Categories: 親子関係

えっ、あんなに素敵なご両親が毒親? ウソでしょ?

「ウチの父は、こうこうこうで、
こんなに酷いことをするの。
母もね、あんなに酷いことを言うのよ」
と友人に話せば、
「えっ、ウソでしょ。あんなに素敵な
ご両親が毒親なんて、信じられない!」
という言葉が返ってくる。
「自分の両親が毒親だ」と言っても、
親戚内の人にさえ理解して貰えない。

これは普通のことで、
「毒親あるある」と言ってもよい。
なぜなら、毒親は内と外のギャップが
非常に大きいからだ。
家庭内では、物理的な暴力や言葉の暴力を使って、
子供を心理的に支配して、自分に従わせる。
でも、家庭の外に一歩出たら、
急に、温厚で、優しい立派な大人に変身する。

毒親にとっては
他人が自分をどう思うか?が重要で、
できる限り体裁を良く見せようと頑張る。
人に認めて貰い、「立派な人だ」
と思われることが最重要課題なので、
外では多大なエネルギーを消費している。

その分、家に帰れば、疲れてしまい、
家庭内ではやりたい放題、言いたい放題だ。
「まあ、家族なんだから、いいでしょ」
と家族内の人には甘えが出て、
子供に迷惑をかけることは
なんとも思っていない。

親戚内でも、自分は立派な嫁だ
と認めて貰いたくて、
本当は色々不満があるのに、
親戚の人と会う時には、
それを隠して、穏やかなように振る舞う。
本当は、自分にはシンドイから
やりたくないと思うことも、ムリに引き受けて、
親戚の人たちに「立派な人だ」
と思われるように頑張る。
でも、家の中では文句タラタラ。
泣き崩れていることもあるのに、
自分の家庭の外には
絶対にそのことを知られないようにする。

毒親はある意味、哀れな存在だ。
毒親の両親も、実は毒親だった。
そんな毒親に育てられて
アダルトチルドレンになってしまった。
アダルトチルドレン自身が親になる時に
毒親となるのだ。

身体は立派な大人なのに、
精神的には「お子ちゃま」である毒親。
毒親自身、子供の頃に
満たされることがなかったから、
子供を卒業できなかった。
年齢的には大人になっても、
精神的には未熟である上、
満たされなかった欲求不満が
いつまでも自分の中で渦巻いている。
そんな人が親になったときに
その欲求不満を自分の子供にぶつけて、
憂さ晴らしをすることもよくある話だ。

自分自身も未熟で苦しいのに、
大人のふりをして、
子育てしようと頑張るから、
苦しくなってしまう。
子供が子供を育てているようなものだ。

それでも、自分なりに一生懸命子育てしてきた。
でも、その子供がある程度の年齢になれば、
「あんたは毒親!」と非難するようになる。
自分自身が欲求不満なのに、
立派な大人のふりをして、
我慢して子供を育ててきた。
でも、残念なことにその努力は
子供には認めて貰えず、
「あんたは毒親だ!」と非難される。
なんて哀れな存在か!

毒親は子育てしている最中に、
ツラくなってしまう時もある。
自分が子供の時に、
親にこうして欲しかったのに、
それを満たして貰えなかった。
その嫌な思い出が、頭の中に蘇る。
自分が子供時代に経験した
不愉快なことを思い出して、
精神的にツラくなってしまう。
本来は楽しいはずの子育てを
楽しむどころか、
地獄のような生活を送ることになる。

毒親やアダルトチルドレンで苦しむ人は
どうすれば苦しみを軽減して、
幸せに生きれるようになるのだろうか?

これは私の考えだが、
一番良いのは、お互い物理的に離れることだ。
自分の親が毒親だと思って、
彼らとの関係に苦しむのなら、
一緒に生活するのをやめて、
遠くに離れてしまうことだ。

親の立場では、子供に近くに居て欲しい
と願うので、色々なことを言って、
それを止めようとするだろう。
時には優し気な言葉で、
「私はあなたのことを思って、
あなたのためにそう言うの」
と言うかもしれない。
でも、実際には、あなたのためではなく、
親の都合にすぎない。

あなたに罪悪感を抱かせて、
あなたを心理的コントロールして、
あなたを自分たちの傍に置いておこう、
とするかもしれない。
でも、そういう罪悪感や
親がする心理コントロールには負けないで、
親から物理的に離れることが
一番良いことだと私は考える。

アダルトチルドレンである自分が
毒親から物理的にも、精神的にも独立して、
自分自身を癒していくようにする。
そのお陰で、自分は精神的に
大分成熟できた。成長できた。
もう、毒親を目の前にしても、
自分の気持ちはしっかりとしている。
精神的にもグラつかないと思えた時、
親と再び人間関係を戻してもよい。

もう一つ大切なことは、
毒親がアダルトチルドレンを生み出し、
そのアダルトチルドレンも、
やがては子供を持ち、親となる。
子供を持った時に、自分自身が
毒親になってしまうことは多々ある。
この「毒親とアダルトチルドレン」のサイクルを
代々引き継ぐリスクを十分に承知して、
「もう、こんなことは止めよう。
自分の代でストップさせよう」
と覚悟を決めることだ。

私自身も、毒親から育てられたアダルトチルドレン。
そして、今では自分の子供をもつ親だ。
時々、子供に対して、
自分が子供の頃に親からされた嫌だったことを
やってしまったり、言ってしまったりしている。
自分でそう自覚できたときには、
子供に素直に謝り、それを止めるようにしている。

自分が親にされた嫌なことを
今度は親の立場で、
子供に同じようにやってしまう。
子供は親の姿を見て学ぶので、
ある意味、仕方ないことだと思う。
でも、「いけない!」と気づいたら、
一早く、止めることだ。
やってしまったことに罪悪感を持つより、
下手なプライドは捨てて、素直に謝罪する。
そして、その場で止めることが大切だ。

今回は、毒親を持つアダルトチルドレンである
私自身が、「毒親」と「アダルトチルドレン」
の問題について、自分が考えることをお話してみた。