人の弱みを利用した洗脳に引っかからないよう、十分注意しよう!

人の弱みを悪用して、
高額な商品やサービスを
売りつけたり、

何らかの団体に
加入させる洗脳方法は、
私たちが想像する以上に、
しばしば使われている。

「私は冷静な判断ができるから、
絶対に大丈夫」
と自信を持って言う人でも、

洗脳の罠に
まんまと引っかかることも
珍しくない。

今回の話は
人の弱みを利用した
洗脳には十分注意しよう
ということ。

====

洗脳してくる側は
通常、とてもフレンドリー。

「あなたは
こんな悩みがあるんですね。
まあ、大変でしょう」
と情け深い様子を見せて、

「私はあなたの味方です。
あなたの悩みを解決するのに
お手伝いしますよ」と言ってくる。

髪の毛が薄くなって
悩んでいる人に対して。

シミ、しわ、たるみなどの
肌トラブルで
困っている人に対して。

何をやろうとしても、
いつも三日坊主で
続かない人に対して。

対人関係で
とても苦労している人に対して。

体重コントロールができず
肥満で悩む人に対して。

努力しても
なかなかその努力が
報われない人に対して。

悩みや弱みの種類は、
人それぞれ違うけれど、
何らかの悩みで
苦しい人がターゲットとなる。

こういう人たちに近づいて、
優しい言葉をかけてくる。

「あなたは、~でお困りでしょう。
うんうん、分かりますよ」
と最初は同情する姿勢だ。

そして、次に、
「もし、私でよかったら、
あなたの悩みを解決するのに
お役に立てると思いますよ」
と言ってくる。

その後は、
売りたい商品やサービスが
どんなに素晴らしいものなのか、

それを購入すれば、
今までの悩みが
すっかり解決され、
良いことが起きると強調する。

「この団体に加入すれば、
あなたが今まで
ずっと悩んできたことが、
解けていくでしょう」

「このセミナーに参加すれば、
あなたは目標達成のため
一番の近道に乗れるでしょう」

「私たちの会員は、皆、
あなたと同じように
悩んでいたんです。
でも、入会してからは…」

という感じで、
商品やサービスを
購入したり、団体に加入すれば、
今までの問題がすっかり解決され、
素晴らしい未来が待っていると主張する。

時には、
商品やサービス購入の機会、
団体への加入の機会を
逃してしまえば、
今までよりも、
もっと大変なことが起きる、
と脅すような言い方もする。

せっかく私は
あなたを助けてあげようと
しているのに、
あなたは私の親切を
受け取らないんですね、
という言い方まですることもある。

最初は
「自分は冷静な判断ができるから」
と思っていても、
気がついたら、相手のいいなりになって、
高額な商品やサービスを購入したり、
団体への加入をしていた
なんてこともある。

自分の弱みにつけ込まれて、
それを悪用した手口に
引っかからないよう
十分気をつけることは、
非常に重要だ。

====

大分昔のことだが、
こんなことを経験した。

ある時期、
とある宗教団体の人たちが
我が家を
訪問することがよくあった。

大人3人、子供一人のグループで、
その宗教団体に
私を勧誘するためだ。

人の都合もお構えなしに
時間を気にせず、
突然、やって来る。

我が家にお客さんが
来ている時にも。

自宅で仕事をしている時にも。

料理の最中で火を使って
忙しくしている時でも。

彼らは、自分たちは
人助けのためにやっている、
と信じているので、
訪問される側の都合など
これっぽっちも考えていないようだ。

正直、私にとっては
非常に迷惑に感じられた。

単に「私は興味がありません」と言い、
帰って貰おうとしても、
上手く行かなかった。

それでも、「でもね、この社会は…」
と言い、身を引くことなく、
延々と話を続けている。

次に「私は仏教徒なんです。
だから、あなたの宗教団体には
加入するつもりはありません」
とはっきり言ったが、
これも効果がなかった。

「別の宗教があっても、
いいんですよ」
と言われてしまった。

しかし、ある時、
彼らが「今の世界は
非常に悪い方向へ進んでいる」
という内容を言ってきたので、

私は「個人的には
全く逆に感じています。
私は昔よりも、
ずっと良い状況になっており、
今の方がずっとハッピーです」と返した。

この言葉を聞いた途端、
宗教団体のグループは
「ああ、そうなんですか」
と一言いうだけで、
すんなり身を引いてくれた。

それ以降は、
もう我が家には全然来なくなった。

====

自分は宗教には関心ない
と言っても、
仏教徒だと言っても、
効果がなかったのに、

「この世の中は
良い方向に進んでいるよう
感じている」という一言は
かなり効き目があり、
私はとても驚いた。

その後、彼らは
我が家へ訪問しなくなり、
正直、私は助かっている。

この時、なぜ、
その一言で彼らが引いたのか
その理由を考えた。

おそらく、
世界は悪い方向に進んでおり、
あなたは非常に苦しいでしょう。

そんな苦しいあなたを
私たちは助けてあげますよ。

私達の団体に加入すれば、
あなたは幸せになります。

ということが
狙いだったのだろう。

これは、洗脳そのもの。

この団体にさえ入れば、
悩みはすっかり解決されて、
明るい未来が待っている
と信じ込ませることで、
勧誘するというものだ。

ただし、実際には
加入したところで、
本当にそうなのかは
大きな疑問だ。

====

普段は客観視できる人で
冷静な判断が可能な人でさえ、
洗脳の罠にかかってしまうことは
普通に起きる。

なぜなら、人生には
様々なことが起きて、
時には逆境の中で
シンドイ思いをすることもあるから。

そんな時には、普段は冷静で
正しい判断ができる人でも、
視野が狭くなることはよくある。

悩んでいる人、困っている人、
どうにもならない状況の人は、
視野狭窄に陥りやすく、
見えるべきものも、
見えなくなってしまっている。

また、逆境の中では
認知が歪んでしまうことも
しばしば起きることだ。

そんな時には
当然、正しい判断は不可能だ。

ちょっとしたきっかけで、
優しく近づいてくれる人に
気を許してしまい、
彼らの作戦に
まんまと引っかかる。

言われるままに
「そうなんだ」と肯いて、
導かれるままに、進んでしまう。

罠にかかる瞬間は
自分でも意識できていない。

その時には
はっきり覚えていないけど、
気がついたら、罠にかかっており、
高額なお金を支払って、
何かを購入していたり、

普段なら加入しないような団体に
加わっていたなんてことも
普通に起きる。

どんなに立派な人でも、
誰でもそうなり得るのだ。

洗脳は
警戒心が薄い無垢な人だけが
かかるものだろうと思われがち。

しかし、実は、そうでもない。

私たち誰もが
十分気をつけていなければ、
知らず知らずのうちに
洗脳されてしまうこともある。

特に自分の弱みに触れられた時には、
要注意が必要だ。

もちろん、他の洗脳方法も
幾つもあるが、
この弱みを悪用した洗脳は、
かなりやりやすくて、
私たちの日常でも、
しばしば使われているものだからだ。

悩んでいる時、
困っている時、
どうしょうもない時に、
優しく近づいてくる人たちには
すぐに気を許してはいけない。

心の中で
「もしかしたら、
これは洗脳かもしれない」
と疑ったほうが賢明だ。

自分の弱みにつけ込んだ洗脳は、
誰でも
引っかかりやすいものだからだ。