嫌だけれど、こういう部分では
楽をしていたのかもしれない」と気づけたなら、
それだけでも大きな前進です。
そのうえで、悩みを解決しても
同じようなメリットが得られる方法や、
失われるメリットを補える
別の手段がないかを
検討してみてください。
もしあなたが、何らかの悩みを抱え、
「解決したい」と思いながらも
行動に移せないでいるのなら、
悩みを手放したあとに失うものが
あるのではないかと、
自分の心に問いかけてみるとよいでしょう。
そこで「悩みを抱えることで
得られているもの」の存在に気づけたなら、
悩みを解消しながらも
そのメリットを保つにはどうすればよいか?
あるいは、
そのメリットを失ってしまっても、
それを補える別の何かを得られないか?
という視点で考えてみましょう!
すぐに答えは
見つからないかもしれませんが、
そうした方向で思いを巡らせていくうちに、
きっとよい解決策が見えてくるでしょう。
あなたの前向きな一歩を、
心から応援しています。