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親子関係の問題を上手く解決するのに役立つ2つの気づき

親に
自分の気持ちを分かって欲しい。
自分の感情を理解して貰い
共感して欲しい。
自分の本当の想いを受け入れて欲しい。

アダルトチルドレンの多くは、
親にこのような願いを求めている。
しかし、残念なことに、
子供のこういう願いは叶うことがなく、
「親に変わって貰う」方向では、
親子関係の問題は解決しない。

では、どうすれば、よいのだろうか?
今回は
心理カウンセラー・井上秀人さんのトークを参考に、
「毒親・アダルトチルドレン問題を
どのようなアプローチで解けばよいのか?」
お話したい。

結論を先に言えば、
あることに気づくだけで、
親子関係の問題から、
大分解放されるということだ。
その気づきは主に2つある。

一つ目の気づきは次の通りだ。
親に自分のことを理解して欲しい、
共感して貰いたい、
謝って欲しい、
分かって欲しいなどと強く願う時、
自分の心の奥底では、
「親のことを変えたい」
という気持ちが隠れている。
自分の期待通りに親に動いて欲しい。
自分の思うように
親のことをコントロールしたい、支配したい、
という自分の欲求に気づくことだ。

毒親がなぜ、毒親なのかは、
子供を自分の意のままに支配して、
思い通りにしようとするからだ。
もし、子供が反発するようであれば、
子供に罪悪感を持たせるような手口で、
子供を操ろうとする。
毒親は子供を自分の思うように
コントロールしようとしているのだ。

しかし、実は、
子供自身も親を自分の思い通り動かして、
コントロールしたい気持ちがある。
このことに気づければ、
お互い似たようなことをしていると分かる。

この気づきと同時に
もう一つの気づきも重要だ。
アダルトチルドレンの多くは
「親だったらこうあるべき」、
「子供に対してはこう接するべき」、
「こんな場合には、
親はこのようにするべき」
という「べき思考」で理想的な親の姿を
自分勝手に頭の中で思い描いている。
しかし、実際の親の姿と自分の理想の親像とは、
あまりにもギャップがあり、
全然違うものなので、
子供は親に対して失望する。

親は親で子供に対して、
「このようになって欲しい」、
「こういう職業に就いて欲しい」、
「こういう人と結婚して欲しい」、
「自分のことをこのように扱って欲しい」等と、
子供に対して過度な期待をする。
理想的な子供像を自分の中で作り上げ、
その理想像と実際の子供が
全く違うことをしていれば、
大きく失望することになる。

親側も、子供側も、
お互いに理想像を期待して、
非現実的な「親子幻想」を抱いている。
その結果、お互いに失望して、
お互いを受け入れられず、
関係性がどんどん悪化してゆく。

しかし、現実的には、
親も子供もしょせん不完璧な人間だ。
できないことも沢山ある。
理想の立派な姿からはほど遠く、
だらしがないこともしばしばある。
自分勝手でワガママな面もある。
親が抱く理想の子供像も、
子供が抱く理想の親像も、
世界中どこを探しても、
なかなかお目にかかれない。

お互いがお互いを
支配コントロールしようとしている。
しかし、自分の思い通りにならないから、
悲しくなり、嘆くことになる。
お互いが非現実的なほど
相手に立派な人間像を期待している。
しかし、それは「幻想」に近く、
実現することはほぼ皆無といってよい。
そのため、裏切られた気持ちになり、
大きく失望することになる。
これが親子関係の問題の本質だろう。

親もそうするように、
子供自身も親を自分の意のままに
支配する気持ちがあったことに気づくこと。
親が子供に理想の子供を期待するよう、
子供も親に立派な親を期待している。
そんなに立派な人間は、
どこを探してもいないのに、
理想像を頭の中で作り上げ、
幻想の中にはまってしまう。
理想像と自分の親がかけ離れているから、
裏切られた気持ちになる。
実は、この親子幻想が自分を苦しめることに
気づくことは大切だ。

ある意味、親も自分も似たもの同士だ。
自分も親も、世界中のすべての人たちも、
人間である以上、完璧な存在ではない。
だから、まあ、仕方ない。しょうがない。
と良い意味で諦めることは、
親子関係の問題から解放されるヒントになる。
これが分かれば、親に謝って欲しい、
と思うような気持ちも薄らいでゆく。

こういう話をすれば、
「親に期待をしてはいけないのか?」
と思う人がいるだろう。
でも、そういうことを言っているわけではない。
自分が親にこうして欲しい。
分かって欲しい。共感して欲しい。
もっと優しく接して欲しい。
と願うことを否定する必要はない。
自分の本当の気持ちを
そのまま感じて、受け入れてもよい。

しかし、同時に、
自分も親同様に相手を支配しようとしていたこと、
相手に過度な期待をしていたことに気づければ、
「相手を変えようとしても、
この問題は解決しない」と理解できる。
表面上の理解では十分でなく、
この気づきが腑に落ちれば、
「まあ、しょうがないな。
親も自分と同じ不完璧な人間なのだから、
自分が期待するように立派でなくても、
仕方ない」と許しの気持ちが出てくる。

親に対して過度な期待をする自分も
そのまま受け入れ、許してあげる。
同時に、自分に対して期待しすぎる親のことも
「まあ、人間なのだから、しょうがない」
と許してあげることだ。
お互い「親子幻想」にはまっていたことに気づき、
「人間はそんなに立派なものではない」
と受け入れて、良い諦めができれば、
自分の心も今までとは違い、軽くなる。
ずっと背負ってきた重い荷を下ろして、
軽やかでラクな気持ちで生きれるようになる。

結論を繰り返せば、
自分の親子幻想に気づき、
相手をコントロールする方向へは進まないこと。
親を変えるのではなく、
自分の内で親子関係の捉え方を変えれば、
問題解決の糸口が見えてくる。

井上さん、役立つトークを
有難うございました。

参考動画:「親子幻想」は今すぐ捨てなさい。(毒親カウンセリング)
(ユーチューブ 毒親・アダルトチルドレン専門心理カウンセリング)