物を捨てないニュージーランド人

「断捨離」
ネットサーフィンしていると、
この言葉をよく見かける。
長年使ってないものを処分して
身の回りをスッキリさせる。
空間的にも余裕が出るから
気持ちも開放的になる。

私も断捨離して、清々しい気分で
生活したいと望む人間だ。
しかし、我が家はそれが難しい。
旦那さまが物を捨てられない人だからだ。

新しい物を買っても、
古いものを捨てずに置いておく。
穴の開いたスニーカーも
「庭掃除の時に便利だから」
と言い、そのまま持っている。
庭掃除には2足もあれば十分なのに、
何足も穴の開いた古い靴が
靴収納場所に放置されている。

古くなったタオル類も同様。
「窓ふきに使えるから」と言い
使い古してボロボロなものを
いつまでも持ち続けている。

新しいものを購入しても
古いものを処分しなければ、
物がどんどん積み上がってゆき
家の中がゴチャゴチャするだけだ。

私の周りには、なぜか
私の旦那さまのように
物を捨てられない人々が
多くいるような気がする。

学生時代にお世話になった
ホームステイ先のパパもそうだった。
食品類が入っていた缶とか、ビン、
プラスチックの容器を
食べ終えた後もずっと取っておく。
「いつか、何かの役に立つかもしれないから
捨てないで取っておく」とのこと。
ただ、ホストファーザーの場合は
ガレージを整理整頓して
物を仕分けして保存していた。
そこが、私の旦那さまとの違いだ。

典型的なニュージーランドの家屋は
日本に比べれば、空間的に恵まれている。
多少、捨てられなくても
きちんと整理すれば、
ゴチャゴチャすることもないだろう。
だから、ニュージーランド人は
あまり捨てたがらないのか?

時々、誰かの家の前に
もう使用しなくなった家具が
置いてあるのを見かける。
「欲しい人は、ご自由にどうぞ」
という張り紙がしてあった。
古いと言っても、
まだまだ利用できそうな家具だ。
数時間後には、家具はなくなっていたので
誰かが自宅へ持ち帰って
使用したのだろう。

ニュージーランドには
セカンドハンドショップが沢山ある。
不要になった衣類、玩具、本、家具など
個人がお店に寄付する。
お店はそれらの物を売って、
収益はすべて、恵まれない人々や
社会的弱者の団体に寄付するシステムだ。
なかなか良いことだと思う。

セカンドハンドと言っても
結構、良い状態の物も多く、
子供たちが小さな頃には
私も衣類をたくさん購入した。
子供は成長が早いので、
同じ服を長い間着ることはない。
だから、セカンドハンドの洋服で十分だった。

留学時代、友人宅を訪問した時のこと。
家中の部屋をすべて見せて貰った。
マスターベットルームに案内された時
友人はベットを指さして、こう言った。
「このベット、僕が作ったんだよ」と。

よく見たら、ベットの土台が
ビール瓶が1ダース入っていた
四角いケースを積み上げたもの。
毎日ビールを飲むという友人は
溜めておいたビールのケースで
ベットの土台を作ったのだ。

その友人のリビングルームには
ユニークな飾り物があった。
「これも、僕が作ったんだ」
と自慢げに話す。
遠くで見れば、面白い飾り物。
近くで見れば、
ドリンクの瓶の蓋や、
壊れた缶オープナーの素材。
接着剤だけは購入したようだが、
その他の材料は、すべて
「何かに使えそうだから」と
捨てずにとっておいたガラクタだ。
ゴミ箱行きになるのが当然の物を
こんなアートに変えてしまう友人に、
とても感心した。

もしかしたら、ニュージーランドには
物を簡単に捨てることなく、
極力色々なことに利用する
という精神があるのだろうか?
私にはそう思えて仕方ない。
それでも、旦那さまには
古い靴やタオル、その他の物を
ちょっとは処分して貰いたい
と願うばかりだ。