脳科学者・中野信子先生のところへ
80代の母親と同居する女性から
悩み相談が寄せられた。
このお母さんは、ネガティブなことや
人の悪口ばかりを言う人。
そんな母親の近くにいれば
気が滅入るし、母親のことを
益々嫌いになるそうだ。
どのように考えれば気が楽になるか?
というのが相談内容だった。
私の母も現在80代。
私は母からは遠く離れた外国におり
幸い、母の近くには住んでいない。
だけど、たまに母と話す機会があれば、
この女性のお母さんと同様に
ネガティブなことばかりを言い、
母の映像をスクリーン上で見るだけでも
私のエネルギーが吸い取られていくのを感じる。
中野先生がどのようなアドバイスをするのか
興味深くトークを聞いた。
先生のアドバイスは
まず最初に、母が嫌いでも良いと思うこと。
日本には、「親が嫌いな人は悪い人」
と考える人が多くいるようだ。
私たち日本人の多くは「親を尊敬すべき」
と教育されたのだろう。
中野先生によれば、人間の心理は、
こういうことをしてはいけないと思えば
どんどんそういう風に思ってしまう
ようにできているそうだ。
心理学のシロクマの実験では
シロクマのことを考えないように
と指示された被験者グループが、
シロクマのことを一番忘れられなかった。
考えたらダメだと思えば思うほど
考えてしまうのが人間の心理なのだろう。
嫌いではいけない、と自分の感情に
ムリに逆らって、自分をコントロールすれば、
上手くいくどころか、余計嫌いになってしまう。
どんどん嫌な部分を探して、更に嫌い度を
強めてしまうことになる。
それよりも、「嫌いでもいいんだ」
と正直に自分の気持ちを認めて上げること。
母親を嫌いになるのも理由があるはずだ。
なぜ、自分が母親を嫌うのかを客観的に
見てみれば、納得できるかもしれない。
「人の悪口を言ってばかりいれば、
第三者から見ても、嫌われて当然だよね」
と考えられれば、心も落ち着く。
先生のアドバイスは更に続く。
心が落ち着いた時点で、
なぜ、母親がこのように悪口ばかり
言うようになってしまったのか?
を考えてみることだ。
自分なりに分析しているうちに
「あ~、そうだったのか」と
思い当たることも出てくるだろう。
私自身の話をすれば、
私も母親が大嫌いな人だった。
でも、「親を尊敬するべき」
という不当な観念が自分の中にあって、
そうできない自分を情けなく思い
長年、自分を責め続けてきた。
嫌いなのに、嫌いではいけない。
好きになれない自分はダメな人間
と自分で自分を責めていたので、
かなり苦しい思いをした。
私の場合は、カウンセラーの力を借りて
親が嫌いな自分の気持ちを
そのまま受け入れられるようになれた。
確かに、自分の気持ちに正直になり
自分のことを受け入れられると
心もラクになり、身体も緩んだ。
中野先生がオススメするように、
なぜ、母親はこのように振舞うのか
を自分なりに分析もしてみた。
もちろん、自分の分析が正しいかは分からない。
それでも、自分の中で、母がこうある理由を
見つけて、自分なりに納得した。
そうしたら、気持ちも更に軽くなった。
今でも母のことは好きではないが、
母のことを考えても、ドロドロとした
怒りの感情は湧かなくなった。
嫌な親と物理的な距離を保つことも重要だ
と中野先生は仰る。
親がネガティブなことや
他人の悪口を言い出したら
反論することなく、
できるだけ、物理的に離れること。
トイレに行ってもよいし、
洗面所で歯磨きをしてもよい。
また、外に出てコンビニへ
いくのもひとつの手だろう。
私の場合は、目の前に親がいないだけ
かなり恵まれた環境にいる。
その点は、本当に有難いと思う。
でも、この相談者ように
そうできない人も沢山いるはずだ。
中野先生のこのトークはユーチューブ
で聞くことができる。
5分程の短いものなので、
同じような状況で苦しむ人がいれば、
是非、聞いてみることをオススメする。
参考動画:「実は嫌いな人がいる..という人は聴いてください※メンタルの危険な罠にハマらない方法」
(ユーチューブ 常識超越ちゃんねる)