愛想がよくて笑顔で接客してくれる
日本の客サービスに比べれば、
いまいちパッとしない
ニュージーランドの接客サービス。
でも、私が毎週末行くスーパーには、
お客さんに対する意外な気遣いがある。
今回はNZのスーパーマーケットでの
買い物についてお話してみたい。
どこのスーパーでも、
入口付近には野菜・果物コーナーがある。
私がいつも行くスーパーでは
このコーナーに大きなバスケットがあり、
中には新鮮なリンゴやバナナが入っている。
バスケットの横には
「お子さまのために、ご自由に」という張り紙が。
親の買い物に付き合わされて
子供たちが退屈しないように、
バナナやリンゴを無料で提供しているのだ。
親は急いで買い物しているつもりでも、
子供たちにとっては、
買い物の時間は長く感じられて、
退屈してしまうこともよくある。
そんな退屈を防ぐために、
子供たちに健康的なおやつを
無料で提供するスーパーには
「スゴイ!」と感心した。
このサービスは昔からあったのではなく、
私の子供たちが小さな時にはなかった。
だから、買い物の時には
子供のおやつを用意してから
買い物に出かける親が多かった。
私の場合は、買い物中に
子供に食べ物を与えよう
なんて考えもしなくて、
大きなミスをやらかしてしまった。
私の息子アレックスが2歳の時の話だ。
スーパーの大型トローリーに
アレックスを座らせて買い物していた。
シートベルトはきちんと絞めていたので、
事故になるなんて考えもしなかった。
私の買い物に付き合わされたアレックスは
早くトローリーから降りたい様子でぐずり出した。
アレックスが泣きわめくので、
私もサッサと買い物を済ませて、
早くスーパーから出ようと頑張った。
お会計を始めた時には、
まだ、アレックスはトローリーの上だった。
でも、ATMカードをスワイプして、
パスワードを入力し、その後、
レシートを受け取っているほんのちょっとの間に、
アレックスは自分でシートベルトを外して、
トローリーからコンクリートの床に
転落していたのだ。
アレックスの泣き声が一瞬聞こえたと思ったら、
次の瞬間、アレックスは意識がなくなり、
泣くこともしなくなってしまった。
救急車の中で、アレックスの名前を
何度も何度も呼んたが、
全く何も反応がなく、
しばらくは意識不明の状態が続いた。
まさかこんなことになるとは、
予想もしなかったので、
私はショックが大きくて、
気が動転してしまった。
アレックスは脳震盪(のうしんとう)
を起こして、数日間入院したが、
幸い、身体に大きなダメージはなく、
数日後には自宅に戻ってくることができた。
でも、あの時は「アレックスに
万が一のことがあったら、どうしよう」
という気持ちで、生きた心地がしなかった。
この事故で、自分の寿命が縮まった
と思うくらいショックが大きかった。
スーパーのトローリーから転落する子供は
アレックスだけでなく、時々、いるそうだ。
そのため、「小さな子供のトローリーからの
転落にはご注意ください」
というアナウンスが時々聞こえてくる。
この事故で、私はとても反省した。
アレックスが退屈しないように、
何かおやつを与えたり、
玩具を持たせたりしていれば、
こんなことが起きなかったのに、と深く反省した。
スーパーの気遣いについて話を戻せば、
もう一つ気が利くことがある。
毎週水曜日午後2時半から3時半迄の1時間、
全国にあるチェーン店のほとんどすべてで、
「クワイエット・アワー」を実施している。
クワイエット・アワーには、
店内の照明を落として、店内放送もオフにする。
トローリーの回収はやめて
うるさい音が生じないように注意したり、
棚に在庫を移す作業を極力避けたりする。
静かで落ち着いた環境で買い物ができるよう
工夫されているのだ。
この工夫は自閉症やADHDで
五感に刺激があり過ぎると平静を保ち辛くなる人
に向けて考えられたものだ。
自閉症やADHDでなくても、
HSPで音や光の刺激を受けたくない人にも
非常に助かる心遣いだ。
この時間帯に買い物にいって、
穏やかな気持ちでショッピングを済ますことができる。
なかなか有難い気配りだ
とHSP特性を多く持つ私は感謝している。
もう一つの気配りは、
すべてのお店ではないが、
私がよく行くスーパーでは
店内に「古本箱」が設置されている。
不要になった本をこの中に入れて、
欲しい人が勝手に取ってゆく
というシステムだ。
本は半永久的に自分で保管したい
と思うものもあれば、
一度読んでしまったら、もう不要だ
というものもある。
要らなくなった本を捨ててしまうのは勿体ない。
人が多く集まる所、誰でも必ず行く所に
古本箱が設置されていれば、セカンドハンドの本を
ここに入れて処分できる。
また、自分に必要な本があれば、
勝手に取って読むこともできる。
これは、なかなか良いアイデアだ。
NZのスーパーで時々見られる光景だが、
まだ買い物中でお金を支払っていないのに、
トローリーに入れた食品類を開けて、
食べながら買い物している人がいる。
日本ならば、こんなことはないだろう。
でも、NZでは、支払いの前に食べても、
チェックアウトで、店員さんは嫌な顔をしない。
こういうところがNZらしくていいな
と私は思ったりする。
ということで、今回はNZの
スーパーマーケットでの買い物のことや、
有難いと感じる気遣いについてお話してみた。